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第三百四十三話 なんで?

「「えっ…!?」」



 俺とミカはそれを聞いて固まった。

 俺らの聞き間違いじゃないだろうか。


 ミカが国王様に、震える声で訊く。



「ああ…あの、その賢者の名前は…カナタ…と、サクラ…と、ショーなん…ですか? こ、これで合ってます?」

「ん? 合ってるぞ」



 合ってるのか…いや、本当にただの偶然かもしれない。

 桜や翔って名前の人は少なくないはずだからね。叶は……うん。

 念のために追加で質問を。



「そ…その、カナタとサクラは14歳で、ショーは17歳だったり…」

「そのような情報は…入ってるおるな。そう、その通りだ、なんでわかった?」



 ミカと俺は顔を見合わせる。

 …………マジか、マジかよ。こんなことってあり得るの? 

 どうしてこの世界に来た? 俺やミカみたいに事故で死んだのかな…。

 あ、呼び出されたんだっけ。



「その反応、賢者らを知っているのか? 一体どうして_________」



 国王様はそう言った。

 

 そうだよ、こんなところで驚いてる暇はない。

 叶と桜ちゃん、そして翔の奴がこの世界に呼び出されて、今、魔神と戦ってるだなんて…!!


 早く向かわなければいけない。

 早くしなきゃ…!!


 叶は弟ながら、めちゃくちゃ頭がいいからそれほど心配してない。翔は知らん、多分、大丈夫だろう。

 1番心配なのは桜ちゃんだ。あの子は目がほとんど見えない。


 俺は国王様に答えになっていない答えを返す。



「すいません、こうしてる場合じゃなくなりました!」

「わ、私達早く行かなきゃ…! 国王様、ごめんなさい! 帰ったら事情を話すので、魔神退治行ってきてもいいですか? すぐに…!」



 ミカのそのお願いに、国王様は頷く。



「良いだろう。……なにか記憶を取り戻したのか? 無事に魔神を討伐してきたら、事情を話すのだぞ。…では行ってこい、勇者達よ」

「「はいっ!!」」



 俺とミカは窓から外に飛び出した。

 空中で飛行機のようなものを作り、空中で乗り込む。

 地図は国王様がさっきまで持ってた奴を握ってる。


 さあ…早く向かわなきゃ____!



____

___

_




「はあ…どうゆうことだろ?」



 MPで動く飛行機を運転しながら、ミカは言った。

 俺はアイテムの準備をしている。



「とにかく、運命のいたずらかなんかであの3人がこっちに来ちゃったんだね」

「……こんなこともあるのね」



 自動操縦に切り替えたのか、操縦席を離れてミカはこちらに来た。

 先ほどまでの衝撃に慌てふためき、平常心を俺らは失っていたけれど、今は少しずつ落ち着いてきた。

 それでも内心、ものすごく驚いている。



「有夢…桜が心配…」

「そうだね。でも叶と一応、翔も居るから」



 ミカはこくりと頷く。



「そうね、叶君が居るなら安心ね。それと翔も」

「案外、叶ががんばってマスターポーションとか手に入れて、桜ちゃんの目を治してるかも」

「それはあり得る」



 この乗り物は即興で作ったとはいえ、かなり早く進んでいる。

 距離はそれなりにメフィスト王国からあったはずなんだけれど、気づけば、もうちょっとでユグドラシル神樹国つくんだ。



「ミカ、なにか問題を起こすわけにはいかないから、城下町の外でこれを下ろして、普通に街に入ろう」

「うん」



 数分して、ユグドラシル神樹国は見えてきた。

 ………魔神が復活したというのに、民衆は普通に生活してるみたいだ。

 奴隷を引き連れてる人とかが居て、少し胸糞悪いけど。


 さっきの言葉の通りに機体を下ろし、正面から街の中に入る。



「おっと、ここまで____うぉぉい!? あ…アリムちゃんとミカちゃん!?」

「マジかよ、本物ッ!?」



 門兵さん達は騒ぎ始める。

 とりあえず、ギルドカードを提示しよう。

 この国に来た理由は…この様子を見るとこの人達は魔神のことは知らないっぽいから、おおきな魔力を感知してってことでいいかな?



「すいません、ここら辺ですごく大きな魔力を感知して、それを調査しに来ました。極秘ですので…」

「は…はあっ! 可愛い…。あ、違う。わかりました、ギルドカードは…はい、本人です…ね」



 門兵さんは興奮しながらギルドカードを返してくれる。



「本当に本物…あの…よろしければ握手なんかしてもらったりしちゃったりして…」

「おい馬鹿、この娘達はゴフッ…この娘達は仕事でブフッ…仕事でここに来たんだ。変な…ドフッ…変な我儘を言うな」



 握手を求めてきた門兵さんを、鼻血を垂らしながらもう一人の門兵さんが止めてくれた。

 助かる。



「どうぞ…ブフッ…お通り下さい」

「ありがとうございます! 行こっ!」

「ありがとうございます!」



 血液が足りなくなるんじゃないかってくらい鼻血を出したその人にウインクをしてから俺たちは去る。

 とりあえず、城に向かわなければ……!!


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