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第四百七十八話 やってきたリル (翔)

 な、なんか美花が唐突にグイグイきやがった。

 美花とリルはいつの間にか知らねーけど仲が良くなってたからな、報告するつもりでいるんじゃねーだろうか。

 それにかつて…いや今も俺が美花と有夢の仲をどうやら言っているのはたしかだ。



「あ、ああ、そ…そうだな。俺はそうだな、リルのことは正直言えば…そうだな__________」



 リルには最近、普通に好きだということが伝えられるようになっている…と思う。

 しかし人前で公言するのはいささか恥ずかしいというか。



「か、可愛い…」

「それは私だってわかってるの」

「俺もー」

「うっ……」



 有夢まで乗ってきやがった。

 くそう、今周囲に人が結構いるってのに。

 


「ど、どうしても今言わなきゃダメか?」

「うん。早く早く」

「はーやーくー」



 何か言わなきゃなんねー理由があるかのように二人が急かしてくる。

 言わなきゃダメなのか…。

 言いたくねーなぁ…。でも言いたくないなんて美花がリルに報告したらリルは……。くそう。



「わかったよ、いうぜ。リルは俺にとってもはや大事な存在だ…リルが笑ってるところを見るだけですごく……」

「「すごく?」」

「うれ…しぃ」



 ぬおお…人前で言っちまったぁ。

 はっずかしぃ…。やっぱ有夢じゃないんだからこんなこと言うの恥ずいってマジで!

 有夢と美花の顔を見ると、半端じゃなくニヤニヤしてる。今までの俺もこうだったんだろうか。

 いや…それでもかなりいたずらっけを含んでるような。



「そっかそっかぁ! 翔、ちょっと後ろ向いてみて?」

「へ、後ろ?」



 美花に言われた通り俺は後ろを向いた。

 いつの間に後ろにいたのか。

 俺より1mほど離れたところに、秋っぽい服装をし、キャリーケースを持った見慣れたような見慣れないような色白の女の子が居る。

 しまった、聞かれたか。

 何故か下を俯いており顔はよく見えないが、帽子からはみ出してる髪は青白く………青白く。あっ…まさか。



「シ…ショー……あ、アリガト」



 その女の子は、白い肌が際立つほど真っ赤に染めた顔をまだうつ伏せ気味にこちらに向けてきた。

 なるほど…有夢と美花が異常にニヤニヤしてたのはこのためか。ああ…あああああっ!



「リルっ…いつからそこに…!? いや、それより今の聞いてたのか?」



 黙ってコクコクと頷くリル。

 普通の人間になっているはずだから獣耳と尻尾は本来見えないはずなのだが、今はすごく荒ぶってるような幻覚が。



「お、お前ら……」

「いやぁ…だってもう少しでリルちゃん来るかもって勘が働いちゃったんだもん」

「俺は美花がいたずらをし始めた時にリルちゃんみたいな人影がみえたから」

「「ねー」」



 こいつら…。

 特に有夢なんて見た目がそんなんじゃなかったら今、飛びかかって関節技かけてるとこだったぞ。

 まさにしてやられたって感じだ。



「あー、ショー。そのき、来ましたよ」



 顔を赤らめながらリルはそう言う。

 うん、全く違和感がない流暢な日本語だ。やはり頭が良いんだろう。

 まあそう言う話は全て置いといて、とりあえずは言うことがあるよな。



「ようこそ、リル」



____

__

_



「みんな、お迎えアリガトウ!」



 ぺこりとリルは頭を下げた。



「良いんだよー。友達だもん」



 美花が微笑みながらそう言った。

 いくら可愛いからってマスコミ関係の人は美花に一眼レフを向けるのをやめろよな。写す対象が違うだろ。



「とこらで私、ミカちゃんとアリムちゃんがこっちの世界の姿に、今一番驚いてる」

「あはは、どうかな? 髪と目の色がちがうけど」



 有夢がハニカミながらそう言った。

 いくら可愛いからってテレビ関係の人は有夢にカメラを向けるのをやめろよな。映す対象が違うだろ。



「ふふ、なにかイメージした通りかな。二人…ううん、サクラちゃんも合わせて3人とも美女世界100選とかに楽々ランクインしそうだね」

「そ、そんな…ことない…よ」



 桜ちゃんが叶と手を繋ぎながら照れる。

 だからさ、男たちはそっちに注目するなっての。

 


「それより、私は二人の見た目よりアリムちゃんが本当に男の子だったことに驚いているんだよ」

「しーっ、ね。絶対にアナズムで誰にも言っちゃダメだよ。詳しいことはまた今度話すからさ」

「了解したよ」



 まあ…有夢に驚いちまうのは仕方ないわな。

 どうみたって男じゃないもんな。

 そんなリルの見た目は獣耳と尻尾がないくらいであとはいつも通りだ…がしかし。

 ノルウェーだからイギリスやイタリア風だ。いや、それも当たり前だが…なんだろうまるで日本のアニメからまんま出て来たようなんだ。

 スポーンと抜け出して来たような。そんな感覚。

 まあ彼氏である…そう、彼氏の俺が言うのもなんだがー? 100人いたら100人は絶対に可愛いって言うだろう美少女っぷりだぜ! 贔屓目抜きでな。ああ。

 

 

「ショーは…そのまま? いやなんかこっちの方が筋骨隆々にみえるね」

「そ、そうか? 普通だぞ?」

「うん? 筋肉フェチでもこじらせたかな?」



 まあリルが筋肉フェチだって告白して来てから筋トレする時間を増やしたのは内緒だけどな。

 


「とにかく……こうして会えて私は嬉しいよ。ショー…こっちの世界でも、よろしくお願いします!」



 満面の笑みでそう言うリルに、周りに居る全ての人間が思いっきり注目をした。

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