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Levelmaker ーレベル上げしながら異世界生活ー  作者: Ss侍
第十章 それぞれの生活
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第二百六十四話 2度目の落下 (翔)

 一瞬、何が何だかわからなかった。

 

 本当に、気がついたらリルが空中に居て、かくいう俺も空中に居て、見えるのはあの大ワシの後ろ姿。

 悟ったね、風圧で吹き飛ばされたんだって。


 

「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」



 叫び声が聞こえる。なんだがデジャヴを感じるな。

 リルは俺が手を伸ばしても届かない距離に居るし…どうすれば良いんだ?

 

 もしかして手からエミッションとかキャノンとか放出したらその勢いでリルに近づけねーかな。

 俺は落ちてく最中、二回目だからかなんとか冷静さを取り戻し、その作戦を実行してみることにした。



「待ってろ、リル! 今そっちに行く」

「ごご…御主人っ!?」


 

 リルは俺に向かって手を伸ばす。

 俺も左手を伸ばし右手を斜め後ろに向け、そこからファイヤーエミッションを放つ。


 始めて放つエミッションの威力は凄まじく、リルの手を掴むどころか体当たりをしてしまう。

 だが、俺はその瞬間にリルの身体をちゃんと抱きかかえることに成功した。片手だけどな。



「御主人……その…せめて御主人でも助かるように、何か…何か…」

「いや、大丈夫だ。俺達は二人とも助かる」



 確信はあった。

 エミッションを掌から空中に放出したら移動できたからな。これを応用すれば、落下死を免れることができるはずだ。

 俺は片手でリルを抱えたまま、もう一方の手を下方に伸ばす。



「御主人っ…落ちるっ…! ごめんなさい、ごめんなさい、ろくな恩返しもできなくて…。数日間だけだけど、ありがとう。嬉しかった、温かかった。なんとか…なんとか御主人だけは……」

「いや、だから死なねーっての。ちゃんと俺にしがみついてろよ」

「えっ…や、でも…」

「いいから俺にしがみついてろっ!」

「う、うん」



 リルは俺の身体にしがみつく。


 地面まであと3メートル程になったところで、俺は手から、火力を抑え、出力と範囲をできる限り広めたキャノンを放った。

 

 その勢いで身体がフワリと上昇する。

 また落下が始まり、今度は先ほどよりも少し威力や範囲を薄めて放つ。


 これを何回も繰り返し、衝撃を弱めていき___________



 俺は怪我をせずに着地することに成功した。

 もっとも、かっこよく足で着地なんてできるはずもなく、背中で…だが。


 

「おいリル、助かったぞ…リル?」

「っ………」



 リルは俺にしがみついたまま、気絶していた。心臓の鼓動はちゃんとあるし、大丈夫だ。

 獣人だからか掴む力が強く、なかなか引き剥がせない。それにこの体制からじゃ、揺すぶって起こすのも困難だぜ。


 ……まいった、しばらくこのままか。

 なんか色々、ほんと、柔らかいし良い匂いするし…俺にはきつい。毒が多い。頼むから早く起きてくれ。

 

 

_____

___

_




「うぁ…アレ? ここはどこ…? 死んだのかな…なんか地面が温かいし…。死んだということは、お父さんとお母さんに会え_____」

「生きてるぞ」

「うわぁっ!? あぅ…って、御主人!?」



 あの体制からおよそ30分。やっとリルは起きた。

 周りをキョロキョロと見渡している。



「たしか…なんかでかい魔物があらわれて、そいつの風圧で私達は落ちて……」

「俺が魔法を色々使ってなんとか無事に着地したんだ」

「わふぅっ!?」



 リルは俺から飛んで離れた。

 やっと離れてくれたか。

 正直、耐えた。俺はよく耐えたぞ。

 エライな…と、自分を褒めてやりたいところだ。



「御主人、ごめんなさい、乗っかっちゃって…」

「いや、まあ良いんだ。重くないし」

「う…うん、それで、今は谷の底に居るわけだね?」

「そうだぞ」

「そ、そうか……あっ!」



 リルは何かに気づいたようだった。

 そう思ってたんだが、何故か俺に向かって土下座をし始めた。

 


「おい…リル? 何をしてるんだ」

「これで私は二回も御主人に命を助けられたわけで…」

「いやそんなに深く考える必要ねーって。最初は助けたくてやった事だし、今はその…できる事をしただけだし…」

「……御主人に2度も救われたこの命、一生、御主人に捧げるよ」



 え…や、マジでこの娘何を言ってんの?

 そこまで深く考えなくても良いって……ただ、本当に助けただけなんだがな…。



「_____と言ったら多分、御主人、すごく良い人だから、そこまでまでしなくて良いって言うんだろうけど…」

「本当に、そこまでしなく……ハッ!」



 読まれてた。

 なんかちょっと悔しい。

 

 

「でも、そのような気持ち、心持ちで私は御主人に着いてく。ありがとう、本当に」

「ああ…うん」



 なんだろうな、なんか恥ずかしいな。

 こうも御礼を言われ続けると。


 しかし…二人とも落ちて助かったのは良しとしよう、荷物も頑丈にくくってあって、一休みしてる合間だったから全てアイテム類はマジックバックにしまってある。

 失くしたものは無いようだ。これも良い。


 ただ…森だ。

 この森をどうやって抜けようか。

 かなり居た場所から遠くまで飛ばされちまったみたいだからな…。

 

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