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Levelmaker ーレベル上げしながら異世界生活ー  作者: Ss侍
第十章 それぞれの生活
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第二百四十五話 心配 (叶・桜)

 二人とも寝る準備を終え、部屋のベットに腰掛けた。

 カナタはサクラの真面目な顔に、自分が何かやらかしたのではないかと心配になってきた。



「……で、話って…話ってなにさ?」

「まあ、一言で言うと、はしゃぎ過ぎって事なんだけど」



 カナタは眠い目を擦りながら、自分の行動を思い返してみた。確かに、サクラの言う通りに、はしゃぎ過ぎていたと、反省をする。



「まあ。桜も…我の性格知ってるだろう? ふふ」

「そうよ。貴方はそういう奴よ。だから、はしゃぎ過ぎでハメを外して、取り返しがつかないような事にならない様に、私は注意してるの。ここは日本とは違うんだよ?」

「それは理解してるって。心配し過ぎなんだよ」



 サクラは、そのセリフを昼に自分も言ったような気がしたが、とりあえずそれは気にせずに、話を続ける事にした。



「でもね、ゴブリンとか…見て分かったと思うけれど、ヘタしたら殺されるのよ? いつもみたいに中二病に浸っているうちに、不意でもつかれて死んじゃったらどうするの?」

「まあ…そうだね。それは少し気をつけるよ。今日は何故だがテンションが少し高かったみたいだ。眠いし、そのせいかもだけど」

「……それって、遠回しに私のせいだと言ってるの?」

「そういうわけじゃないよ。…でも、今日はゆっくり寝させてもらえると嬉しい。ソファで」

「…わかった。ごめんなさい」

「いやいや」



 サクラはカナタが座っている場所より少しずれた場所に頭を軽く下げて謝ったが、すぐに顔を上げ、口を尖らせて再び話し始めた。



「…って、なんで私が謝ってるの。違うでしょ。私は叶にもっと気をつけてね…って、話をしているの」

「そうだね」

「…お願いだから、その…こんな日本はおろか…地球ですらない場所で死なないでね? 叶が死んじゃったら、誰が私の周囲を見てくれるの?」



 そう、目を少し潤ませながら、サクラはカナタに迫った。カナタは、不意にサクラの頭に手を置き、左右に揺れさせはじめた。



「大丈夫、それは…多分」

「そんなんじゃ不安。…約束して。一緒に日本に帰るって」



 サクラは小指をカナタに向けて突きつけた。

 カナタはそれに、自分の手の小指を絡ませる。



「わかった」

「そう。破ったら針千本のますからね?」

「はいはい」

「わかったらいいの。ところでさ、カナタ。いつまで私の頭を撫でてるつもり? これってあれじゃない、セクハラじゃないの?」

「あ…ごめん。もうしないから」

「えっ…あ…いや…その…そこまで言ってないから。うん。もうしないとか…そこまで…。…あー、もう寝よ? ね、ね?」

「んー…そうだな」



 サクラの苦し紛れの提案により、二人は各々別の場所で眠る事になった。 

 サクラはいつも通りにベットで、カナタは広い高級なソファの上で。

 互いに「おやすみ」と言い、寝るはずだった。


 しかし、サクラは眠りにつけなかった。落ち着かない。眠れない。彼女自身、薄々感づいていたが、何かを抱きしめながらではないと中々寝付けなくなってることを痛感した。

 それでもサクラは必死に寝ようとした。

 自分が呼べば、半ば嫌がりながらもカナタはこちらに来てくれるだろうと、長年の付き合いからわかっている。

 しかし、そうすると、今度はカナタが眠れなくなるのだ。


 サクラは中々寝付けずに、ベットの中で身体をモゾモゾと動かし続けていた。



「なあ、桜。寝れないの?」

「そっ…そんなことないし」

「そう、じゃあ、おやす___」

「かっ……叶がこっちに来たいって言うんなら、べ…別に来たっていいわよ。特別よ」

「いや、そうすると俺が眠れない…」

「……と、特別よ」

「や、ほんとごめん、マジで寝させて。お願いだから」

「………うん」



 そう言って、カナタは完全に眠りにつくようにした。

 桜は結局、浅くしか眠ることができなかった_____。



_____

___

_



「賢者共は寝たのか?」



 王座の間にローキスの声が響き渡る。



「ほっ…いや、まだサクラが寝つけて無いようですな」



 その声に対し、玉座に座っているローキスの前に居るデイスが答える。

 現在、この部屋にはこの二人しか居ない。



「そうなのか。まあしかし、サクラならば問題は無いな。カナタほど勘は良くないし、なにより目が見えん。この時間に一人でここに来ることは無いだろうな」

「ほぉ、そうですな。頭の出来はサクラの方が上じゃが、回転の速さはカナタの方が上ですからな」

「ああ、中々良い奴らが来たものだ」



 ローキスは満足げに笑みを浮かべる。



「そうですな。あの二人も…まだこの国に来て数日ですが、着々と強くなっていっておりますからな」

「ああ、期待できそうだな。十分。僕達の計画が成功することが」

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