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第三百五十話 魔神復活 (翔)

「国王様ッ!!?」



 キリアンとかいう騎士団の人がそう叫んだ。

 どうすんだよ、この状況。

 国王になにが起こったって…まあ、見たらわかるよな。

 とりあえず、人は逃したからいいものの…。


 さっきまでは叶君が…論破っつーのか、あーいうの。

 とにかく国王を言葉攻めしてたな。

 あいつらの野望とやらを暴きつつ、安全な形で魔神を処理しようとしてたんだろう。


 しかし、カナタがデイスさんの説得にワンツーマンで挑んだ時からなんか変わった。

 ココからじゃよく聞こえなかったが、結果的にデイスさんが召喚したあの黒い変な形の剣でグングニルとかいう槍が壊され、そこから、黒い霧のようなものがでてきて、国王の中に入り込んだんだ。

 話の流れ的にあれは、どう考えても黒魔神スルトルっつーヤツだな。

 ヤベェんじゃねーか、コレ?


 国王を……助けられなかった。

 もしかしたら、助ける価値の無い人間とかだったかもしれねーけど…それでもできることなら…なんて言ってても仕方ねー。そういうことは後で考えるっきゃねーな。


 とりあえず、今の俺達の状況としては、頼みの綱、瞬間移動持ちの叶君がフリーズ。

 俺は初めて見たが、前々から有夢から「叶は予想外のことがあると固まる」と聞いていた。

 デイスさんがなにか、あのカナタ君を固まらせるくらいの強烈な一言を言ったんだろう。


 桜ちゃんは未だに固まっている叶君に必死に呼びかけてるな。……国王には悪い、そう思うが、行き先が叶君じゃなくて良かった…本当はこんなこと考えたくねーけど。


 今動けるのは、騎士団の団長とかいう2人と俺とリル。


 だが、騎士団の団長の方は実力が足りるのか話からねー。間近で実力を見たりしてねーからな。

 俺ら賢者をワザワザ呼ぶほどに強い相手であるスルトルとかいう魔神に、太刀打ちできるのか…?


 一方、リルは驚きと緊張のあまり身体がガチコチだ。見りゃわかる。ガチコチと固まってる。

 あんなんじゃ、実力の半分も出せねーかもしれない。



「あ…ああ…ア…あア…アア…アアア」



 国王はそうつぶやく。

 ……あの人の長い髪の色が、段々と白色に変わっていっている。

 顔を抑え、呻き、苦しそうにしている。

 とりあえず回復魔法を掛けてみるか? 

 俺はあまり強くない回復魔法をとりあえず、苦しんでいる国王に撃ってみた。


 なにも反応がねー。


 ……ここで、グングニルがあれば、俺も槍は扱えるようにポイントを振ってるいるわけだし、申し訳ねーけども国王に突き刺しちまって、封印出来るのかもしれねー。

 だが、肝心のグングニルは、デイスさんに折られた。

 どうやって封印すりゃいいんだろ?



 そう考えていた時、国王の動きと呻きが止まった。

 抑えていた顔からゆっくりと手を離し、その手で乱れた髪を後ろに追いやる。

 髪をいじったら手をだらりと重力に負けたように下げ、目をゆっくりと開き始めた。


 その目は黒目も白目も、どちらもまるで溶岩のように真っ赤で…気持ち悪いの一言に尽きる。

 あの、変な小物臭のした国王とはもう思えない。

 ゲームでいうボスの風格が、彼にはもう備え付けられている…ってか? そんな感じだ。



「アア…ふゥ。アー…あ、アー。ヴゥン…お、オレーオレオレオレー、オレはーマジンー…うん…ヨシヨシ、イイな」



 唐突に、国王はそんなことを言い出した。

 いや、国王が言ったんじゃない。

 中のスルトルとかいう魔神が言ったんだな…。



「ん…まあ、それなりにステータスはあるなやっぱ。スキルも金にものを言わせてと言った感じか……ッて、おいおい、こいつチビってんじャねェか!? マジかよ…やめてくれよ…気持ちわリィ。しもが弱すぎなんだよなァ。アイツに迷惑ばッかりかけやがッて、この愚王がョ」



 魔神スルトルは独り言を言い始めたぞ。

 つーか、国王、ちびってたのか…。まあ、あんな状況だったら仕方ねーよな。同情するわ。


 そいつはこちらをその真っ赤な目を見開きながら、みてきてやがる。

 

 一通り俺らの顔を確認すると、満足そうに頷きながら、また、独り言を話し始めた。



「いやァ…見事に強そうなのだけ残ッてくれたなァ…。サイッッッッッッコウッッッッッッッだぜッ!! ……そうおもわねェ?」



 スルトルはそういいながら、桜ちゃんの方を向き、ニタリと笑った。

 こいつ、桜ちゃんに何をする気だ!?

 桜ちゃんの元に急いで駆けようとしたその時、桜ちゃんと叶君はその場から居なくなった。

 というより、いつの間にか俺の隣に来て居た。


 瞬間移動か…。


 そして、いつの間にか目覚めたのか、叶君は桜ちゃんを庇うように前に立っている。

 ……これをみると、なんだか有夢と美花を思い出す…。



「よォ、賢者カナタさんヨォ? よくもオレをソラに飛ばそうなん提案してくれたナァ? え、なんですかい? さっきまで固まってたのに、今になって彼女の前でカッコつけてるんですかい!? ヒューッ! カッコウィィィィィ」



 ウゼェ、こいつ。

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