第四百五十話 セインフォースvs,虹帝犬
「はああああっ!!」
リロさんの気合のこもった一発。
現れる魔法陣を避けるように虹帝犬は後退したが、その場所には。
「サンダーエミッションっ!」
カルアちゃんの雷魔法が待ち受けていた。
それに素早く対応し、虹帝犬は飛ぶように回避。
しかしまた、その先にもミュリさんが唱えたウォーターマーチレスによる波が押し寄せていた。
今度こそ回避できずに流されてしまう虹帝犬。
飛んで行ったその先は元いた場所であり、リロさんの魔法陣が広げてある場所でもある箇所。
「いっけぇーーつ!」
炸裂するSランクの魔法。
光を纏った爆炎の嵐が虹帝犬を襲う。
「やった?」
「いや…まだだ! 行くよオルゴ!」
「おうよ!」
重傷を負った虹帝犬に向かって、2人は剣の道の技を放つ。回避できずに虹帝犬はクリーンヒット。
そして。
「追撃ってやつかな。ダークマーチレス!」
いつの間にそんなの覚えてたのか、ティールさんの闇の最上級魔法により追撃がなされた。
「グアア…グルアアアアアアッ!!」
それでもまだ倒れない。
さすがはSランクの魔物。
一番近くにいるルインさんに向かって、ポロポロの様子を気にすることなく飛びかかった。
「残念っ!」
リロさんがすぐさま魔法を唱え、ルインさんは剣をうまく扱い虹帝犬の爪を弾く。
そして、魔法発動。
今度は氷の最上級魔法が襲いかかり、上に吹っ飛ばされた。
と、同時にその魔法は地面を氷漬けにし、落下してきた虹帝犬はうまく着地できず。
「もう一度……! はああああああっ!」
その隙にリロさんがまたSランクの魔法を唱え、放った。再び現れる豪炎の嵐。
やがてその炎嵐によって巻き上げられた埃や煙による靄は消えた。
その場には虹帝犬の死骸とAランクの魔核7個。
「やったぁ……っ! って、劣化種だったんだ」
ちょっと残念そうにリロさんは言う。
「劣化種でもAランク亜種より強いですからね、良いです」
「うん、そう言えばそうだね! ふぅ…流石に疲れちゃった。MPはまだ少し余裕あるけど…休んでも良いかな?」
杖を支えにしてかがみ、リロさんはそう呟く。
「そうですね。このダンジョンの最後まで来たことですし、キリもいいので、一旦少しだけ休みましょうか」
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「レベル130だとっ!?」
休みに入ってから。
ステータスをみたオルゴさんがそう叫ぶ。
レベル130って言ったら、Sランクだね。SSランクまではまだまだだけど、もうここまで…。
「スキルによりますけど、もう単独でSランクを1人で倒せるぐらいにはなってるんですね…」
「そう言えば…そうなるね。普通だったらAランクの魔物を日にちをかけて倒さなきゃいけないのに…」
そう、それに魔物のランクが高くなるにつれて野生の数は減ってくるからね。
例えば…レベル的に、AランクからSランクになるまでにはSランクの魔物を3体くらい倒せばいい。
現実的に考えてAランクの人がSランクの魔物に勝てないから…だからAランクの魔物を30体倒せばいい計算になるけれど、それはめちゃくちゃ難しいんだよね。
「それじゃあ、スキルポイントもたくさんあると思いますし、どなたか剣の奥義を覚えませんか? Sランクの魔核6個はありますから2人習得できますよ!」
そう、切り出してみたよ。
「誰から覚えるべきか、なんだよね?」
「はいっ」
最初に反応してくれたティールさんはしばらく考えるように顎を抑えてから、しばらくして口を開く。
「やはり、ここはルインとオルゴ君からがいいと思うんだ」
「私も同感ですっ! まずはお兄様方からっ!」
オルゴさんとルインさんは顔を見合わせる。
「いいの?」
「いいよ」
「じ、じゃあ」
カルアちゃんからルインさんとオルゴさんはSランクの魔核を3個ずつ受け取った。
不意に、ルインさんが俺の方を振り向く。
「……奥義ってどう作ればいいの?」
「俺は剣獄奥義の作り方を知っているが…。同じのはここは控えるべきだよな?」
なんて俺に相談してきた。
ふふ、ならアドバイスしてあげよう。
「剣の奥義はテキトーです。剣の道を軸に好きなように好きな組み合わせで合成すればなんかできます」
「そ、そんなのでいいのか…? 父からは『剣獄奥義はまず、鍛治が居る!』…とか教わってたのだが」
「そんな決まった感じで存在しませんよ。テキトーです。テキトー。とりあえず試してみてください」
「お、おう」
2人は目を瞑り、Sランクの魔核を使用した。
数分後に目を開ける。
「……何を取得しました?」
「僕は剣帝奥義っていうのを」
「俺はやっぱり剣獄奥義を…」
と、それぞれが報告してくる。
SKPも満タンまで割り振ったようだ。
……次の周回がグッと楽になったね。




