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第二百七十八話 置いてかれた王子達

「なんか寂しいね…」

「ああ、そうだな。それに暇だ」



 ここはメフィラド城、オルゴの部屋。

 そこには今、この国の騎士団長の息子であるオルゴと王子のルインが居た。



「3人ともアリムちゃんの家に遊びに行っちゃった」

「今はカルア姫とリロとミュリとアリムとミカ、そしてアリムとミカの竜族の友人一人で一緒に居るんだっけな…」

「6人かぁ…。オルゴ、女の子6人の中に混じれる?」

「無理だな。アリムなら俺らが訪問すると言っても断らないだろうが…」



 この二人は暇だった。

 他国とのイザコザがあたらしく起きそうだという事で、カルアやルインは街より外の出入りがしばらく行きにくくなった。

 それ故にアリムとの約束であった訓練が延期となってしまいう。

 アリムはそれに気を使い、カルアを自宅に呼んだのだ。

 そして2日遅れでリロとミュリもアリム邸へと行ってしまった。勿論、クエストにも行けるはずがない。



「ねえ、オルゴ。カルアによると、昨日はアリムちゃんにエッチな格好させたりして遊んだらしいよ」

「………やっぱり混れないよなぁ…」

「本当…ね」



 二人は深いため息をつく。

 普段は仕事に行くか、幼馴染4人で…あるいはカルアを含む五人で過ごす事が多かった二人。

 男二人でする事など、剣と魔法の鍛錬かオセロぐらいしか思いつかなかったのだ。

 しかし、その二つも昨日と一昨日で散々やり尽くした。



「…なんか話するネタある?」

「あー、ねぇなぁ…そっちは?」

「ないかな_____あ! いや、あるね。最近知ったんだけど、女の子達の間では自分の恋とかについて話すのが流行ってるらしいよ。メイド達が話してるのを偶然聞いたんだ」

「それを、男である俺達が…二人だけでする…と?」

 

 

 オルゴは乗り気ではなかったが、本当に暇なので、結局はその話をする事になった。

 とりあえず、自分達の好きな相手を話すのは小恥ずかしいという事らしく、他人の好きな人を予測するところから始めたようだ。



「で…とりあえず誰の話からにする?」

「兄様」

「だよな…。やっぱりティール様は気になる」



 ちなみに今年22歳となったティールは、かなりのイケメンであり勤勉家、そしてなにより大国の第一王子であるため、仲の良い他国の姫や令嬢からの見合いの話が多数来ている。

 


「まず兄様が気になっている人って……誰だろう」

「アリム…?」

「アリムちゃんは無いよ。アリムちゃん自信が断ったもの」

「それはアリムが断ったのであって、ティール様は断ってないぞ」

「いやでも…どちらにしろ兄様のそういう素振りは一切見た事無いよ」



 10秒の沈黙。

 ティールの恋事象についてはその他、一切思いつく事がなかったのだ。



「案外難しいな…。なら、次だ。次は誰の話をするんだ?」

「ここはアリムちゃんじゃないかな?」

「アリムなぁ…」



 二人はアリムの答えはすぐに思い浮かんだ。



「ミカちゃんだよね」

「ミカだな」

「でも本当にあの娘、恋愛対象としてミカちゃんが好きなのかな…? カルアはキスしているところを見たっていうし」

「俺はそう思ってる…。あの人気者のアリムは実は同性愛者、そう考えて良い」

「やっぱりそうだよね…。『ジ・アースを愛でる会』の皆さんがこの事を知ったらどうなるんだろ?」

「逆に喜ぶだろうな。変な男と付き合うより、その応援する対象同士で愛し合ってるんだからな」



 その後、二人はアリムとの思い出や料理の味などについて話し合った。

 なお、アリム人気の前は十数年以上前になるが、カルナ人気だった。人妻にも関わらず、今のアリムに近い人気を誇っていたのだ。

 


「____気付いたらアリムの話をしてたな」

「本当にあの娘は不思議だからね…」

「じゃあ次は……ついに俺達…か?」


 

