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第四百十話 アリムの誕生日

「次のは有夢の部屋に用意してあるの!」



 ミカはそう言ってくれた。

 そのあと、すぐに少し悲しそうな顔をする。

 その理由がわからないけれど……あれか、もしかしてゲームを用意したとかかな?


 ……3日前の夜、俺は、ミカが俺がいない間、どうしていたかをカナタから教えてもらった。

 大まかにだから、実はもっとすごかったんじゃないかって、カナタは推測して言ってたんだけど。

 うん、たしかに思い当たる節はあるんだ。

 『私は有夢のもの』だとか、『有夢は私のもの』だとか時々口に出してるし。

 もしかしなくても、ヤンデレってやつなのかもしれない。

 ただ、それでいい。

 俺もおんなじ気持ちだから。

 こっちの世界に来てからのミカが居なかった間、俺はミカのようには苦しく思ってなかった。

 だって俺が死んだんだし…。ミカが死んだわけじゃないしね。

 でも、もし俺とミカのくる順番が違ったら。

 俺は絶対にミカと同じようになっていたと、断言できる。

 それに、相手はミカだから。

 ミカが俺を狂おしいほど愛してくれてるっていうんだから、もう喜ばしいじゃない?

 もしかしたら、こんな俺もおかしいのかもしれない。

 ただ、俺らはそれで良いんだ。



「有夢? いこっ!」



 いつの間にか俺の部屋の前に着いていた。

 ………そういやミカって俺がいない間に、向こうの俺の部屋に入ってたんだよな?

 ベッド下とか調べられてないかな?

 ヤバいぞ…見つかったら。


 それにしてもあれだ、今日のために作った、この理性と羞恥心を抑えるミサンガなんだけど…すごい効果だ。

 この部屋の中に入った瞬間、すぐにでもミカをベッドの上に放って、押し倒したいという衝動に駆られる。

 うーん…。本当に少し前までキスもハグも恥ずかしくて…2回も色事しちゃって、それら程度は毎日するようになったけど……それでもそれより上のことは今でも恥ずかしかったのに。

 やっぱりミサンガのおかげ。

 …あるいは、ミカには何しても大丈夫だって確信しちゃったからかも。



「えっと…喜んでくれると嬉しいな」



 カナタと寝たときくらいしか使ってない俺の部屋。

 そこには可愛らしい包装紙につつまれた、たくさんのプレゼントが。



「ありがと! 開けて良い?」

「……うん…!」



 俺は一つ手にとって、開けた。

 ゲーム機だった。

 もう一つ手にとって開けた。

 スタートクエストというゲームの詰め合わせだった。

 さらに開けた。

 様々なゲームの攻略本だった。

 何もかも、全部、俺が遊びつくしたやつ。



「えへへ…それね、ゲームだよ! …本当だったら有夢、自分で作れるもんね。でも今まで私のために我慢しててくれたんでしょ? ……いいよ、これからは。仕事とか大事な用事がない時は、いつでもゲームして。まあ…それを思いだしながら用意してる間に、向こうに帰れる状態になっちゃったけどね」

「………そうだね。ね、これってもしかして、データとか俺の…?」

「そう、頑張って思いだしたの! 有夢ってば、ゲームのセーブデータすごく大事にしてたから。確認してみて?」



 俺はゲーム機本体の一つをつけて、初期設定とかし直して、ドラグナーストーリーというゲームの 1 を入れる。

 データはそのままだった。



「ん…えへへ、今から…8時間くらいなら、時間あるけど」

「………その間、ミカはどうするの?」

「昔みたいに、黙って隣で見てるか、部屋で他のことしてるよ」



 にこりと笑うミカの目は寂しそうだった。

 そんな目をされるとなんか…いつもの俺じゃない俺は…こう________



「えっ…あゆむぅ…っ!?」



 いつの間にかミカを壁際に追いやり、逃げ場を無くさせていた。さらに、あごをクイって持ち上げて、無理やり俺の顔を見させる。



「今はゲームより、この世界とミカに夢中かな、なんて」



 そのまま俺は本日2回目の深いキスをする。

 ミカは一切抵抗することなくそれを受け入れる。

 その勢いで手をミカの胸にもっていこうとして、やめた。



「えっ…?」

「ふふ、続きは夜…いいよね?」

「う、うん!」



 ミカはものすごく嬉しそうな顔をして頷いた。

 ふう、やばかった。理性を完全に消さなくてよかったよ。楽しみは夜まで取っておかないと。

 だって、その前に俺から渡したいものもあるし。



「それで、ミカが用意してくれた8時間なんだけど…」

「あ、うん、飽きたりとか…こういうこともあろうかと、私、他のイベントも用意してるの。どうする? 有夢の好きにしていいよ?」

「そうか、じゃあまずは…。せっかく用意してくれたプレゼントを確認してから考えるよ」



 俺はプレゼントの中身を全部見た。

 ミカったら、よくここまで思いだしたね。全部合ってたよ、データ。

 俺はパーティゲームを取り出して。



「浦島太郎電鉄…やらない? 3時間くらい」

「うん…する!」

 

 

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