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第三百八十七話 引き連れての帰宅

「は…はは…ははは。こ、これがお前の家か!?」



 4人が驚くなか、一番最初に喋れたのは翔だった。


 あれからメフィラド王国に一瞬でついた俺達は、幻術とかでうまーく人に見られないように姿を消しながら、俺とミカの愛の巣へと向かった。

 ……よくよく考えたら、俺とミカにとってこれって日帰りじゃね? 一日で魔神を滅したのか、うん、なかなか俺もやるな。

 いや、そんなことより、4人のこの俺の屋敷を見た感想を聞かなきゃ。



「どう?」

「どうってコレ…県庁かなんかかよ」

「いや、そこまで大きくはないよ。豪邸なのは認めるけど」



 でもそう言いたくなるのはわかる気がする…かな? 

 はたから見たらそうなのかもしれない。



「あのお金にケチな に……姉ちゃんが、こんな家を……何があったの?」

「買ったのは土地だけで、あとは自分で建てた」

「なるほど、さすが姉ちゃんだ。一安心した」



 最初は心配そうに見ていた叶も、そう聞いて安心してくれたみたい。

 俺ってそんなにケチだったっけ?

 まあ、今もそんなにお金は使ってないけど。



「あ…アリ姉、ここにお姉ちゃんと二人で住んでるの?」

「ええ、そうよ」

「いいでしょー」

「う、うん」



 なんでそんなことを桜ちゃんは訊いてきたのかな?

 やっぱり、二人で住むのは大きすぎるって考えたのかも。



「わふ…………………………アリムちゃんとミカちゃんのお家……わふぅ」



 リルちゃんは現実が受け入れられてないような顔をしている。屋敷に慣れてないのか、それとも、俺とミカの家に入るのに緊張してるのか。

 おそらく…どっちもだね。



「まあ、それぞれこの家に関して、もうちょっと言いたいことはあると思うけど、とりあえず中に入ろっか」



 俺のその言葉にみんなは頷き、従ってくれる。

 アリム邸の大きな鉄格子の門を開け、一切手入れなんでしてない、なんの思い入れもない、綺麗に整った庭を通り、大きな大きなドアから中に入り、広すぎる玄関へ。



「……広い」

「うん、まあ、マジックルームだから、見た目より広いと思うよ」

「そ、そうなのか」

「それと、この家の中にあるもの、ほとんど伝説級だからね。ちょっとやそっとじゃあ、汚れたり、壊れたりしないから、暴れても大丈夫だよ」

「……うゎ、マジだ」



 翔達は鑑定して見たのか、この事実に目を見開く。

 夢の中にいるような顔をしている3人に対し、リルちゃんだけはカタカタと震えている様子だった。



「翔、なんかリルちゃんが…」

「あ、ああ。リルは高級なものとかに普通の人より慣れてねーってか、高級物恐怖症っていうか」

「こ、怖がってるわけじゃない。き、緊張してる…んだよ」

「だとさ」



 そうなんだ。

 まあ、こんな伝説級でできたものばかりの場所に連れてこられたら、誰でも緊張するかもしれないけどね。

 汚れなかったりして便利だから伝説級のもので満たしてるだけで、とくに意味はないんだけど。



「ところで姉ちゃん、これ、どうやって?」

「わかるでしょ? 全部作ったの」

「ああ、そう…」



 例えばトイレットペーパー一つにしても、使っても無くならないとかね。



「じゃ、まず部屋でも案内しようかな。ついてきてね」



 俺の後にみんな続く。

 ちょっとだけ歩いて、俺は一つの部屋を紹介した。



「ここが、俺とミカの部屋。大抵、俺とミカはここに居るから」

「………おう、あゆ…アリム。つーてことは……そういうことか?」



 俺のキスシーンとか見てない翔が、俺とミカの顔を交互に見ながらそう言ってきた。

 そういうこと………つまり、付き合ってるかどうかってことかも。まあ、普段過ごしてる部屋が一緒って聞いたら、普通は付き合ってるんじゃないか、そう考えるよね。

 実際、その通りだし。



「うん、そうだよ。まあ、それも何もかも全部、落ち着いたりしたら話すから」

「おうぅ、そうかそうかぁ」



 普段から、俺とミカの間柄をおちょくってきていた翔の、あのニンマリとしたニヤケ顔が復活。

 昔はウザかったけれど、今となっては懐かしい。



「お前ら早く結婚しろよ」

「それ何回目だよ」

「5000回目くらいじゃねーか?」



 良く数えてたな……。

 


「うん、まあいいや。次に4人の部屋に案内するんだけど」



 俺は翔達を一瞥する。



「4人別々の部屋がいい? それとも_______」

「「二人一緒!!」」



 桜ちゃんとリルちゃんが同時にそう叫ぶ。



「二人一緒? 叶と桜ちゃん、翔とリルちゃんの組み合わせってこと?」

「わふ。お願いします」

「まあ、翔とリルちゃんが付き合ってるのは聞いてるけど……」



 俺は叶と桜ちゃんの方に目を泳がせる。



「二人は?」

「……………えへへ」



 桜ちゃんが照れ臭そうに笑った。

 それに対し、叶は顔を伏せる。男にしては長い髪の毛に隠れて、よく顔は見えないけど、真っ赤になってるんだろう。可愛い奴め。



「そう、そうなの。やっとなのね」



 ミカが満足そうにそう言った。

 俺も全くの同感である。

 

 

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