表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
396/1307

第三百八十話 翔が起きた 前編

「………あ…?」



 目を開けた翔は、その後も何度かパチクリさせたり、キョロキョロと俺らのことを見てきた。

 


「ああ…」



 溜息を吐くようにつぶやくと、腕で目をこすり、片腕で地面を押して上半身を起こした。



「翔さんっ!」

「翔さん、大丈夫ですか!?」



 まず、ここんところ交流が盛んであった二人が翔にそう、問いかける。



「あ…ああ。大丈夫…だぜ」

「はぁ…よかった」

「悪りー。心配かけちまったな」



 本当に申し訳なさそうに、翔はそう言つつ、正座をした。



「叶君、桜ちゃん……そして、たしか、その____」



 おっと、翔はまだ俺らの正体に気が付いてないようだ。

 ミカと目配せして、話すことを決める。



「アリムだよ! こっちがミカ」

「そうか…アリムちゃんとミカちゃん、よく雑誌やポスターなんかで見るな。4人ともに……かなり迷惑かけちまったみてーだ。本当にすまない、そしてありがとう」



 土下座した。

 柔道をずっとやってきて、礼をするのだろうその時に土下座のように頭を下げる。そのせいか、いやになれた感じの土下座だった。

 そんな翔に叶が言う。



「そんな、翔さんはなにも悪くないじゃないですか」



 しかし、翔は顔を上げると首を振り、こう続けた。



「リルが生き返る…そう聞こえたからスルトルから一瞬だけ意識を奪え返せた。無我夢中で意識したから、なに喋ったかは覚えてねーが…あの時に俺は、俺と対峙している叶君達を見たんだ。この…土地が荒れてることもな。やっぱ…めちゃくちゃ迷惑かけちまったみてーだしよ……謝れば良いって問題じゃねーけど…」



 あり、スルトルってば、わざと明け渡したって言ってなかった? 俺は横目でグラングングニルを見る。スルトルが目をそらした……ような気がした。

 翔は俺とミカの方を向き、さらに話を続けた。



「メフィラド王国から来た、お二人さんも、本当に迷惑をかけた。すまねぇ…っ!」



 俺とミカは顔を見合わせる。

 ミカは俺が考えてることがわかったのか、口パクで『どうぞ』と言ってきた。

 さすがだね、わかってる。俺がそろそろ、自分の正体をバラしたくなったことを。



「うん。でもさ、俺ら親友なんだろ? 気にする必要ないって」

「は……………?」



 申し訳なさそうな顔をから一転。

 翔は困惑している。

 ここでミカが追い打ちをかけるべく、ズイッと半歩前に出て、こう言った。



「叶君と桜ちゃんはすぐに気づいたわよ? アリムはおろか、ミカって聞いても気づかないの? まさか…脳みそまで筋肉になっちゃった?」

「えっ…や…はぁ…」



 翔はミカの目を見つめたまま、とぼける。

 もう正直に、名前と正体を言っちゃおうかと思ったその時、筋肉オトコは叫びだした。



「ああああああああああああああああっ!? えっ、えええええええええええええっ!?」



 …うるさい。

 翔がここまで驚くところを見たのは初めてかもしれない。こいつとは、幼稚園くらいからの付き合いだが。



「有夢かっ……!?」



 翔は俺を指差した。

 仕方ないから頷いてやる。



「美花かっ……!?」



 ミカはコクリと、俺と同じように頷いた。



「有夢っ……美花っ……!? 有夢、美花、ま…マジか…マジで? 幻じゃねーよな?」

「違うよ。幻じゃないよ。ついに脳髄まで筋肉になったのか、この脳筋ダルマめ」



 と、一言チクリと。

 それを聞いてから、翔はスルトルとは違う、清々しい笑顔を浮かべたまま片足を立てると、ガバッと、俺に抱きついてきた。



「ははははは! 有夢っ! 有夢かっ…! ははははははははははははは! 有夢、お前っ…!」

「ちょっ…いくら俺でも、今は男だからね。同性愛の趣味はないよ、どいてね」

「あ…ああ、わりぃわりぃ」



 翔は目をウルウルさせながら俺からそっと離れる。

 まあ、翔なら別に抱きつかれても構わないけどね、昔からこんなやり取りはあったから。

 たまーーーに、俺が本当に女の子として生まれてきてたんだったら(ミカはそのままで)、翔は悪くないと考えてたりもしたし、アリムの場合でも翔なら嫌じゃないけれど、でもねぇ……? 男の俺に男色の趣味はないし?



「はあ。……で、積もる話はいろいろあるだろうけど」

「あ、ああ! あるさ、あるんだぜ、たくさん!!」



 顔を近づけながら、興奮気味にそう言った翔を片手で遠ざける。



「うん、でもね。先にやることがあるでしょ?」

「ああ」



 急に表情が険しく…いや、真面目になり、星座をし直す翔。



「……彼女ができたんだってね?」

「ああ」

「大事?」

「…すごく」

「可愛い?」

「勿論だ」

「生き返らせたい? 髪の毛一本でもあれば生き返らせられるけど_____」



 そう言うと翔は、さっきよりも深く深く土下座をした。

 土下座をしながら、震える声でお願いをしてくる。



「頼む……っ! リルを、俺の大切な彼女を生き返らせてくれっ…!」




########




 今日は……L e v e l m a k e r


     1   周   年  !



の日でございます。



挿絵(By みてみん)

 

 今日はLevelmakerの第一話をネット上に投稿する、という行為から1年目の記念日なんです。

(なろう様初投稿は1月です)

 Levelmaker1周年=私が小説を書き始めた時期でもありまして。なんだか感慨深いでござる。ものすごく。


本当に一年、色々とありました!

日刊ランキング1位に上がった時の感動は今でも脳裏に焼き付いて離れません。


 今は私が投稿してる全サイトを見まして、日に数千人~1万数千人の方が読んでくださり、1万5000人近くの方がお気に入り・ブックマークなどをして下さっています。

 深く感謝…感謝いたします!


 コメントも、ものすごく嬉しいです(*´Д` *)

 ものすごく嬉しいです(*´Д` *)

 いつもコメントして下さってる皆様、本当にありがとうございます(*´ Д`*)


 たかが一年…まだ一年…されど一年。

 私はこの一年で多くの物を、この作品を通して皆様から頂きました。文章の書き方・速度も一年前と比べると向上したような気がします(とんでもなく飽き性の私がよくここまで続いたものだと常々思います)。


 当初、300話前後で終わらせるつもりだったこの作品も今や100万文字前後、400話目前です。

 話的に、まだまだ続きます。

 もうちっとだけ…じゃなく、まだまだまだ続きます。

 そして今現在、来年の春まで私は半生のうちで間違いなく一番忙しいのですが、その後から大分楽になるので、もしかしたらもう1~2作品くらい増えてるかも…なんて。

 4作品同時までならいけます(無理)。


 それはともかく。

 これからも『Levelmaker』『私は元小石』…そしてそのうち増えるだろう作品共々、よろしくお願い致します!


 





おまけ


 ちょっと試しにgif画像を作ってみました。

動かない場合、画像にタップ・クリック→みてみん→最大化で動くかと思います。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