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第三百五話 超伝説級と叶 (叶・桜)

「さてと、今日もレベル上げしようと思う」

「うん」



 二人はまた、ダンジョンの元へ来ていた。



「で、ちゃんとした日程なんだけど。俺、兄ちゃんと違って同じ場所を何回も何回もぐるぐると繰り返すの嫌いなんだよね」

「たしかにそうね」


 

 サクラのこの発言は、有夢がひとつの場所を1000回繰り返したりするのを承知の上で言っている。

 有夢は一度、入るだけで2時間かかるような場所があるゲームのその箇所でも、そのような事を始めたら目標回数が終わるまでずーっと行っているため、並の精神力ではない。



「だからあの鍛冶屋のおじさんから槍を受け取る…明後日までにしようと思うんだ。その間の目標は10~15回転生…!」

「あと120回もこのダンジョンを周るの? 疲れない?」



 ゲームをカナタや皆と遊ぶとき以外はあまりしないサクラにとってはその回数でも十分多かった。



「疲れるけど楽しいから大丈夫。それにゲームで乱数調整と150回くらいなら余裕で繰り返す時あるし。……それ以上は俺にはキツイけど」

「そ…そう、いってらっしゃい。はい補助魔法」

「ありがと、じゃあ行ってくる」



 カナタはダンジョンへと潜っていった。

 サクラはそれを見送ると、紙と鉛筆を取り出し、昨日の透視した事を思い出しながら、紙に絵を描いた。

 暇潰しであった。

 ニヤニヤしながら絵を描いて暇潰しをしている。


 サクラは美術というスキルを習得した。



 一方、叶は普通にダンジョンを攻略していっている。

 そして最後のミルメコレオを倒し、チャレンジミッションの部屋へと入った。

 

 普通ならばとくになにも考えず瞬間移動で物体を動かしゴールに入れるのだが、今回はスピードを意識してその物体を瞬間移動で動かしてみた。

 これが大正解だった。


 前回までより恐ろしい速さで飛んでいったその物体は0.1秒もかかってないんじゃないかと思わせる速さでゴールの中に入る。

 

 

【ミッションをクリアしました。〔達成度・超伝説級〕宝箱が出現します】



 と、出る。

  初めての表記にカナタは驚き、期待した。

 その宝箱の中から出てきたのは鍵箱ではなく、直接、SSランクの魔核5個であった。


 それを抱えたカナタは大喜びし、瞬間移動で桜のもとに戻る。



「(えへへ…カナタはカッコ良い……! 久々に描いたけど鈍ってないかな? 昨日見た水が滴っている叶を描ければ…。ふふ、叶は二次元でも三次元でもカッコ良____)」

「あ、久々に絵、描いてる」

「ふぁっいっ!?」



 戻ってきた叶から、必死に今、描きかけていた絵を隠す。サクラは人に自分の絵が見られるのが至極嫌だったのだ。



「…? まあいいや。それよりきいてよ桜!」

「な…なに?」

「ダンジョンのミッションで伝説より上の超伝説とかいうヤツが出せてさ」

「う、うん。それで?」

「見てこれ、SSランクの魔核5個」



 カナタはサクラが座っていた敷物に、SSランクの魔核を並べた。



「わ…これは確かにすごいわね。伝説より上があったんだ」

「でしょ? 以外だよねー。じゃあまた頑張ってくるから」

「いってらっしゃ…あ、そうだ叶、『美術』ってスキル手に入れたんだけど、スキル割り振っていいかな?」

「ああ、うん! もう大量にあるからね、全然いいよ!」

 


 カナタはそう言うと、去っていった。

 美術のスキルの効果にかなり興味のあるサクラは、早速スキルポイントを割り振り、進化させ、真・美術にしてレベルもMAXにした。


 サクラは試しに、また別の紙に軽くゴブリンを描いてみる。


 しかし、それは全く軽くなどではなかった。

 そのサクラが描いたゴブリンは、まるで高画質の画面に映る写真・画像のようにリアルであり、人間が描いたものには見えない。

 これが器用と素早さが合わさり、ものすごいスピードで描かれたのだ。



「なにこれ…」



 サクラはそう呟く。

 次に別の紙に、自分が普段描いているような、アニメ・漫画のような描きかたを意識してゴブリンの自分なりの擬人化を描いてみた。

 それには自分の画風がしっかりと反映されたが、下書きやアタリ無しな上、自分の理想通り完璧に描けている。


 改めてサクラはスキルは恐ろしいと感じる。

 確かにそう感じたが、あまりに気持ち良いくらい上手く絵が描けるので、独り言は忘れて一人で絵を描けふけっていた。


 

「おーい、桜」



 ダンジョンから戻ってきたカナタはサクラの肩を優しく叩いた。そちらを振り向かずに、サクラは絵を描き続ける。

 もう一度叩かれたので、今度はその方を振り向く。



「なに…今いいところ……はっ! おかえり叶」

「すごいね…これ。ミルメコレオ? よくこんな不安定なところで…Bの鉛筆だけで描けたね、そんなリアルなの」

「ああ、うん。そうなの。スキルの力って恐いわ」



 それにはカナタも頷いた。



「はは…確かに。まあ、もともと桜は絵がうまかったけどねー…あ、転生してね。俺はまた行くから」

「はいはい」

 


 サクラが転生したところを見守ったカナタは、また、ダンジョンの中へと消えていった。


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