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第三百七十五話 終焉の世界

「ガハッ__________!」



 身体が炎でできているスルトルは、俺の神の剣の効果の一部によりそれが無効化され、俺の手で斬られた。

 地面にうつ伏せになる。



「……終わった?」



 桜ちゃん、それは言わない約束なんじゃないかな。

 ミカが急いで桜ちゃんの口を塞いだけれど、多分、もう遅い。



「クカカカカカカかッ! ヤベェ、メッチャMPを持っていかれるんだな!! まあ…それも意味はない訳だが」



 ほらね、倒れたはずのスルトルは何の問題もなかったかのように、立ち上がった。

 MPも一切減ってないことがわかる……というか、魔力が上がった?

 それに剣が吸収したMPは、確かに剣に溜まっているっぽいけれど…。



「何したの?」

「アアッ!? 聞きてェのか? しョうがネェナァ! 俺の相手として歴代最強のアリムちゃんには、折角だから教えてやるよ」



 …それはどうもご親切に。

 スルトルは淡々とこの世界の説明をし始めた。



「……ここはな、ラグナロクによって作り出された終焉世界だ」



 叶のことが言えないくらいに厨二病くさいけれど、ここは黙っておこう。



「オレ様はもともと、取り憑いた相手のステータスを取り憑いた相手の強さによって数百倍に。スキルを3ランク分上げるという力を持ッている」



 うわ、何それずるい!

 ……けど、俺はステータス倍増装備で全身固めてるから、人の事は言えない。



「俺は今、憑依したこの身体のステータスを数百倍にしてるんだぜ? ……それで…だ、本題だ。この空間じャあな、俺のステータスはさらに数倍となる。この意味がわかるか?」



 わかる、わかるけれどだんだん、その計算が子供っぽくなってきた気がする。数値が高ければ良いってもんじゃないだろうに……って口に出したらミカになんか言われそうだから、押し殺しておく。いわゆる…インフレですね。



「う、うん、わかるよー」

「だよな。それでさらにオレ様はここではMPやHPは常に満タンまで回復される。……いわゆる、無敵ッてやつだ」



 あー、うん。そうね。

 ここまでくるともう、何が何やら。

 えーっと、翔のステータスは10万超えてるのがほとんどだっけ? 叶達とほぼ同じレベルだとしたらそうだよね。

 それにしても、やっぱりひどい厨二病的な能力だ。

 しかも、叶や俺みたいな厨二病上級者ではなく、厨二病初心者がやりがちな数字を大きくすればいいとかいうの。

 まあ、これは妄想なんかじゃなく、現実なんだろうけど。



「それで、強いの?」

「当たり前だろ? それにこの世界は水も何もない。普通の人間なら既に地面の熱で皮膚が焼き爛れてるところだ。それに加えこれだからな。……正直、数人に対して使ッちまうのは始めてだな。……さて、そろそろヤろうぜ?」



 そう言ってスルトルはニタニタと笑みをこぼしながら剣をまた、鞘から抜いた。

 レーヴァテインは抜かれた瞬間に灼熱を纏い、その威力の高さをマジマジとみせつけてくる。



「わかった」

「ああ、ああああ、あああああ、不利だとわかッててもテメェは立ち向かッて来るんだなァ!! いいぜ、いいぞ、やっぱ最高だぜ…!」

「まあ、後ろに大事な大事なフィアンセと、弟と、その弟が好きな娘が居るんだ。引くわけには行かないんだよ」



 と、カッコつけてみる。

 何かの淡い期待を込めてチラリとミカの方を見てみると、うっとりとしたキュートな顔でこちらを見てた。

 ふふ、俄然、やる気がでる。



「じゃア…そんなテメェにはモッと試練を与えてやるよ…!」



 スルトルはニタリと、ではなく、清々しくさっぱりとしたような、いわば普段の翔のような笑みを浮かべると、それから腕をクロスし体育座りをはじめた。

 とてもシュールだ。



「……なにそれ?」

「マア、気持ちはわかるが…見てろって」



 体育座りしたスルトルは、念術で浮かされてるんじゃないかと思えるくらいにスーッと上へその体勢のまま上がる。

 おおよそ10m…ううん、20mは上がったところでピタリと動きを止めると、途端、大きな地震のように地面が揺れ出した。

 と同時にそのスルトルを中心とするように、その地震によってか、もともと吹き出ていたものか、とにかく地面のマグマがひとりでに空に上がり集まって行く。



「ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! ラグナロク、ラグナロク、ラグナロクッ! 勝者はオレ様だ! 勝つのはオレ様だ! 最後に生き残るのはオレ様だ! 燃え尽きろ、全て! 黒魔神スルトルの元に!」



 こちらに十分うるさいほど聞こえる、スルトルの咆哮。

 その程なくしてマグマは人の上半身の形へと変わっていった。


 ダイダラボッチ…? いや、海坊主…ううん、この場合は溶岩坊主か。

 そんなものが、いつの間にか、俺たちの前に堂々とそびえていた。



「ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」


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