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第三百九十一話 夢みたいだけど

 お風呂に入り、就寝途中。

 俺とミカはベッド潜りながら、少し話をしていた。



「うーん…」

「どうしたの? 有夢」

「いやね、叶と桜ちゃんと翔が、まさかこの世界に来てるなんて少しも思ってなかったから……」



 俺にとって今日の出来事はまず忘れられないだろうなぁ。

 だって、だってだよ?

 まさか叶と桜ちゃんと翔がこっちに来るなんて思わないじゃない。偶然にもほどがある。

 正直、黒魔神を倒したことなんかよりも驚いちゃったりしてるんだ。

 ただでさえ、ミカがこの場に居るだけですごい偶然なのに。

 もしこれが確率で表すことができたとしたら……どういう感じになるんだろう。



「そうね。でも、私はこうしてこの世界で有夢と再会しただけでも十分奇跡だと思ってるし、桜を見たときは、有夢と再会したときほど驚かなかったな。こういうこともあるんだなーって」

「うーん、なるほど」



 奇跡かぁ…確かに奇跡だよね。

 人間、70億…今はもっとかな。そんな数の人が居るっていうのに、こんなに身内だけが俺の周りに出現するというのもすごい奇跡だ。

 そのうち、お母さんとかお父さんとかも出て来たら、泣くどころか笑っちゃうかもしれない。



「ふああ…明日からまた忙しくなるわね」

「えーっとしなきゃいけないことといえば……」



 そう、明日からしなきゃいけないことといえば、まず、黒魔神スルトルを倒したことについてや、俺の正体とかを国王様に話さなきゃいけないこと。

 これは、呼ばれたらお城に行ったらいいね。


 それと、叶と桜ちゃんと翔をどうするか。

 とりあえず…かえさなきゃ…ね。

 でも俺は、帰るかどうかの意思を本人達に訊こうと思ってる。特に翔なんてリルちゃんっていう彼女がこっちに居るわけだし。


 あと、スルトルを倒したことが有名になってまたアイドル活動が忙しくなるだろうし、俺の誕生日があと4日しかないし、カルアちゃん達と約束してる特訓をしなきゃいけないし…うん、盛りだくさんだ。



「_____て、かんじかな」

「そうね。………お誕生日、楽しみにしててね? 絶対に有夢を喜ばせてあげるから!」

「ありがとう、ミカ」



 俺はミカの頭を撫でてからキスをした。

 ベッドに備え付けられてる電気のほのかな明かりが、嬉しそうにするミカの顔を俺によく見せてくれる。



「えへへ。……誕生日のことは期待してて欲しいんだけど…。ね、有夢、どう思う?」

「……何が?」

「私が地球に帰れる状態にあるのに、帰ってないこと。まさか桜がこっちに来るなんて思ってなかったから……なんて言えばいいかな?」



 途端にミカは不安な表情になる。

 もしかしたら、家に帰ってきてからずっとこのことで悩んでたかもしれない。そんな気がする。



「桜ちゃんに?」

「うん。私は正直に謝ろうと思ってる。どんなに怒られてもいいから…私は有夢と一緒に居たい。でもあの子、私のことしたってくれてたから…」

「そっか…」



 俺はなんとも言えない。

 だって、俺だってミカと離れるのは絶対に嫌だから。

 ただ黙って、抱きしめてたミカをもうちょっと強く抱いた。



「……明日はさ、ミカ、自分の部屋で桜と寝てみたら? 俺抜きで話したいこととかない?」

「……確かにあるかも。そうしてみようかな」



 そう言ったと同時に、ミカはハッとした顔をして、こう言ってきた。



「て、ことは有夢、叶君と寝るのよね? 叶君と同じ部屋で寝るなら、アリムになるの禁止だからね! 叶君には桜が居るんだから…」

「あーうん、そうかも。アリムにはならないようにするよ。もっとも、今もアリムも顔は変わらないけど」



 それ以前に、俺らは血の繋がっている……ん? 今は繋がってるのかな? まあ、いいか。

 とにかく、俺と叶は姉弟……もとい、兄弟だ。

 あの叶が意識なんかするわけないだろうけど。



「ふふふ…桜と寝るの久しぶりだなー。あの子、寝て居る最中に他のものに抱きつく癖あるのよねー。今は胸も大きいし………叶君、大変だよね? それとも、内心喜んでるかも」

「ああ、うん。そうだね」



 『ミカもだよ』なんてことは言わない。

 ミカだって高校生の時よりは小さいかもだけど、中々なんだよ? ちなみに、カルアちゃんとミカのは大きさが近いから…3人で一緒に寝ると、俺は大変なことになる。

 無論、その時は俺も女だから、二人の胸に対して抱く感情は、ただの嫉妬だけだけども。


 それにしても、叶は今、桜ちゃんと同じベッドで寝て、ミカの言う通りならば、抱きつかれてる訳だけども…喜んではいるのだろうか? 

 多分、俺と同じで恥ずかしがってる方に一票入れたい。



「……ん、もうこんな時間か。そろそろちゃんと寝ようか」



 俺は時計をちらりと見てそう言った。

 ミカは俺に抱きつかれてるから、とても頷きにくそうだけど、なんとか頷く。



「うん、おやすみ。有夢」

「おやすみ、ミカ」



 もう一度キスをして眠りについた。

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