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厨二病御用達 (叶)

「ふっふっふ……ついに、ついにできたぞッ……!」



 苦節数ヶ月。俺が本来している研究の合間についでで開発していたものが完成した。

 ああ、なんて刺激的で心躍る、究極で完全なものを作ってしまったのだろうか。これが世界に広まったのならば我が魔眼の覚醒がより進行するに違いない。



「ふ、ふは、ふははは、ふははははは!」

「……どしたの?」

「は!」



 毎度毎度我がフィアンセは、この天から与えられし頭脳の所持者であるはずの俺の背後をとるのが非常に巧い。幼馴染みにしかわからない俺の死角があるとでもいうのだろうか。

 嗚呼、今日も可憐で愛おしい。



「我が魔の研究の成果が成就したのだ、フィアンセよ」

「まさか、ついに完成したの!? 昔の私みたいな盲目の人でも目が見えるようになる器具!」

「いや、それはこの俺がアナズムの力をフルに使ってもあと1年かかるかな。違うんだよ、それとは別に遊びで作ってたものが出来上がったのさ」



 俺は一つの魔が集いし暗黒に染まった衣を見せる。なにも知らされていない桜からはただの黒い服に見えるだろう。案の定、首を傾げた。



「叶がいつも厨二病ごっこする時に身につけてる服よね?」

「まあ、そだね」

「で、その服に何か細工したってこと?」

「そゆこと」

「とりあえず見せて」

「うん」



 その場で着替える。我は漆黒に身を包むこととなった。そして耳にワイヤレスイヤホンのようなものを入れ、準備万端だ。無論、眼帯も装備する。



「それで何するの」

「見ててね」



 俺は魔の力を高めるポーズをとった。おそらく、ポーズをとった瞬間から桜には俺の背後に巨大な魔法陣が見えているはずだ。



「……? 魔法使った?」

「ううん、この魔法陣、実は映像なんだよ。何を隠そうこの衣服……全身から魔法陣の映像を見せることができるんだよね」

「なるほど」

「しかもこの耳につけてる器具から脳波を読み取らせて、好きな色形のものを設定できるんだ。だからこんなこともできる」



 足元、背中、頭上、両手足から赤い魔法陣が複数出現した。

 ああ、紅蓮に燃える魔力。とてもおどろおどろしくて素敵だ。血が滾る。



「脳波読み取らせて服から映像出すってこと? またすごいもの作ったわね」

「ふふん! これで全国全世界、我らが同胞達の秘めたれし情熱が遺憾無く解放されることだろう」

「つまり商品化するつもりなんだ」

「まーね。前の魔眼コンタクトもすごい人気だったし、これもきっと売れるよ」



 少し前に脳波と映像技術で好きな魔眼(のデザイン)にできるコンタクトを開発し、俺が所属している組織から商品の企画及び販売をしてもらった。

 その結果、全世界で魔の求道者達がそのコンタクトを求めて対価を支払い、開発者である我は莫大な富を得たのだ。まあ、全額本来の研究費用に当ててるが。



「しかしまあ、すごい技術を使ってるのよね……毎回毎回」

「多くが俺の本来の研究の副産物を使ってるだけだけど」

「その研究も私のためだもんね」

「正確には桜のためだったもの、だね。もう桜の目は見えてるし」

「それでも私としては嬉しいのよ? いつも言ってるけどね」



 そう言って桜は照れくさそうに微笑みながら俺に抱きつこうとした。でも何故か途中でやめてしまった。



「ぇ?」

「そ、そんなに悲しそうな顔しなくても。……その服って繊細な機械とか入ってるんじゃないの? 抱きついて大丈夫なの?」

「ああ、そーゆーことね。そんなやわに作ったないから大丈夫だよ」

「そっか!」



 桜は抱きついてきた。なんと、なんとなんと愛くるしく愛おしい。こういう一瞬のために俺は頑張っているんだ。今回に関してはただ単に話の流れでこうなっただけではあるが。



「……それでかにゃた、これ商品化するのよね?」

「もちろん。これでまた潤沢な研究資金を得られる」

「熱心ね、ほんと」

「まあね」



 別に歴史に名を残したいとか、そういうわけじゃない。

 また、たしかに俺みたいなIQ200越えは多くが偉人となっているが、なにもそのIQを人類のために活かさなければならないとか、そういう義務はない。そういうのは個人の自由だ。


 それでも俺がこうして遊びを入れつつ、中学生にも関わらず研究者としてやっていってるのは、父親の真似と愛する人のため。厨二病らしくカッコつけてやってるわけじゃない。


 とはいえ実際俺は厨二病だ。厨二病だからこそ、アナズムの魔法というものに感銘を深く受けた。でも研究者としては、利用はしているものの魔法に絶対の信頼を置いていなかったりする。


 もし、もし唐突に魔法が使えなくなったり……なにかがあって桜の目の完治がなかったことになったら。そういうのが心配で仕方がない。アナズムが存在しているからこそ、そういう突飛なこともまたあり得る。


 桜には「今までの研究成果がもったいないから、視力回復器具の研究を進めてる」と言っているけれど、俺が今も研究を続けている本当の理由は……。



「む、叶。またなんか難しいこと考えてるでしょ」

「え、あ、いや。そんなことないよ。販路とかどうしようかなと考察してただけ」

「それ難しいことって言わないの?」

「まあ、そうかもしれない」



 ともかく、今回はただの厨二病的活動の一環だ。

 深く悩むことじゃない。趣味兼息抜きなのだから。






叶君は真面目な時とそうじゃない時とテンションがまるで違いますね。桜ちゃん何かあったときは人を殺しそうなほどの勢いなんですが。

それにしても、高度な技術を用いた商品を開発して、それを趣味・息抜きと曰うIQ200越えの中学生とは一体……?




どうもSs侍です。

次の投稿は数ヶ月後になると言いましたが、あれは嘘だ……。

( -ω- `)フッ


実際はずっと前から新作の計画を練っていて、ストーリーの計画自体は完成してるのですが相変わらずの怠惰で書き始めることができなくて。気がつけば早数ヶ月。

いい加減書き始めたいのでリハビリを兼ねて今回は書いてみました。なので来週も本作を投稿するとは限りません。


それと新作を既存の作品で宣伝しても前回、前々回、前々々回と共にあんまり効果なかったので、次はステレス投稿してみようと思います。出来上がったら、なんの予兆もなく投稿するということですね。堂々と不意打ちします。


※ただし、気分によって言ったことが(迷惑をかけない範囲内で)なかったことになったりします、ご了承ください。

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