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第四百十二話 流星翌朝

「ありがと、みんな!」



 ミカはショー達に嬉しそうにお礼を言った。

 俺の誕生日を祝うためにみんなを追い出しちゃったんだもんね。

 本当はみんなでお祝いすることも考えたらしいんだけど、どうしても二人っきりでイチャつきたかったらしい。

 ミカは本当に可愛い。



「おう。こっちこそ、この街で一番いい宿の最上階に泊まらせて貰えたしな」

「わふーっ。あんなところよくとれたね!  おかげでショーと一緒に流星が綺麗に見れたよ!」



 そう、満足気にいうリルちゃん。

 そういう手配は忘れなかったんだね。

 それにしてもよく流星の日が近いのに、一番高級な宿の最上階なんて泊まらせることができたもんだ。



「お姉ちゃん、私達も見たよ! すごかったね!」

「ああ…唸る…流星が…っ! 散りゆく星々の______いてっ」



 サクラちゃんが厨二病に浸っている弟の脛を蹴った。



「もー。変なこと言わないで、普通に感想言って!」

「ああ。桜の方が綺麗だよ」

「ふぇ…っ!? ……ば…ばかっ」



 カナタのありきたりなキザなセリフにサクラちゃんは顔を赤くさせ、顔をうつむかせた。



「おう…ところでなんか進展はあったのか…?」



 ショーがニヤニヤしながら訊いてくる。

 


「んふふー、あったよぉー」

「そうか、そうかそうか。そいつぁは良かったなー」



 うわ、ニヤニヤが増しやがったっ。

 こいつぅ。今度この顔に悪戯描きしてやろうか!?



「……ところで姉ちゃん、今日することって______」



 いつのまにそうなったのか、幸せそうな顔のサクラちゃんに腕に抱きつかれてるカナタがそう訊いてきた。



「ん、今日は前から言っていた通り、この国の王様のところに行くよ」

「わ…わわふぅ……!!」



 サクラちゃんの真似をしてショーに抱きついていたリルちゃんは、ガクブルという擬音が聞こえてきそうなくらい震えた。

 この子は向こうの国の王様にも会ったっていうし、意外と偉い人達と会ってると思うんだけど…なれないのかしら。



「リルちゃん、そんなに怯える必要ないよ。カナタから話を聞いたら、エグドラシル神樹国の国王は酷いひとみたいだったけど、こっちの国の王様はすごくいい人だから!」

「そうよ、リルちゃん!」

「わふぅー……」



 リルちゃんは抱きしめる力を強めた。

 お、ショーの野郎、一瞬だけど嬉しそうな顔したぞ。

 なんやかんや言ってもショーも男なんだね。

 それよりも。



「えっと…会う約束の時間を国王様と打ち合わせた結果、昼食を食べた後だから…1時からって約束になってる。その間に豪華な服とか用意してあげるからね!」



 内容を伝えると、緊張しすぎてるリルちゃん以外はみんな頷いてくれた。

 よしよし。



「ん…じゃあみんな集まってるし、ついでにいつ向こうの世界に戻るかの話をしようか」

「ん…」



 みんなの空気が変わる。

 これは本当に俺たちの人生にとって大切なことだからね。



「えっと、当初の予定通り、明後日でいいと思うんだけど…どうかな?」

「それでいいと思う」

「だな」



 ミカもサクラちゃんもそれでいいみたいで、賛同してくれた。

 リルちゃんはショーにしがみついたままだ。

 リルちゃんが身体を動かすたびにショーの表情もほんの少し動くのがおもしろい。

 絶対に帰ったら弄ってやろ、絶対に弄ってやろ!

 いじめてやろーっ!


 

________

______

____



 約束の時間になった。

 俺たちはメフィラド城の前に居る。



「おお…ここが! …って、道を挟んでほぼ隣だもんな」

「うん、目の前に城…いいでしょ? よく来るからこっちに引っ越してきたりしたんだよね」

「はあ…スケールがやべぇ」



 門兵さんが俺たち6人に向かって敬礼し、敷地内を隔てる門を開けてくれた。

 ギィ…という、門の開閉にしては静かな音が響く。

 リルちゃんはビクビクしてる。



「じゃ、行こうか!」



 俺とミカが先頭を切って庭の中を進む。

 4人…特に3人はエグドラシル城で慣れてるのか、そんなに緊張せずに進めてるよ。

 城の門の前にたどり着くと、そこには騎士団長さんと大臣さんが居た。

 二人は俺たちに向かってぺこりと頭を下げる。



「私はメフィラド王国総合騎士団長、ゴルドという」

「私はこの国の大臣を務めております、オラフルと申します」



 頭を下げる二人に対して、ショーとカナタとサクラちゃんも頭を下げる。

 リルちゃんは下げすぎなくらい下げてるし。



「賢者様方、この度はメフィラド王国、メフィラド城にお越しいただき誠にありがとうございます。……国王様がお呼びでございます。私共が城内を案内致しますので、ご同行お願いいたします」



 門は開かれた。

 ふふふ、大臣さんも騎士団長さんも、お初の客人だからって、張り切っちゃって。

 もっとフレンドリーにすれば良いのに。


 なんてことを考えながら、俺たちは大臣さんの後をついて行く。そして、玉座の間に着いた。

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