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叶の甘え方 (桜)

「じゃあ、俺はこれ向こうに持ってくから」

「うん、ありがと」



 叶は生徒会役員じゃないのに、絶対私と一緒に帰りたいという理由で頻繁に生徒会の仕事を手伝ってくれる。

 今は叶はまだ作業中の私の代わりに出来上がった資料を先生のところに届けにいってくれたところ。


 普段はこんな雑用じゃなくて、周りの人から思いっきりIQ200越えの頭脳を発揮させるように言われるんだけど、今回は残ってる仕事がこれしかなかった。とても珍しい。



「はーあ、成上君ほんとかっこいいなぁ……。いいなぁ、いいんちょ」

「……うん、正直今もわたしには過ぎてると思うよ、叶は」

「そーゆーのは鏡を見てから言ってよね委員長。学校一の美女で学業成績も一番なんだから昔ほど否定する人なんていないって」



 顔の良さがこの学園の中等部で一番。それが今の私の周りからの評価。眼鏡を外してから可愛いと言われない日はない……なんて、まるで調子乗ってるみたいで自分に嫌気がさす。


 かと言って、私はお姉ちゃんと似ているため容姿について褒めてもらったことを否定したら、お姉ちゃんのあの美貌まで否定することになるからそれができない。


 文化委員の彼女は書いていたプリントから手を離し、ふてくされたように机に肘をつくと、頬を少し膨らませながら私のことを見てきた。



「ねぇ、いいんちょ。いいんちょと成上君って恋人として普段何してるの? てか、ぶっちゃけどこまで進んでるの?」

「き、気になるの?」

「気になるっていうか、私も成上君のこと好きだったからさー。あの成上君が恋人に対してどこまでしてくれるのか、せめて知っておきたくって」



 目がこわい。でも叶のことを好きだった女子はたくさんいたから、一緒に仕事してきた仲間が二人っきりになって突然そんなこと言い出すのも不思議じゃない。



「ま、まぁ、結構。想像よりは先に行ってると思うよ」

「私の想像はディープキスなんだけど。まあ、中学生の限界ならこのくらいだよね? まさかもう一緒に寝たわけじゃあるまいし」

「その……一緒に寝てるよ……?」

「……!?」



 目を見開いて思いっきり驚かれた。椅子から落ちそうになっていたので私は慌てて身体を支えてあげる。彼女は少しガタガタと震えていた。



「ま、まま、まさかあの真面目な委員長が!? ありえないわ……人って見た目で判断しちゃいけないのね。やっぱりその、彼もやっぱり男子だし、いいんちょの中学生にあるまじき大きいおっぱいに耐えられなくなった感じ?」

「……ん?」

「どうなの? 初めてってやっぱり痛いの?」

「あ、ああ、そういうことか。ごめんね、勘違いさせちゃって。私が言ったのはただの添い寝だよ。私がかにゃたの抱き枕がわりになるの」

「なんだー、添い寝か」



 本当は私が下着姿になって、胸とかお尻を触らせたりするところまでやってるんだけど、さすがにそこまでは想像できなかったみたい。

 そもそもそれは私から一方的に叶に押し付けていることだし、叶のことが好きだったこの子に正直にそこまで言ってしまうと、生徒会の仕事に支障が出る。



「添い寝ねぇ……いや、それでも十分イチャラブ度高くない? 噂によれば成上君ってIQが人間離れしてる変わりにお昼寝とか頻繁にしてるんでしょ? その度に抱き枕になってるの、いいんちょが?」

「うん、そんな感じかな」

「となると、どっちかといえば成上君が贅沢ね。こんな美少女で豊満な身体の女の子を抱きしめながら寝れるなんて前世で一体何をしたんだか」



 前世じゃなくて今世で私を死ぬほど助け続けてくれたからだと思う。抱きしめるくらいで叶本人にも、こうして他人にもご褒美だと思われるなら、私がかにゃたの昼寝に付き合ってあげてるのは恩返しの一環として正解なのかな。

 別に恩返しじゃなくても彼女だからそれくらいするけど。



「ただいま。プリント残りのおわった?」



 かにゃたが帰ってきた。この時間の短さ、きっと人に見られない場所で瞬間移動して時間短縮したわね。



「はやっ!? え、もう帰ってきたの?」

「桜と君にしてはあんまり進んでないな。……桜とどんなおはなしをしていたの? 文化委員長の草野さん」

「え、えっとね、成上君と委員長ってラブラブだけど、どこまで関係が進んでるのかなーって。添い寝してもらってるって本当?」



 なぜか叶の目がちょっと怖かったけど、すぐに元に戻った。私と付き合い始めてから叶はたまに恐いオーラを発する時がある。どういうタイミングかはあんまりわかんないけど。



「うん、ほんとだよ。俺から頼んで一緒に寝てもらってる。なるべくイチャつきたいからね」

「成上君からそういうセリフ聞くことがあるなんて思わなかった。二人とも過度なことはしない清楚なカップルだと思ってたから、私……」

「とんでもない。草野さん、いつも俺が桜を迎えにきてるところ見てるでしょ? 俺は桜が居ないとダメなんだよ。出来るだけ桜と密着していたいんだ」



 叶はそうはっきりと言った。私が居ないとダメ……叶は今みたいなことをたまに呟く。

 そういえばあゆにぃもお姉ちゃんに対してたまに近い側面を見せるっけ。やっぱり兄弟なのね。

 このセリフを言われてる本人としては、相手の気持ちの大きさにヒヤッとすることもあるけれど、よく考えたら私も負けないくらい叶に執着してるから、これこそが私達というカップルなんだなって思うことにしてる。



「あ、ああ! じゃあさ、残りの仕事あと少しだし、私だけで終わらせられるからラブラブカップルは仲良く帰りなよ!」

「いいの? 悪いね。じゃあ桜はもらって帰るから。ありがと」

「え、あ、ありがとうね! ごめんね!」

「ううん、いいの! 私も早く成上君くらい素敵な彼氏欲しーなー、なんて、ははは……」



 なんだか気を遣わせちゃったみたいで悪い。

 作業をしていた図書室から出た後、叶はすぐに私を肩から抱き寄せてきた。



「桜以外が……意味ないのに……」

「え? 私がどうしたって?」

「いや、こっちのこと。気にしないで。さ、帰ろう」



 私と叶はいつものように二人で家に帰った。










 




〜雑談〜


本日も閲覧ありがとうございます。


私、ちょっと心変わりしたことがありまして……でも多くの人が見てくれている本作で正直に言って嫌われるのがこわいので、活動報告で話します。

「Ss侍、今後の方針について」という記事をご覧ください。(本話投稿後に書くので、その1時間ほど更新は遅れます)


で、こっちは多くの人目に晒しても大丈夫な内容なのですが、そういえば私、そろそろ「Ss侍」から改名しようと思っているんですよ。結構近いうちに。


というのもネット占いにハマっていたらサイトの姓名占いでSs侍(Ssが性で侍が名として)で占っていたら悪い結果しか出ないし、よく考えたらこの名前だと昔ながらタイプの小説賞にも出しにくいんですよね。というわけで。

でも洒落の効いた名前にするつもりです。あとSs侍はわかりやすいようどこかに記載を残したままにしますね。

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