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第二百八十話 山は魔物の巣

「よし、ついた」



 カナタとサクラは地面に降り立った。

 二人は互いに組んでいた腕を離す。



「ここが今日の鍛錬する山だよ。…はぐれないようにね」

「はぐれないわよ、私、歩いてる間は叶にお世話になるし」



 そう言いながら、サクラカナタの腕にしがみつく。

 カナタは一瞬、顔を火照らせるもすぐに冷静を取り戻した。



「じゃあ探知しよ」



 二人は大探知を展開した。

 その結果、周囲にはC~Bランクの魔物がウヨウヨと生息していた。

 


「うわぁ…」

「多いね、こりゃ…。俺が槍を投げてる間、警戒しててね桜」

「うん…。補助魔法はどうするの?」

「とりあえず、桜は自分に防御をできるだけ。俺には器用と攻撃と素早さをできるだけかけてもらえる?」

「わかった。MAXになってかけられる回数もかなり増えたみたいだし、期待しててね」



 そう言うとサクラはカナタに言われた通りに補助魔法をかけた。

 かけられただけで昨日とは段違いだと、カナタは実感した。



「はー、すごいもんだね…」

「ふっふふふん!」

「じゃあ早速……ソォイッ!」



 カナタは眼帯をつけてから、最寄りの魔物に向かって槍を投げた。

 それは一瞬でその魔物を死に至らしめ、カナタは瞬間移動を使ってそれを手元に寄せた。



「はい、いっちょあがり…と!」

「この調子だとBランクの魔物も一撃で倒せちゃいそうね」

「やってみるか」



 今度はBランクの魔物に向かって槍を投げた。

 Bランクの魔物ですら即死し、その死体と槍がカナタによって回収される。



「ふはははは! 我の手にかかればこの程度、楽・勝!」

「調子に乗っちゃダメだよ? 怪我しちゃうよ」

「大丈夫だって…。仮に危ない状況になっても逃げればいいんだしさー」



 そう、カナタは軽~く言った。

 いつも通りのカナタであったが、サクラは心配になった。

 しかし、その心配は無い。カナタはこんなことを言っているが、至って冷静であり、最悪な状況に陥ったとしてもサクラだけはいつでも逃がせるように注意を払っていた。


 そんな二人は、いつの間にか大探知で見れる範囲内の魔物を根絶やしにしてしまった。



「あ、終わっちゃった」

「じゃあ早く次行こう」

「うん」



 カナタはその山の裏に移動した。

 そこにもまた、魔物がウジャウジャと生息していたのだが、カナタはものの十数分で根絶やしにしてしまった。



「今の場所はさっきよりBランクの魔物が多かったよね? ……もしかしたらAランクもいけるんじゃない?」

「そんなに焦っても良いことはないわ。安全第一でいこうよ。カナタが怪我したら治すの私なんだからね」

「その時はお世話になるよ」



 今度は二人は山の頂上付近まで移動した。


 移動した場所にいきなり魔物が2匹居て、それらと対峙することになったが、カナタは槍を駆使して難なく倒した。



「じゃあ探知を……」

「ふぇっ!? か…カナタ、ここ、この場所居るっ!」



 先に探知をしたサクラはそう声を殺しつつ驚きの声を上げた。



「何が?」

「Aランクの魔物が…3匹…」

「まじで?」



 カナタも探知をしてみた。

 確かに3匹のAランクの魔物が引っかかっている。

 しかもそのうち1匹は数本の木を挟んで隣に居るみたいだった。



「なんでこんなに…Aランクの魔物って割と珍しいんじゃなかったっけ?」

「さあ…でも、居ることは居るんだし…。ど、どうするる? 叶」

「どっちみち戦ってみるしかないよ。……桜は周囲に注意しながらそこで待機してて。俺はすぐそこにいる奴と戦ってみるから」



 そう言ってカナタはそのAランクの魔物に近寄った。

 サクラは不安気に探知でカナタを探りながら待つことを決めたが、拍子抜けした顔で彼はすぐに戻ってきた。



「……戻ってきたよ」

「倒せたの? 怪我はない? 回復しようか?」

「いや、大丈夫。ノーダメージで倒せちゃった」

「そう…みたいね、うん。あー…じゃあ、残りの2匹も倒しちゃうの?」

「うん。ちょっと行ってくる」



 カナタは瞬間移動で自らそのAランクの魔物らの元へと移動した。

 そして1分もせずにサクラのもとに帰ってきた。



「桜、おわったよ! あとはこの範囲に見える魔物を全部倒しちゃって、帰ろう」

「そ…そうね、帰ろ」



_____

___

_



 現在、サクラは一人で部屋に居た。

 カナタは今回手に入れた、Cランク25体、Bランク20体、Aランク3体の魔物の死体を解体し、それらの素材を売りに行っているのだった。


 サクラは一人でベットの上にうつぶしている。



「(はぁ…カナタ…強いしカッコ良いし優しいし…頭が切れて_____。そういえば私の称号の『魅了の才』ね、あれなんなの…? 私が誰かを魅了したっていうの? さらに魅力が増すって何? 可愛くもない私が……。でも昨日叶は私のこと可愛いって…可愛いって! 称号といい…叶からの評価といい…私って案外…。いや、違う。きっと神様まで私をおちょくって……ううん、叶は私のこと馬鹿にしたりしないから…じゃあ叶のは本音なのかな? だとしたら…だとしたら…叶は本当に私の事をそう思ってくれていて……あうぅ…)」



 サクラは顔面を枕に埋めた。

 なお、その枕は叶が使っている方である。

 


「(目も…私の目も…治すって頑張って…。……でも、私の目って魔法で治んないのかな? 後で試してみよっと。それより叶よ、叶。早く目を治して叶の顔が見たいなぁ)」



 桜は枕に顔を押し付けながらベットの上を右往左往ゴロゴロも転がり始めた。

 その枕に隠れている顔はミニトマトのように真っ赤である。



「桜、桜っ! ただいま! ねぇ、聞いて!」



 突然、カナタが興奮気味に部屋に帰ってきた。

 その声はこの世界に来てから1番嬉しそうな声だった。

 サクラは枕を顔からどけながら、その声がする方を向いた。



「あれ、桜。顔赤いけど…」

「あ…うん。ちょっとお昼寝してて…暖かったから…。それで、どうしてそんなに嬉しそうなの?」

「ああ、うん! 聞いてくれよ、120万ベル貯まったんだ!」


叶ってよく考えると、目の悪い幼馴染を守り、世話しながら自力で命を張ってその目の治療費1200万円稼いでいる中学二年生なんですよね。

現実世界だったとすると、なんかのメディアで取り上げられてそうな少年です(´Д` )

 

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