 オルゴとルインは身構える。



「そうだね。オルゴ、好きな人居る?」



 先に言ったのはルインだった。

 オルゴは先にそれを言われてしまったことを悔やんだが、仕方なく応える。



「……まあ、居る」

「僕が知ってる人かな?」

「ああ…」

「僕達と歳が近いか同い年…?」

「そうだ」

「この城に出入りした事がある…?」

「ある」

「可愛い?」

「お、おう…。まあな」

「すごく可愛い?」

「………おう」

「わかった。ミュリに『オルゴがすごく可愛いって言ってた』と…、そう言っておくよ。きっと喜ぶだろうな…」

「クソッ、気付いてたならそう言えよッ!!」



 オルゴは顔を赤目ながらルインの肩を掴み、前後に揺さぶった。ルインは珍しく、ニヤけつつも人を小馬鹿にしたような顔をしている。



「はー、クソッ。いつから気付いてやがった」

「大分前。少なくとも1年以上前」

「マジかよ…。ミ…ミュリは気付いてるのか?」

「いや、気付いてない」

「そうか…はぁ…」



 オルゴは深呼吸をして、気持ちを落ち着かせた。

 何年も気付いてなかったのだ。大親友が自分の好きな相手を知っている事を。

 ちなみに…リロはミュリがオルゴの事が好きな事を気づきかけていている。


 オルゴは反撃しようと、今度は自分から話をかけた。



「次は俺の番だな! 観念しろ」

「うん。僕の好きな人は、髪が短めでピンク色。それですごく可愛くて…優しくて、でもちょっとドジなところとかあって、可愛い物や人が好きで、この国の大臣の娘で____」



 『ちょっと待った』と、オルゴはルインの話を止めた。

 もう誰の事だか髪の話の時点で気が付いたのだ。



「…リロだな」

「そうだよ。気付いてなかったでしょ?」



 ルインは勝ち誇ったようにニコニコとしている。



「ああ…。リロがルインの事を好きかもしれないという話はミュリから聞いたことはあるが…」

「……!」



 今までペースを掴んでいたルインの表情があからさまに変わった。もともと大きかった目をさらに見開き『嘘だろ』とでも言いたげな表情をしている。



「あ…あれ? ルイン?」

「それは…本当?」

「ああ。そうだが…」

「リロはティール兄様の事が好きなんじゃ…」

「…いや? それは無いな。流石の俺もわかる」

「えっ…えっ……」



 ルインは驚きの表情のまま、今度は口を押さえている。

 彼にとって今の情報はよほどの驚きだったのだ。



「さっきまでの威勢の良さはどうしたんだ? ルイン」

「………」

「おーい…」

「んぁぁー……!?」

「おい…しっかりしろよ…」



 オルゴがルインの顔の前で手を振ると、彼は少しばかり正気を取り戻した。



「放心するほどの驚きだったか」

「うん…。12年くらい好きだったから…。両思いだとは思わなくて」

「それは良かったな。この際、告白したらどうだ? ルインは王子だがリロは大臣様の娘だ。血筋的にも全く問題はない。それに俺達ももう18になった。恋人が居て…極論、結婚したりしてもなんらおかしくはない」



 そう言われたルインは、ハッとしゃんとした意識を取り戻し、何故かオルゴの手を握る。



「お、おい。どうした、なんだ!?」

「ねぇ、オルゴ。僕、リロに告白するよ」

「そ、そいつは良かっ」

「でもオルゴもミュリに告白しよう。同じ日に、同じ時刻に、別の場所で、それぞれ別々に呼び出して」

「は…はぁっ!? 俺もかよ!?」

「うん」



 ルインのその提案にオルゴは驚いた。

 自分は告白する気は無かったのだ。

 


「いや…俺は別に…」

「じゃあいいの? オルゴは『男だから男らしく生きる』とか3年くらい前に言ってたのにさ。ミュリから告白するのを待つ? それとも20歳を超えてから? もしかしたらその間にお見合いで良い話が来て、その男にミュリが付いてくなんて……」

「…………わ、わかった、やってやらぁ!」

「そうこなくちゃ! 日は何時にする? 僕は1週間後の流星群の日が良いと思うんだ」

「……お、おう! じゃあその日にしようぜ!」

 


 はたして、男二人の恋は実るのか…!




「アリムにエッチな服装~」とありましたが、この世界の服装の基準は勿論、地球とは違うわけでして。


だいたい、こんな感じです。


・普通の服


地球→よく知っている通り、健全で普通の格好

アナズム→上記に加えて臍出し、太もも出し、肩出し(肩~胸)まで。



・際どい服


地球→露出が多い服

アナズム→上記の服よりさらに露出が多い。



 アリムは一体、4日目にどんな格好をさせられてたんでしょうかね…。

 



 ちなみに余談ですが、メフィラド城の料理長は既婚で2人の子持ちです。

 あと、先ほどの二人の恋ですが……実りまs____

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