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第二百九十一話 ダンジョン-3 (叶・桜)

「_____だって。あそこのゴールにこの箱っぽいものを入れれば良いらしい」



 カナタはその部屋とは言えない、廊下のような場所の先にある、そこだけ妙に光っている箇所を見ながらそう言った。



「そう見たい…だけど早くしないと! 時間が過ぎちゃうよ!」

「それもそうだね」



 始まってからこの間、およそ20秒。

 カナタは目の前の物体を瞬間移動で直接、そのゴールまでとばした。



【ミッションをクリアしました。〔達成度・伝説級〕宝箱が出現します】



 そのメッセージと共に、飛ばされていたその物体が光の粒となって消え、その中から宝箱が出てきた。



「…まあ、わかってたけど」

「ふふふ」



 カナタはその宝箱を瞬間移動でこちらに引き寄せ、開けた。中身は箱であった。



「これ…?」

「 うーん、よくわかんないけど…今は開けられないみたい」

「じゃあ後でダンジョンをクリアしたことがありそうな人…トールさんあたりにも訊いたら?」

「そうだね…」



 宝箱の中身をしまい、サクラの肩を掴む。



「じゃあ、とりあえず一旦外に出よう」

「うん!」



 瞬間移動移動により、二人は一瞬でダンジョンの外に出ることができた。



「よっ…と」

「はぁ…やっぱり叶のそれはすごいわね…。そんなに上手に使いこなせるのも凄いけど」

「ふふ…ありがと」



 カナタはさっき手に入れた箱を取り出した。

 またそれを開けようと試みて、簡単に開けられた。



「これって…外で開けるタイプなんだね」

「中身はなんだったの?」

「うーんと……」



 中身はSランクの魔核10個であった。



「Sランクの魔核数個だね。十分なお宝だ!」

「へぇ! …でもなんでワザワザこんな小さめの箱に?」

「多分…この箱自体がダンジョンのどこかに使えるとか…。ダンジョンの中じゃ開けられないことを考えると…ダンジョンを出ちゃったら効果がなくなるタイプかな…」

「そっか…やっぱり、あとでトールさんに念話で聞こう」



 魔核とその謎の箱をマジックバックにしまう。



「…もう一巡だけするね。今のは様子見だったから、今度は本気でタイムアタックしてくる」

「た…タイムアタック?」

「うん。悪いんだけど、時間…測ってくれないかな? あ、あとそれとその1周が終わったら一旦家に帰ってステータスの管理しよう」

「はぁ…まぁ、いいけど。いってらっしゃい」

「うん!」



 サクラはカナタのダンジョンのクリアする時間をみるために時計を取り出した。

 その様子を見たカナタは瞬間移動でダンジョンの中に潜っていった。



「全く…ゲーム好きね…」



 そう、サクラは呟きつつもマジックバックからマットを取り出し地面に広げ、そこに座った。

 そして本を開くも、読まない。



「(……叶…あぁ、カッコイイ…! ど、どうかな? 私のその…お色気攻撃って叶に効いてるのかな? なんかいつもと違うとか言われちゃったけど…。は…恥ずかしいよぉ…! で、でもキリアンさんは身体を押し付けたり、ちょっと色っぽい仕草をするだけで喜ぶ筈だって言ってたし…! このままでいいかな? いいのかな? …アレって私のご褒美じゃないの? ちゃんと叶へのご褒美になってるかな? き…気になる…! 本人に訊きたいけど訊けないっ…! そもそも__________



_____

___

__



_____なんだよね。ああ…うぅ…キリアンさんは叶が私のこと好きだって言ってたし…! 本当だったらどれだけ嬉しいか! ああ、やっぱり好きっ…好きっ…好きだよーっ!)」

「何が好きなの?」

「ファイッ!?」



 サクラは驚きすぎて、普段は出ないような変な声が出てしまった。


 カナタが帰ってきた。

 まだ潜っているだろうと油断していたサクラの隣に瞬間移動して帰ってきた。

 手には箱と紙が握られている。



「あ…えっと…そう! 甘い物のこと考えてたの……」

「そうだったんだ。桜は甘い物本当にすきだねー。じゃあ後で一緒に食べに行こう!」

「う…うん。あ、ところで時間は…2分半ジャストね」



 それ以上詮索されないよう、サクラは話題を逸らした。



「そっかぁ…1分はきってたと思ったんだけど…」

「2分半でも早すぎるくらいじゃないの?」

「まぁ…そうかもだけど。あ、そうそう、コレが今回のお宝ね。スキルカード」

「えっと…スキルを覚えられるヤツだっけ? 何が覚えれるの?」

「まだ見てない。見てみるね」



 カナタは自分の額にそのカードを当て、内容を確認した。



「なんだった?」

「星四つのSK2、大透視…透視だって」

「と…とおし!? だ…ダメよ、叶、そんなの覚えたら…」

「え…なんで?」

「私の…お風呂とか覗かれるかもしれない…。そもそも服とかも透かされるかも…」



 自分が見られるかも…というのは理由の一つに過ぎず、叶が透視を覚えるのを止めた1番の理由は、他の人に見惚れないようにする為だったりする。サクラ自身は気が付いてはいないが。



「俺はそんなことしないよ…」

「わかってる。叶は厨二病だけどそんなことしないってわかってる…けどやっぱりちょっと不安かな…なんて」

「んー…わかった。じゃあこれは桜が覚える?」

「そうしてもらえると助かる」



 サクラはカナタからそのカードを受け取り、自分の額に当てて読み込んだ。

 頭のなかで習得するかどうかを訊かれ、はい、と答える。

 サクラは無事に大透視を手に入れた。



「よし…じゃあ一旦、宿に戻ってステータスの管理をしよう! しばらくしてなかったからね」

「ん、そうね」



 サクラは立ち上がり、辺りの片付けをしてからカナタに執拗にしがみつく。カナタはそれを気にしたが、別段、突っ込むことは無く、瞬間移動をした。

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