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第三百七十三話 vs.黒魔神スルトル -5

「フハハハハハハ最高…最高だぜッ、最高だぜェェェェェッ!! ヒャハ、最高、さささささ最高ッ…サイコォォォォ……ッ!! 次、次次次次次次ィィィィ次……いや」



 スルトルはまた、先程の黒炎と同等の威力であると推測できるような威力を含んだ魔法陣を展開し、それを発射すべくこちらに手を向けた。



「だが…これも防がれちまうんだろうか…。クカカ」


 

 と、呟いたかと思うと、その手を下ろす。

 狂ったように、しかし嬉しそうに笑っていた先ほどまでのスルトルは変わり、途端に、本当に突然に何かに冷めたように真顔になっていた。

 そうとう、さっきの全力をかけた一撃だったのかな?

 それが防がれたとか…。

 


「掛け合いなんつッたが…どうせ防がれるとなると……。テメェが本気を出せば、俺はもう、負けちまうッてことだ」



 実に表情がコロコロ変わる。

 今度は悲しそうに笑っていると、言うべき顔をしている。もしかして、実力の差を悟った…とか?



「恐らく…だが、SSランクの魔法をいくら使ったところで、オレ様の攻撃は届かない。単純に考えてステータスの差だな。魔法はこの身体のスキルで届いてるミテェだが…」


 

 俺の予想通りだったみたい。

 俺やミカ、叶と桜ちゃんが、豹変した態度に疑問を抱きながら油断しないように向こうを見てる中、剣を構えたまま、スルトルはこちらに寄ってきた。

 どこか諦めたような顔をして。

 そんな彼から次に放たれた言葉は、ちょっと衝撃的だった。



「転生は何回したんだ? 魔物は何万匹倒した? アムリタとかその剣とか…神具級の道具も使ってるよな。そもそも、なんで神具級の道具を持っている? そんな強さを手に入れるまでに何をした?」



 俺やミカ、そのほか地球からきた人以外から初めて聞いた転生と神具級って単語。

 この剣が神具級だってわかっちゃったのは、普通に鑑定されたからだと考えるとして、転生は驚いた。

 驚きはしたけど、よくよく考えたら魔神って何年も生きてるし、魔「神」っていうくらいだし、知ってて当たり前なのかも。



「うん…まあ、答えないよ」



 と、返答してやる。

 とくに答えを返してくれるとは向こうも思ってなかったのか、そのことについては追求せず、一人で勝手に話をし出した。



「……ステータス。その限界は99万9999だ。今の俺は、その数値の数倍上をいっている、が、テメェはそれより上だ」



 それはきっと、身体中にステータス倍増アイテムをたっくさんつけてるからだろうね。

 普段着ですら、そうなるように作り変えたりしてるもの。

 今もミカとの結婚指輪をはめる予定である中指を除き、すべての指に指輪を。

 耳にはイヤリング、髪には髪留め、足には太腿用の革ベルト、首にはチョーカー、穴開き手袋、靴、下着…ともかくあげたらキリがない。

 ともかく、身につけているもの全部、俺のステータスを倍増させてるんだ。



「そうだね、うん」

「……それで、その剣の効果。MPをメチャクチャ吸収するんだってな? 勝手に鑑定させてもらッたが…」



 スルトルは俺の剣を指しながらそう言った。

 とても不可解なことがあると、顔で訴えてるようだ。



「……魔神であるオレ様はその神具を知らない。オレらはこの世に数個しかない神具級の道具を勿論、全て把握している…だ、が、し、か、しッ! テメェはオレ様の知らない剣を持ッてやがるのだ!」



 なるほど、だから不思議そうな顔をしてるんだ。

 


「まあ、これは俺が作ったものだし」

「………!? ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! マジかよ…ッ! あー、あー、あー、マジか、ヒャハハ!!」



 何がおかしいのか、スルトルは再び笑い出した。

 本当のことを言っただけなんだけどね。まあ、確かに神具級がすごいことは認める。



「通りで、サマイエイルと対峙して普通に生きてるわけだ! それを作れるッつーことは、アムリタも作り放題なんだろ? ステータスもこの話してる間にわかったが、身につけてるものほとんどがステータス上昇アイテムなんだな! ハハハハハハハハハ! なんて規格外! こんなの考えたこともネェヨッ!」



 こちらから声を出せないような速さで一人話し続けるこちら側を気にすることなく、スルトルはさらに話を続ける。 



「うんうん、となると即死させるハルマゲドンも意味ねェよな。その剣でMPも吸収できるだろうし…。なるほど、となるとサマイエイルの野郎を魂ごと消し去ることも、アイテムで可能か」



 顎に手を当て、何かを考察してる。

 ……この間に、もう封印すべきだろうか。

 そう考えていたら、スルトルの雰囲気が突然変わった。



「……もう、勝ちには拘らネェ方がいいな」



 肩から剣を下ろし、それをしまう。

 そして、さらに、ニタニタニタニタと笑みを増してきた。それがどことなく不気味も増してる。



「仕方ねェ……。ラグナロクッ!」


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