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第三百四十話 戦争どき

「……クソが…」



 ローキスは不機嫌であった。



『どうしたッてんだ、国王サマよォ。んなにふてくされちまってヨ』



 デイスに持たれているグングニルの中に入っている魔神は、そう、ローキスに声をかけた。



「どうにもこうにも、今日は僕にとって最悪の1日だった」



 眉間に皺をよせ、歯ぎしりをし、拳を固く握りしめる。



「デイス、まずお前の予知が外れたことだ。僕は至極頭にきている」

「………誠に申し訳ございませんでした」


 

 デイスは槍を持ったまま、深く頭を下げる。

 しばらくローキスはその様子を眺めていたが、飽きたように別の場所に視線を移した。

 デイスはやっと頭を上げた。



「次に…外部の奴隷をこの城に入れたことだ」

「……そうですの」

「あの炎使いの賢者は奴隷から解放したらしいが……獣人なんぞ僕にとっては全て奴隷だ」

「仰せの通りですじゃ」



 ローキスは奴隷を不純か物だと考えていた。それは先代国王、彼の父譲りである。

 


「そして3つ目…賢者が…賢者が強くなりすぎたことだ、クソがッ! あんなのコントロールできるわけないだろうッ!? 3人揃って化物じゃないか! おい、魔神、デイス、この先はどうしたらいい、どうしたら良いんだ、教えろ!!」



 ローキスは全身をワナワナと震えさせ、怒りと恐怖をあらわにしている。

 それに対しデイスと、様子こそわからねどスルトルは、平然としていた。



『あのよォ、オレは怒り狂ったヤツの身体を奪えるんだぜ? 何も彼奴らをコントロールしなくて良いんだ』

「た…確かにそうだが…」



 スルトルが自分の力の特徴をしてきたことに、ローキスは疑問を抱く。

 構わず、スルトルは話を続ける。



『だからデイスは予言でスキルの準備をするように言ったんだろォがョ』

「あ…ああ、そうか! 成る程な、はは! そうだ、確かにそうだ」

『ところで、だァ……』



 そう呟いたスルトルから感じるプレッシャーが、重くなったような気がしたローキスは、より、拳を固く握る。



「な…なんだ?」

『オレ…そろそろ復活ちけェわ』

「そ、それは本当か!?」

「…ワシの予言でもそうでておりますの」



 スルトルに一瞬恐怖をしていたローキスは一転、嬉々とした表情で感情が高ぶりが抑えられず、椅子から勢いよく立ち上がった。



「ならば戦争だ…戦争の日は近い!」

『まあ、待てョ。3人の賢者のうち、俺が誰の身体に入るかを考えるのが先だ』

「ふむ。それもそうだな。誰にするんだ?」



 ローキスは再び椅子に座りなおす。



『まず、女のサクラ。あれはダメだ。オレに女にとりつく趣味はねェ』



 そう言った後、小声で『カマ野郎なサマイエイルとは違う』と言ったが、その声はデイスにしか届かなかった。



『で、カナタかショーか…。ところでオレの得意とする属性はなんだと思う、国王』

「黒魔神というからには……闇魔法か?」

『違うネ! 全然わかッてネェなァ…。黒魔神の黒は、燃え尽くした後の、黒! 火だよ、火ィ、火属性の魔法に決まってんだろうがヨォォォォォォォッ! オレは、何も取り憑き先の能力を上げるだけじゃネェ。炎を操り、全てを燃やし尽くすんだ…ゼ! つゥか、それが本来の力だ』



 スルトルは興奮してそう言った。

 デイスは微笑みながら、ローキスは口をぽかんと開けながら聞いていたのだった。

 

 ローキスは冷静さを取り戻してから、再び魔神に問う。



「ということはショーだな。……ショーを怒らせるにはどうしたら良いんだ?」

「予言では__________」



 デイスはその先をメッセージで送った。

 この部屋はデイスの魔法により完全な防音がほどこされているが、念のために。

 


「わかった…ならば、11日後にはすでに戦争が始まっているようにしなければな…メフィラド王国とのな。は…ははは、ははははははははッ!!」



 ローキスはその言葉を興奮気味に発した。

 その前に、デイスがこっそり、ワザとこの部屋の防音を解いたことに気付かずに。


 そしてその声が玉座の間より外に漏れ、部屋の扉の前に居た者に気付かれてしまう。

 

 その者はこっそりとその部屋の前を離れ、念話で、メフィラド王国に居る本当の自分の職場の仲間に、連絡をした。

 

 

 

____

___

_



 デイスはローキスに命じられ、グングニルを倉庫にしまいに来ていた。

 スルトルが彼女に問いかける。



『なァ、うまくいくのか?』

「はい、きっと」



 デイスは優しく、グングニルを専用の立てかけ台に立てかけた。



『それにしても、あの愚王はとことん愚王だなァ。利用されてるとも気づかないのか』

「まあ、そんな彼も、もうじき死にますので…。あとは手筈通りにやりましょうぞ」



 デイスはその場に座り込み、槍との会話をしばらく続けた____


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