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第三百六十二話 爆炎

 スルトルのその掛け声を聞き、とっさに瞬間移動で距離をとった。



「ヒャハハハハハハハハッ!! オレ様から先なァッ!!」



 その叫びとも取れる声と共に、スルトルは腕を距離をとったカナタに向かってむける。

 その瞬間、初級魔法、ファイヤーボールが大量に出現した。……一個一個の大きさは、人、一人より大きい。

 


「さァて、カナタ君はこれをどうするのかなァ? 喰らいやがれャアアアアアアアアアアア」



 超巨大・超大量のファイヤーボールは撃ちだされた。

 その規格外の炎塊をカナタは回避しようとせず、棒立ちのまま、それらを一瞥。

 御構い無しにファイヤーボールはカナタに向かう。


 その炎の塊の一つが当たると思われた刹那、それは消え去った。一つならず、次々とカナタに近づくたびに消えて行く。

 そんな光景を、スルトルはニヤニヤしながら見守った。



「やるじャねェかァ…」

「次は俺の番…だよね?」

「ああ、こいよッ」



 カナタは魔法を唱える。

 唱え終わると共に出現するのは、大量の槍。

 それも数えるのも億劫になる程大量に召喚された。

 そんな槍が、スルトルを四方八方から囲っている。



「ほォ…で?」

「…まあ、見ているが良い」



 パチリと、カナタは特に意味もなく指を鳴らす。

 その行為自体にこのスキルに関する意味はないが、それを合図に槍は一斉にスルトルに向けて超スピードで飛んで行く。

 しかし、スルトルもまた、それらを回避しようという素ぶりをみせない。


 あまりの槍の多さに、視認することができないが、確かに槍はスルトルに刺さろうとしていた。

 しかし、カナタにはその感触が起こらない。


 数秒後、召喚されたすべての槍がスルトルに向かい終わった。雨のような数の槍が降った跡。

 

 そこには日頃、よく鍛えられている上半身が露出し、ローキスが取り憑かれた時と同じように、髪は、燃え尽きた木炭のように白く、眼は眼球全体が紅蓮の炎のように真っ赤。皮膚は全て…黒魔神、その名に相応しいかのように真っ黒。そんな黒い肌に血管のような赤とも橙とも取れる線が走っており、爪は真紅。そんかショーの姿が見えた。


 そんな、もはや人間ではないと断言できるショーの黒い肩の端や、腹の一部等、至る所が炎のように揺らめいている。



「ふゥ…今の良かッたぜ? まあ、全部、燃やしちまッたけどなッ!!」



 カナタにそう言い放つスルトルはニタリと笑う。

 そこから見える歯は普通に白色であった。



「イイネェ…イイ…イイッ、実にイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィッッッ!! テメェも強ェ。俺も強ェ。これこそがオレの望んでいた、血湧き肉躍る戦いダ。そしてこれに勝つ…勝つからこそオレの血が騒ぐゥゥゥゥゥ!」



 そう、狂ったように叫ぶスルトルに対し、カナタも目を輝かせいつの間にか愛する幼馴染に作ってもらった眼帯を装着し、その方に片手を添えながら言った。



「ああ…我もだ。魔神スルトルよ…! しかし、貴様は悪の化身。一方、我は漆黒よりの使者…この我が負けるはずがない」

「そうかァ…? ふ、フハハハハハハッ! イイネ、イイネェ…オレ様もそういうの嫌いじャねーぜ。じゃあ、これはどうだろうな」



 カナタの足元…だけでなく、上横斜め全方位を囲むように魔法陣が展開される。

 その魔法陣は全て、ファイヤーエミッションの魔法陣であった。



「かわしてみろ…よッ」



 轟音と共に放たれる炎の光線。

 しかし、やはりというべきか、カナタはその炎の光線の檻の中から瞬間移動を使用し、脱出。



「ああ、わかッてるぜ?」



 スルトルはショーの剣、レーヴァテインに手を伸ばし、その柄を乱暴に掴み、自分の背に添える。

 ガキン…と、響く音。

 と、同時に背後にカナタが出現し、スキルにより召喚されたやりがスルトルに向かって振るわれていたのだった。

 それをふせいだのだ。



「シャラァッ!」


 

 乱暴に剣は振るわれる。

 しかし、振るわれることを察したカナタはまたもや瞬間移動で離れる。


 スルトルはおもむろに右手を突き出した。

 魔法陣が出現。



「これはどう避ける?」



 豪炎で成された歪な形の何か。

 スルトルの唱えたその、常識では考えられない規模のファイヤーマーチレスの魔法は、さらに島の表面を燃やしながら、カナタに向かう。

 先ほどのボールとはまるで威力が違う1発…出会ったが、今度はカナタに辿り着く前にそれは消え去った。


 海が唐突に盛り上がり、爆発。

 


「あああ!? 今のお魚さん達沢山死んじまったんじゃねーか? どうでもイイけど」

「そうかもしれない。でも別に我も構わぬのだ」

「クカカカカカカ、このまま殺し合いを続けようぜ? やっぱりテメェはオレが今まで戦った賢者の中で一番つえーわ」


 

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