第四百四十七話 15回のちAランク
「アリムちゃん…っ! レベルが85になったよ」
「おめでとうございます!」
およそ4回目くらいの休憩中にルインさんはそう報告してきた。カルアちゃんとティールさんもレベルは80以上になってるだろう。
この目標であるレベルに到達するまで、3回しか休まなかったんだ。
やっぱり回数をこなすにつれて魔物を倒すのが楽になってきたみたいで、前の周回なんてリロさんの出番がなかったんだよね。
成長するものだねぇ…うんうん。
「ところでアリムちゃん、次に挑む前の、今がちょうど良いくらいだと思うんだ。スキルの相談をさせてくれないかい?」
「良いですよっ! あー、なんなら装備品を作りながらにしましょうか。では先に擬似商売の方を……」
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武器をBランク亜種をふんだんに使ったものに新調し、みんなのスキルも強くなった。
まず、ルインさんとオルゴさんの剣の気。
もともと、ルインさんは光の剣気を、オルゴさんは地の剣気を持ってたんだけど(それ以外の攻撃スキルはあまりなく、あとは剣技と少しの魔法と採取とか解体とか)、今回はその気を強化したんだ。
まあ、ただ魔核の都合上、それぞれの「剣気」と「剣の道」を合成しただけだけどね。近いうちにもっと強化するよ。
それとルインさんは本来なら魔法も回復魔法も剣も扱えるようなオールマイティなステータスにする予定だったらしく、光術にもだいぶ振ってあった。
だから取得してたSTPを魔力に攻撃の3分の4くらいになるまで振ってもらって、その上、SKPの方は貯めてただけあってかなりあったから、光術を極めてもらった。
癒術は後回しってことにしてもらったけど。
ちなみに、ルインさんは光術を国王様からもらったスキルカードで入手したらしい。
一方でオルゴさんには気の種類を増やしてもらった。
この人にぴったりなのなんだろなーって、考えてたら良いのがあったんだよ。
「鉄」なんだけどね。
見た目がイカツイから合うと思って。
そういうわけでオルゴさんは鉄の気のBランクスキルを入手してる。
ミュリさんも強くなった。
だいぶSKPが貯まってたため、まずは癒術と解異常術をMAXにしたらしい。
次に攻撃魔法として水術をMAXにする予定を立ててるそうだ。それも今や極の1レベルとなっている。
そしてリロさんは火術だけでなく、風術と氷術もMAXにしたんだ。
これだけMAXにしたから、Sランクの魔法を覚えられる準備ができたって伝えたら、飛び跳ねて喜んでた。
ゆれるゆれる。何がとは言わないけど。
ティールさんはみんなのを見て自分で考えるんだって。
ステータス見れるって便利だね!
一方で、カルアちゃんも魔法を覚えたいらしく、ルインさんみたいに回復魔法も……とは流石にしないみたいだけど、雷術を極めたいとか言い出したんだ。
カルアちゃんが俺を初めて見たとき………武闘会のあの雷魔法がどうしても忘れられないらしい。
というわけでカルアちゃんは雷魔法を極めた上にさらに、Aランクの魔核がいくつか余ってたってことと、ルインさん達みんながカルアちゃんに譲ったってこともあって、雷の剣気のAランクのものを習得した。
ステータスもいいようになるように一緒に考えたしね。
これだったらもう、あの隠し部屋のミッションもクリアできるんじゃないかしらん?
あ、ちなみに俺とミカはみんなが眠って休んでる間に、お部屋でイチャイチャしたよ。
どんな風にイチャイチャしたかは秘密だけど。
「よし…じゃあ、満を持して…先に行こう!」
ルインさんがそう音頭をとってから、俺たちはダンジョンへと潜った。
道中、「ここはやらせて」とティールさんが全て1人でBランクの亜種まで片付ける。
全くなにも消耗せずに次の段階へ。
俺の今までの経験が正しければ、次で最後なんだけど……。
予想とは裏腹に全然違った。
あの大きな扉はない。
だけど居たのはAランクの魔物。
……そう、毎度お馴染みのミルメコレオ。
なんでこいつこんなに俺らの周りに出てくるの? それにショーからもカナタからも、ダンジョンから出てきたって聞いたよ?
どうしてダンジョンから頻出するのかね、こいつは。
まあでも、特に厄介な技や魔法は持たず、強そうな見た目と力が自慢の単純な力押しの魔物だから助かるけど。
俺がダンジョンを作る立場だったら、とりあえずこいつ置いておくなーって感じ。
でもそれだけじゃなくて、なんと両隣にBランク程度だと見られる魔物が付いている。
これで最後じゃないとか、次はSランクでも出るんじゃないだろうか。
「じゃあ…全力で行くわよ!」
「あ、あの、全部出しきらなくても勝てると思います」
「え? そうなの? じゃあ…私のMPの半分くらいの魔法をくらいなさい!」
魔物達がこちらに気づく射程内。
ミルメコレオが飛びかかろうと反応する少し前に魔法…炎と風の最上級魔法の乱舞が奴らを襲った。
風と火が爆発を生み出す。
風圧がすごい。
……煙や圧が晴れた後、その場に残ってたのはミルメコレオの残骸とBランクの魔核2個、Aランクの魔核だけ。
「やったあああっ! ついに、ついにAランクの魔物を倒しちゃった! 私が、私がっ!!」
すんごく喜びながら、また、ルインさん抱きつくリロさん。2人は前回と同じようにすぐに顔を赤らめ、離れてしまった。
「……まさか、ここまでになるなんてな」
「はは…僕達全く行動してないよ…」
「それなら……あの隠し部屋に行きませんか?」
「……!」




