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第三百三十八話 賢者としての力量 (翔)

「つまり、簡単にまとめると、黒魔神スルトルが近いうちに復活するから、それを倒してほしい。そのために俺らを呼び出した…と」

「ああ、そういうことだ」



 なるほどな。

 魔王的なのを倒すために呼ばれたってのは叶君から教えてもらってたが、やっぱりこうしてちゃんとした場所で言われると、現実味を帯びるな。



「ちなみに賢者カナタはこの話をした際、見返りを求めてきた。とりあえずお前にもそれは教えておこう。……元の世界に戻れるというのが見返りだ」



 勝手に呼び出しておいて、黒魔神っての倒して、それの褒美が帰れるだけ、つまり元に戻るだけってのは対等じゃねーよな…。

 まあでもあれか、桜ちゃんの目がこの世界に来て良くなったことを考えるとそうでも無いのか?

 いや、それは叶君と桜ちゃんが頑張った結果だからな…。



「とにかく、そういうことでよろしく頼むぞ3人の賢者よ。して、次にやるべきことは…。ショー、お前の力量をはかりたいのだった。先ほど部屋の外に出た者らを呼んで来い、デイス」



 国王がそう命令すると、デイスって人は黙って頷き、リルとトールさんとヘイムダルさんを呼んできた。

 3人は入ってくる。



「今からお前には、あのSSSランカー2人と手合わせをしてもらう」



 な、なんだと…!? 

 SSSランクの人間二人同時相手ってことか?

 それって相当きつくねーかな?


 リル曰く、俺たちのレベルは異常だそうだが…。

 でも俺はそのSSSランクの冒険者の具体的な強さってのが分かんね。



「それは本気なのじゃろうか? 国王様」



 ヘイムダルさんがそう言った。

 国王はデイスって人に顎を振ると、そのデイスって人が代わりにその問いに答えた。

 


「もちろんですじゃ。前に隊長2人をカナタと戦わせてみたところ、手も足もでなかったですからの。さらに、その後、強力なスキルも見せられた。……故に賢者ショー殿も同じ程度の実力だと仮定しSSSランクのお二方にその実力がいかほどなものか見てもらいたいのですじゃ」



 ちょ、マジかよ。

 あの有夢の弟の叶君と同じにしないでくれ、鍛え方が俺なんかより違うに決まってんだろ。

 無理だって、いやホント、無理だって。


 リルも心配そうに俺の方を見てくる。

 何か言いたそうだが、言い出せない感じだ。

 

 そのリルの隣にいたトールさんは突然笑い出し、こう言った。



「ガハハハ! それが俺らを呼んだ理由か、国王様よ! わかった…良いですぜ」

「ふむ、確かに。ワシの魔法は力を示すのには良いか…。わかりましたぞ。ワシもその依頼を受けましょう」

「俺らを理由を言わずに呼び出したってのは、このことだったんだなぁ」



 ヤバい、ヤバいって…! 


 助けを求めるように、叶君の方をちらりと見る。

 叶君はただ、観察するように、監視するように、ジッと国王の顔を見つめていた。桜ちゃんの手を握りながら。

 桜ちゃんはオロオロしている。止めようかどうか迷ってるみてーだ。


 リルも同じでオロオロしているし、トールさんは俺と目が合うなり親指を立てて笑いかけてきた。

 もうダメかもわからん。

 


「ならば良い。早速、移動を_____」

「国王様、その前に一つよろしいですかな?」



 ヘイムダルさんがそう言う。



「なんだ?」

「仮にそのショー殿が実力が及ばないという場合があった場合を考え条件を述べさせて頂いてもよろしいですかな?」

「…まあ、良いだろう、言え」

「簡単な話じゃ。お互い死ぬほどのことはせん…ということじゃ」



 死ぬことはない、そうだな。死ぬことはないかもしれねーけど、死ぬほどの目には合うかもしれねーな。うん。



「それはそうだ。貴重な賢者だからな。それだけか?」

「ええ」

「では、移動するぞ」


 

 俺の了承は無しに、移動することになった。

 移動時すぐにリルは俺の元に駆け寄ってきた。



「わふ…ショーなら多分余裕だよ。転生何回もしてるんだもの」

「そ…そうだと良いんだがな」



 俺らは馬車に乗り込み、30分ほど移動した。

 馬車内でヘイムダルさんから自己紹介された。


 そして辿り着いたのは山。

 なんでも、この山でこの俺の実力を見るらしい。



「それじゃあ、始めるとするかの」



 馬車から降りてさらに数分移動したところで、ヘイムダルさんはそう言った。

 なお、この場にいるのは賢者3人とリルと、国王様とデイスさん、SSSランカーのお二人。



「じゃあ…まずはヘイムダルの爺さんから頼むぜ」



 そう言ってトールさんは下がる。



「ふむ。では…一人軍隊のワシの力、とくと見よ…ハァッ」



 ヘイムダルさんの足元に巨大な魔法陣が現れたかと思ったら、その周囲や後ろの山からもマンホール1枚分くらいの魔法陣が一斉に出現した。


 そしてその魔法陣から出てきたのは、無数の武装した兵士。……何人いるかわからねー。



「ふー…こんなもんじゃろ。ここにおるのは2万の兵じゃ。皆、Bランク程度の冒険者の実力を有しておる。……さて、ショーや、お前にこ奴らを全滅させられるか…?」

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