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Levelmaker ーレベル上げしながら異世界生活ー  作者: Ss侍
第七章 ハルマゲドン
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第百七十七話 地球から来た道化

「…どうして…どうして貴女が俺の故郷の名を?」



 メフィストファレスは驚きを隠せないのか、カミカミでそう言った。


 やっぱり、そうだったか。

 当人としては、誰もわからないと思ってこのアナズムにない言葉を言ってたんだろうけれど、それが決めてでわかった。



「ボクも地球出身だからね。ちなみに日本人だよ、メフィストファレス…は?」



 そう答えると、メフィストファレスは首をがっくりとうなだらせた。

 


「そう…だったのです…か……俺もです、日本ですよ」



 日本だということまで一緒だったか。

 これには、俺も驚いた。



「そうだったんだ」

「えぇ…心底…驚きました。この世界に来てからの初日以来…久方ぶりに。……でも、いつ、どこで俺が地球から来たと気付いたのですか?」

「メフィストファレス…貴方が、チートとか言ってたり、ドラグナーストーリー2のラスボスのセリフをつぶやいてたりしたからかな」



 ドラグナーストーリーというワードに、メフィストファレスは反応した。



「どちらも…俺は独り言のつもりで言ったのですが…。そうですか。もしかして300年後にもドラグナーストーリーはあるのですか? ちなみに、俺がこの世界に来たのはドラグナーストーリー3が出てから3年と半年後なんですよ!」



 メフィストファレスは少し興奮気味にそう言った。

 ……この人は一体何を言ってるんだろう。

 300年…?

 それにドラグナーストーリー3の発売から3年と半年……それって、ドラグナーストーリー4の発売日の1ヶ月前。

 つまり、俺が死んだその日の1ヶ月前だ。



「えっと、それって俺がこっちの世界に来た日の1ヶ月前なんだけど…」

「はいっ!?」



 だんだんと、メフィストファレスから敵対心というか、邪心というか、そういうものが抜けてってる感じがする。

 最初に会った時の凶悪さはどこへ行ったんだ。



「1ヶ月…前? 貴女がこの世界に来たのは何時なのですか?」

「んと…2ヶ月から3ヶ月くらいかな、貴方は?」

「……っ!? あ、私は300年以上前ですが…」

「えっ…」



 300年前?

 この人、そんなに長くこの世界に居るの?

 ていうか、時間にばらつきがありすぎじゃないかな?



「一体どういうこと…?」

「わかりませんね……時間の歪みとしか…」



 確かに、そうとしか言いようがないだろう。

 もしかしたら、時間はランダム…といった感じかもしれないし。



「それにしても…ですね」



 メフィストファレスは例のニタニタ笑いではなく、普通の顔をしていた。

 真顔なのかもしれないけれど、やっぱりピエロの化粧をしてるからか、笑ってるようにしか見えない。



「危うく、貴女を殺してしまうところでしたよ。危ない、危ない。俺よりアリムさん、貴女の方が強くて良かった。言わば同胞は殺したくないですから。まさかアナズムに地球人、それも日本人が俺含み2人も居るなんて______」



 2人…じゃないんだよね。

 ミカも同じ日本人だという事も言わないと。

 この人がミカを…殺した訳じゃないけれど、少し反省して貰いたい。



「2人じゃない。3人だよ」

「え…そ、そうなのですか…っ!? でも…ここには貴女と俺以外の魔力は……」

「……………うん、だからちょっとまってて」



 俺はメフィストファレスを待たせ、ミカの亡骸を取ってきた。

 ミカの姿を見たメフィストファレスはかなり動揺しているように見える。いや、動揺しているのだろう。

 


「そっ……その娘は…その娘は……さっきの……確か…貴女のパーティメンバーのっ…」

「そうだよ、ボクの幼馴染なんだ。まさか、アナズムでも一緒に過ごす事になるなんて思わなかったけどね…運命って、やつだったのかな」



 俺がそう言うなり、メフィストファレスは申し訳なさそうに、深く謝り出した。

 大声で。涙を流して。



「本当に…ごめんなさいっ…すいませんでした…貴女の幼馴染は…俺達悪魔のせいでっ……同じ出身だと知ってたらっ…」



 その言い草だと、この世界の人間なら殺しても良いってことになっちゃうぞ?

 


「メフィストファレス…えっと、そんな言い方すると、この世界の人間なら殺しても良いって聞こえるんだけど? ボクもみんなも変わらない。同じ人間さ」



 それを聞いたメフィストファレスは豆鉄砲を食らったような顔になったが、しばらくして自分が何を言ったか気付いたのか、またもや涙を流し始めた。



「あ、ぇ…ぁ…は、はは、それは…きっと、俺は深くまで悪魔になってる…って事ですよ。本当に…本当に…ごめんなさい」



 俺は、とりあえず泣いているメフィストファレスを数秒、黙って見続けた。

 もう、この人…この様子だと俺と敵対する事はないと考えて良いんじゃないかな?

 


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