第十三話 穴
とても…大きい。
そんな穴が森の中に不自然にある。得体の知れない大穴に恐怖心がないわけではないんだけど………。
俺は今、とてつもなくこの穴を覗きたい衝動に駆られている……。
穴に恐る恐る近づき、中を覗いてみる。
なんと! 穴の壁一面に昇り降り降りできるような、これまた不自然な岩が組まれていた! さらにその奥にはうっすらと光が見える。
入れということか? 入んなきゃダメ? どうしても?
でもこの奥に何かある気がしてならない。
………入ってみるか………。
ゴクリ と唾を飲み、その昇り降りがしやすそうな岩の壁をそろーりそろーり、ゆっくりと、階段のように降りていく。
降りてくにつれ、だんだん中の様子がわかる。
いや、これは本当に驚いた。穴の底の床に石畳が敷かれている!!
かなり怪しい。人工的すぎる。そんな疑問を浮かべながらも、俺は降りる。
さらにゆっくりと一歩一歩踏みしめるようにして。完全に、恐怖心より好奇心が勝っている状態だ。
そうこうしてるうちに、かなりゆっくり降りたハズなのに5分くらいだろうか?
このくらいで石畳の床まで着いてしまった。
着いたと同時に頭の中に、メッセージが流れる。
【ピピーの森「楽しみ」のダンジョン に 入りました】
えっ………?
ダ、ダンジョン……?これがダンジョンなのか………。
どうりで妙に明るかったり、石畳が敷いてあったり、不自然に昇り降りがしやすいように岩が組んである訳だ。
ピピーの森ってのはこの森のことだと思う。
「楽しみ」……?
ボーナスステージか何かってこと?それとも、喜怒哀楽の「楽」……?
まぁ、どっちでもいいか。ダンジョンって、Lv8でいけるの?
無理そうだったら戻ればいいか。どうやら、戻れるみたいだし。
今、目の前には一直線にトンネルのようなものが広がっている。そのトンネルをほんの少し進んだ先に、あいつが見えてくる。
_______あの、大犬。
ダンジョンのモンスターってとこだろうか。
あいつぐらいのやつがたくさんいるのか?そりゃ困ったな。
なんとなくだけど、あいつの目に生気がない気がする。気のせいかもしれないけど。
なんにせよ、一度倒した相手だし、倒せるよね。
俺は魔法の範囲内からウォーターエミッションを大犬の頭を抑え付けるように撃つ。
あんな攻撃しても鳴き声ひとつあげない。怖いぞ。
魔法がきれたら間髪入れずにまた魔法を発動させ、頭を抑えつけ続けるようにする。そんな感じでウォーターエミッションを連続三回放ったが、倒せなかったようだ。
前だったら、レベルが上がっている分、これで倒せていたハズ。ダンジョンだと少し強くなるのだろうか?
まぁ、いいや。様子見のつもりでウォーターボールLv5を放つと、倒せた。……レベルが10に上がったみたい。
前よりも経験値が多い気がする。ダンジョンだからかな?
とにかく先に進もう。
経験値表
ウサギ→30
トリ→30
イタチ→40
小犬→50
大犬→350
大犬→550
ダンジョンの敵は攻撃力とHPが上がってます。
レベル10になるのに必要な総経験値数は1500です。