第二百四十一話 カルアちゃんの訪問 4日目 中編前半
その後、色々とあってカルアちゃんはローズから変な敬語を取り除くことに成功したが、未だにビクビクしているようだった。
まあ、そんなことは気にしないとして、せっかく6人も居るんだ。何して遊ぼうかな?
「今からお昼ご飯までそれなりに時間あるけど、なんかしたい事とかある?」
「こ、こんなに人数が居ますからね……」
「ならば、アリムのスキルを使って何かを作って、それで遊べば良いのではないだろうか?」
しばらく話し合った結果、そのローズの意見で賛成になった。……どっちにしろ何をすればいいんだろうか。
正直言って、現在、女であるボクでも、お菓子や料理を摘んだり、テレビゲームやボードゲームをしたり、映画を見たり、漫画を読んだり、何か可愛い小物を弄ったりする以外思いつかないや。
ボードゲームはいつもやってるし、漫画やテレビゲームなんて、向こうの世界の物をこっちの人に見せるわけにはいかない。映画はカルアちゃんと既にみた。
となると、お菓子を摘んだり、小物を眺めたりするのが良いんだろうか?
こういうのはアレだ、生粋の完全なる女子であるミカに訊けばいい。
【ミカ~、いい案思いつかないよぉ…。女子会って何をすればいいの?】
【ごめん、遊んでた相手って、いっつも有夢だったじゃない? 女子会って、両手足で数えられるくらいしかしてなくて…】
【15回以上は十分参加してることになると思いますが?】
【いやー、その、個人的には有夢と居たかったから……毎回、女子会中は集中して無かったのよ。いっそ、有夢が女装して参加してくれたらって、何度考えたことか】
ミカってば、もう…。えへへへ……。
……むむむ、どうしよう。女装……女装……。そうだ!
着替え大会をしよう。俺なら服を自由に作り出せる。一時的に髪を伸ばしたり、短くしたりもできる。
これって、面白いんじゃないかしらん?
「よし、じゃあ皆んな! 着替え大会しよっ! ボクのアイテムの効果なら、髪の毛の伸縮は自由自在だし、衣装の用意を考えてることを読み取って作るマジックアイテムで作ろう。 そうすればきっと楽しいよ!」
「それはいいですわ!」
カルアちゃんを始め、皆んなが賛成してくれた。
どうせなら…ということで、カルアちゃんの提案により、くじ引きで当たりを選んだ人が、好きな人を指名して着せ替えさせることができるというルールが加わった。
……それがいけなかった。
よく考えたら、ローズを除き全員が、俺のことを普段から弄りたがっている人達だったんだ。
これに気付かなかったことが、まさに、俺の悪夢の始まりだったんだ。
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「では、くじを引きましょう」
カルアちゃんのその声により、俺達6人は、俺の作ったアイテムに手を突っ込み、棒を一本引いた。
当たりは、いきなりカルアちゃんだった。
嬉しそうな顔でこちらを見るカルアちゃん。何故、こっちを見るんだ。やめろ、そんな輝かしい目で俺を見ないでくれ。
「それじゃあ、アリムちゃんで!」
やっぱりな、そう言うと思ったんだ。
俺はカルアちゃんに手を引かれ、そのまま全自動衣装・髪型・化粧変更機に押し込まれてしまった。
「うーん、やっぱり、これを見てみたいですね」
そう言いながら、カルアちゃんはきっと、外にあるヘルメットような記憶を読み取る機械をつけ、俺が今から成るハメになる姿をイメージしたに違いない。
数秒後、気づくと俺はメイド服になっていて、銀のお盆やフリルがついたカチューシャなどをつけていた。
髪の毛は変わってないようだ。
俺は機械の中から渋々出ることにした。
「きゃー! 可愛いっ、すごーい!」
「メ…メイドさんの着る服って、こんなに可愛らしかったのですね!」
「ふふ、私はそう思って、ずっと、アリムちゃんに着せてみたかったんです」
「なんか…流石というか、国民に人気があるだけはあるよな、本当に」
皆んながそう、口々に感想を言う中、ミカはトズマホを取り出し、無言で写メを撮っていた。
後で消させよう。ミカはしないと思うけど、仮に、ジ・アースを愛でる会の皆さんに、この写真をばら撒かれたら大変なことになるだろう。
別に自分に自惚れている訳ではないけれど、あの人達なら、その写真1枚で1万ベルかけたりするだろう。
「は、早く次行きましょう、次っ!」
「いいですけど、アリムちゃん、次に着替えるまでその格好ですよ?」
「ふええ……」
そして次のくじは引かれた。
また、カルアちゃんだった。……忘れてた、カルアちゃんは豪運だったんだ。
「あらあら……また私ですね」
「次は誰にするんですか? カルア姫様」
「決まってるじゃないですか、ミュリお姉様……。アリムちゃんで」
俺はまた、機械に押し込まれ、無理矢理着替えさせられた。
アリムちゃんの着せ替え回でした!




