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第三百六十五日 乗り物の中

 飛行機に乗って向かっている間、桜ちゃんはミカに色々と話をしていた。

 俺はそんな二人の様子を、チラチラと落とされないか心配して外を見ながら、聞く。



「お姉ちゃん…その…色々あって…」

「桜、ごめんね。そういう話はやっぱり後の方がいいと思う。…案外、早く着くと思うから」

「わ、わかった」



 二人は、雲が置いてけぼりにされてる外を見た。

 そのくらいこの飛行機が早いってこと。



「じゃあ、そうね。ステータスとかスキルとか、もっと教えて? それなら早く済むよね」

「う、うん、じゃあまずは…」



 少し考え、桜ちゃんは叶のスキルとステータスを説明することにしたみたい。



「叶はね。さっきも言った通り、瞬間移動が使えるの。それだけじゃなくて、空間…かな? それを色々できるみたい」

「それは強力なスキルね! なんて名前なの?」

「スパゲッティ…じゃなくて、スパーシ・オペラティンだったはず」



 スパーシ・オペラティン…英語じゃないことは確か。

 一体、何語なんだろう。わからない。



「それだけじゃなくてね! 武器の扱いで神奥義とか、闇魔法の効果増幅とか…!」

「それは私達にもできるよ。…叶君のステータスは?」

「す、ステータスは10万を超えてて…一番高いので70万…だったかな?」



 俺とミカは顔を見合わせる。

 カナタも十分鍛えたみたいだね。本当にもしかしたら俺らみたいにダンジョンを何度も繰り返したのかもしれない。



「へへへ、なかなかやるわね…! それで、桜は?」

「私はその…エブリング・リーメっていうスキルとか、叶と同じようなスキルを覚えてるの」



 エブリング・リーメ。

 これまたよくわからないスキルだ。

 この世界にはわからないスキルが多すぎる…そもそも、スキルが多すぎる。

 ゲームだったらよくある、全コンプリートとか無理なんじゃないかしらん?

 


「で、エブリング・リーメってどんなの?」

「エブリング・リーメは、回復魔法と補助魔法と木の魔法とを強くするんだって」

「それだけ?」

「うん。でもこのスキルを合成して作ったスキルで、人を生き返らせるスキルができたよ」

「…ステータスは?」

「ステータスは…平均20万くらい…? 最近見てないから忘れちゃったけど…」

「ふーん…」



 俺らの方がステータスが強いからか、一通り聞いても驚いた様子がないミカ。



「お姉ちゃん達は?」

「ふふふ…お姉ちゃん達は貴方達よりも強いのでーす!」

「えっ!?」



 ミカに対し、桜ちゃんはとても驚いた表情をしている。

 なお、ミカはドヤ顔。………可愛い。



「す…スキルは?」

「スキルはね…私はそんな大したの持ってないの。有夢のを真似たのが多いから…えへへ。でも、有夢が凄いのよ!」



 そう言って、二人して俺の方を向く。

 髪や肌や目の色が違えど、それなりに似ている美人姉妹二人が揃ってるところは久々に見た。



「……あゆむ兄のスキルは?」



 訊かれたから答えなきゃ。



「えっと…アイテムマスターとダークマター・クリエイトって言ってね。アイテムマスターが、物を作れるスキル…かな? 伝説級の武器やそれ以上のものだって作れるよ」

「そ…それ以上…? それ以上って…?」

「それ以上はそれ以上だよ。説明すると長くなるから、このゴチャゴチャが終わったらね」



 神物級…本来なら、桜ちゃんは達は知らないはず。

 この反応をしてるってことはやっぱり知らないんだよね。



「う、うん。わかったわ。それでダークマタークリエイトは?」

「それは、さっきこの乗り物を作ったアレ。ダークマター…はわかるでしょ? アレから自由自在にアイテムを作れるの。何もかも工程をすっ飛ばしてねー」

「ふえっ!?」



 桜ちゃんが驚いた顔をする。うんうん、驚き方がミカと同じ。今日、何回目かわからない。

 目をまんまるく見開いてる。



「ほら、こんな風に」



 俺は桜ちゃんの目の前で、お汁粉の缶を出した。

 手が熱い…早く渡さなきゃ。



「はい、どうぞ」

「あ…ありがと」



 この世界にはお汁粉…ううん、餡子自体が無いからね。

 桜ちゃんの好きなものの中の一つ。

 

 桜ちゃんがそのお汁粉を開けようとした時、飛行機のサイレンが鳴った。…えっと、これは確か…到着って意味だったかかな?

 桜ちゃんは汁粉を開けるのをやめ、キョロキョロとしだす。ミカの袖を掴みながら。



「な、なに!?」

「何なの? 有夢」

「つ、着いたみたい…」



 俺ら3人はゆっくりと降下して行くこの機体から、外を見る。…ボロボロで、今にも無くなってしまいそうな、そんな島に二人、ポツンと立っていた。

 一方は…眼帯をしてる。カナタだ。

 こんな時にまで中二病をこじらせてるのだろうか。

 ……それにしても、無事でよかった、本当にを


 もう一方は、話によれば翔…の筈なんだけれど、よくからない。身体全体が黒い、不吉な予感しかしない人型の生き物…あれが黒魔神か。


 二人はただ、俺らの方を見て、特に動こうとはしない。


 そのうち、機体は海に浮かんだ。

 そこから島へ橋が出る。



「…じゃあ、いくよ」

「うん…!」



 俺とミカと桜ちゃんは、外に出た。

 


 

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