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第三百九十七話 ショップ確認

「アリム、どうだった?」



 俺は目を開けた。

 まずそう訊いてきたミカの顔を見て、それからこの場にいる全員を眺める。



「ん……どうかしたか?」

「あ、いや。かなり良かったよ、転生ショップ」

「どんなのだった?」

「それは多分自分で見てみたほうが良いよ、一人ずつ。すごいから。リルちゃんもちゃんとね」



 これがあればショーやカナタが悩んでること全部が解消される。だから俺は全員に自分の目で見て欲しい。

 ふふ、みんなの興奮して喜んでる顔が目の中に浮かぶよ。



「あん? そうなのか?」

「うん。口で説明するより自分で見たほうが理解できるよ。言っとくけど、本当に凄いからね?」



 なんて言ってから、俺は椅子に座った。

 みんなは首を傾げつつも、カナタから転生ショップの内容を見始めたみたいだった。

 そんな時。



【アリムよ、今は大丈夫か?】



 国王様から連絡が来た。

 待ってたんだよ。こっちから連絡して、なんかの会議中でも悪いしさ。

 俺は転生ショップを見たときの興奮を冷ますために少し深呼吸してから、そのメッセージに返答をした。



【はい、大丈夫です】

【そうか。…賢者とその仲間の様子はどうだ?】

【普通に元気です。今はボクの家に泊まってもらってます】

【うむ】



 チラリと、俺はみんなの方を見た。

 まだカナタは転生ショップの詳細を見ているみたいだ。

 もしかしたら、全部、くまなく見てるのかもしれない。

 とりあえず、このまま国王様とのやり取りを続けることにする。



【…それで、その…これからどうなるんです?】

【ん? これからか? ……ああ、アリムは気にしなくて良い。政治的なことは我々に任せておけ。それよりも】



 間を開けてから、国王様は続きを話す。



【昨日言っていた説明をして欲しい。……今日でなくていい。直接会って数時間話すのが大丈夫な日は無いか?】



 うーん……大丈夫な日にち…か。

 なるべく、俺の誕生日の後がいいな~、なんてわがままを考えてみる。

 うん、やっぱり転生ショップのこともあるし、3日後の俺の誕生日の後がいいかもしれない。



【すいません、今日から明々後日までこっちのことで手一杯で…。多分、次にお城に行けるのは早くても4日後になると思います】

【そうか、わかった。そちらの都合に合わせよう。……ところで、明々後日まで忙しいということは流星の日も来れないということか?】



 カルアちゃんが一緒に見たいと言っていた、めちゃくちゃ星が流れるらしい日。

 その日が俺の誕生日で…きっと、てゆうかミカは必ず誕生日を用意してくれるはずなんだ。

 ……優先順位なんて本当はつけたく無いけれど、仕方がない。俺はミカに思いっきり祝って欲しい。

 ごめんね、カルアちゃん。



【はい、そうなんです。カルアちゃんに『ごめんね』と言っておいて下さいませんか? その代わり、前々から約束していた鍛錬に出掛けることがそろそろできそう…ですよね?】

【ああ。向こうの国次第だが、この都市からルイン達とカルアを出しても問題はなくなるだろうと思う。わかった、きちんと伝えておこう。時間をとってすまなかった。さらばだ】



 国王様はメッセージを切った。

 うん、本当に一緒に見れなくて申し訳ないなんて思う。

 カルアちゃんの残念そうな顔が脳裏に浮かぶけれど、ミカのとびっきりの笑顔でそれを打ち消す…のはちょっと難しかった。

 もうこうなったら、約束してた鍛錬、思いっきり楽しませてあげよう。



「兄ちゃん、見たよ」



 丁度メッセージのやりとりが終わったところでカナタがやって来て俺の隣に座った。



「どうだった?」

「…内容が疑いたくなるくらい美味しい。とくに兄ちゃん達は531回も転生してるんでしょ? つまり…」


 

 カナタはジッと俺の顔を見つめて来た。

 イケメンというより、可愛い系…というより、女装をしたら俺みたいにさぞかし似合いそうな女の子そのものに近い顔立ちをした弟は、憂いを含んだ目で俺を見ている。



「地球に兄ちゃんと美花姉が帰ってこれる……!」

「そういうこと。すごいよね、本当に。 」



 俺はカナタの頭を、こいつより足りない身長から伸ばした手で掴み、俺の胸元まで持ってきた。



「ごめんね、寂しい思いさせて」



 ちなみに、今の俺はアリムのままだ。

 アリムも歳相応かそれ以上に胸がある。

 フニっ……と。



「ふ…ふごっ!?」

「どう? 今のボクは女の子だからね。胸だってちゃんとあるんだよー。まあ、この中で一番小ちゃいんだけど」



 離れようとするカナタの頭を、力を込めて離さないようにする。

 カナタは瞬間移動で逃げた。



「あっ…」

「も、もう、なにするの!?」



 と、思ったら瞬時に隣に戻って来た。 

 ちょっと顔を赤くしている。なるほど、カナタがモテてた理由はこういう感じもあったからかもしれない。

 完璧すぎて近寄れないなんて人は、どんなに顔が良くてもモテにくいだろうから。



「ははは~、なんだよ。実の姉だよ? 照れちゃってまー」

「うっ…うるさいっ!」



 カナタの赤く充血していた目はすでに白色に戻っている。それを確認し、ただポンポンと、2回だけ、カナタの頭を撫でてやった。

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