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第四百十五話 購入

「じゃあ、また近いうちね!」

「はい!」



 昨日のお泊まり会が余程楽しかったのか。



「じ、じゃあね、カルア…ちゃん!」

「わ、わふ…じっ…じゃあね!」



 それとも、一気に二人も友達が増えたのが嬉しかったのか。



「待ってます!」



 カルアちゃんはものすごい笑顔で俺たちを見送ってくれた。

 まあ、家は隣だからそんなに大げさに見送ってくれなくてもいい気がするんだけど。

 次会う予定も、鍛錬をする日も決めちゃったし。

 ……なんて考えてるうちに家にもうついちゃったりして。


___

_



 家に帰ってきて早々に。



「わふー…! お姫様とお友達…! お姫様とお友達っ!?」


 

 リルちゃんはこの国の姫様と友達になってしまったという驚きと興奮が冷めないのか、ショーの腕に抱きついたまま、うわ言のように繰り返しそう呟いていた。



「それにしても、ここの国王は、エグドラシル神樹国のアホとはえらい違いだね。話も親身になって聞いてくれるし、第一、まったく偉そうじゃない。周りの大臣さんとかもそうだ」

「亡くなっていたとしても、仮にも国王である人をそんな風に言って大丈夫なの?」



 エグドラシル神樹国王に対する不満と、メフィラド国王に対する高い評価を述べたカナタに、ミカは問う。



「ミカ姉、あのアホはね、ロクな王様じゃないんだ。奴隷制を改悪したりしたからね! それに政治も右大臣とか左大臣とかみたいな人に放りっぱなし! 自分は踏ん反り返ってなんか怪しいことしてるだけ! 能無しのだからって全部人任せ! それに比べたらメフィラド国王はどれだけいいか」



 うーん、カナタがこれだけ嫌うってのも、ただその国王の性格が悪かったってだけじゃないよね。

 サクラちゃんがなんかの標的にされたりしたんじゃないだろうか? じゃなきゃ、こんな風にはならないだろう。

 カナタは本当にわかりやすいくらいサクラちゃんLOVEだから。



「ああ、俺もカナタ君に完全同意だわ」

「ショーもか。へー」



 普段、人の悪口を言わないショーまでそう言うなんて、相当だと思うの。

 


「まあ、そんなことはもう終わったことだし、もういいでしょ? こっちの世界にいる間は、俺はこの国に住むって決めたし。治安も最高、経済状況もアナズム内でトップレベル。国王や王子様達もいい人だし」

「俺もだなー。ここは本当にいい国だ」



 なんかそう言ってもらえると、俺も嬉しい。

 この国は俺にとっての第二の故郷みたいなものだから。

 いつからそんな感覚が芽生えてたかはわからないけどね。

 それからこの国について色々といいことを話し合って、俺達が地球で住んでいた街と比較してどっちがいいかの話題になった時、カナタが思い出したように唐突に変なことを確認してきた。

 


「……姉ちゃん、俺ら、明日試しに帰って見るんだよね?」

「んー、そうだけど。どうかしたの?」

「あのさ、転生ショップなんだけど、項目を確認しただけで、何も買ってなかったじゃない? こう…今のうちに買っといたほうがいい気がするんだよね。移動の追加機能ってやつとか」



 確かにそうだ。

 忘れてた。転生ショップで何一つ買い物してないじゃないか。こういうのは試してみないとダメなんだよ。



「なら買い物しよっか」



 俺はお地蔵様型・転送兼転生店装置を取り出して、床に置いた。



「ん、姉ちゃん、まず俺からやって見るね」



 サクラちゃんと握っていた手を離し、カナタはお地蔵様の頭の上に手を置いた。

 その2分のち。



「おお…転生回数が減ってる…」

「本当に減るんだ。このショップはやっぱ本物かぁ…」



 カナタ曰く、説明された通りになっているとのこと。

 次に俺も試してみる。


 例の項目から転送の権利とそのオマケ的なものを選び、購入。

 そして元のスタート画面のような最初の画面に戻ると、きちんと転送が可能になっていた。

 すぐにお地蔵様から手を離し、ステータスを確認。

 うん、やっぱ本当に転生回数が減ってる……!



「ほら、ミカも!」



 そのあと続いて、ミカ、サクラちゃん、ショーが転生ショップで買い物をした。

 リルちゃんはまだ転生回数が足りないから購入はできなかったけど、いつか転生回数を貯めて、別世界に行く権利を買いたいのだそうだ。まあ、当然か。

 ……。



「ねえ、みんな、終わった?」

「ん? 終わったけどアリ姉、どうかしたの?」

「いやちょっと買い物続けたくって」



 例えば新機能の追加とか。

 例えば、星5スキルの購入とか。

 一回、帰っちゃう前にしたいんだ。

 特に新機能の追加なんて、もしかしたら転送に良いことがある新機能が追加されるかもしれないし。



「んー? 姉ちゃんが作った装置だもの。姉ちゃんの好きにすれば?」

「うん、そうだね。そうさせてもらう」

「まあ、姉ちゃんはケチだから心配してないけど、転生回数の無駄遣いはしないように」



 そんないらない忠告をもらいつつも、俺はもう一度、転生ショップを開いた。

 



######


本日は2話投稿致します!

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