アナズムでのお部屋
私は、次にあゆちゃん達がスキルによってできるようになってることを教えてもらった。リルちゃんの尻尾の毛をふさふささせてもらいながら。
正直、本人たちがスキルがあればなんでもできると言い続けていたように、聞く限りかなりとんでもないものばかりだった。特に私が興味を惹かれたのは。
「アイテムマスターね……」
「そーそー、アイテムマスター。これがあるからボクに作れないものなんてないんだよ。強いて言うなら生命そのもの、くらいかな? 無理なのは」
「例えば何作れる?」
「上空にオーストラリア大陸でも出してみようか?」
「いや……いい」
本当になんでもアリみたいだ。生命そのものは作れないなんて言ってるけど、生命を蘇らせたり寿命を延ばしたり不老不死にしたりする薬は作れるみたいだし、今から百年後にアカデミー賞を受賞した映画のフィルムなんてのも作り出せるらしい。
一体全体どういつ原理なのかわからない。
なんでもありだからこそ、人間を作らないとか、何十年も先の未来のものや漫画の続きなどは作らないなどのルールは一応決めてるみたいではあるけど……。
「誰かを歓迎するときのご馳走とかもこのスキルを活用して作るんだよ。せっかくアナズムに来たんだから、佐奈田にも地球には無いものをご馳走しようね」
「どんなのがあるの?」
「ドラゴン肉とか……?」
「どんな味するの、それ」
「ワニ肉を超豪華にしてものすごく美味しくした感じ」
ワニ肉は鶏肉に味が近いって聞いたことあるけど、それってつまりドラゴン肉は超美味しい鶏肉ってことなのかな? 気になる……。
「わ、分かった、とりあえず食べてみるわ、それ……」
「よーし、じゃあ腕によりをかけて作るからね! 説明をずっとしてたらいつのまにか夜だし、作り始めるとするよ。ミカ、その間に佐奈田に空いてる部屋へ案内してあげて」
「うん」
あゆちゃんお手製の料理だなんて貴重すぎる。話さないけど、もし誰かに話したとしたらどれだけ羨ましがられるか……。
私は美花ちゃんに連れられて、屋敷内を移動し始めた。リルちゃんも一緒についてくる。それ以外のメンバーは皆んな、あゆちゃんの料理の手伝いか各々の用事を済ますみたい。
「さなちゃんは個室になるけど、いいかな?」
「皆んな個室じゃないみたいな言い方だね?」
「わふー、基本的に二人一組で過ごしてるからね」
「え、いいの? 私だけ個室もらっちゃって……」
「ああ、そう言う意味じゃないんだ」
私はてっきり曲木姉妹、成上兄弟等の組み分けで過ごしているのかと思ったら違った。どうやらカップルで一つの部屋らしい。
つまり、みんな、アナズムでは実質同棲してるということ。
……私だけ一人部屋もらっていいのかな、なんて内心喜びそうになったけど、真実はその逆。恋人がこっちに来てないから自然と一人になっただけだった。
「へ、へぇ……みんなラブラブなんだね、本当に。いやー、私もみんなの日常を個人的に追ってたから、アナズムじゃどんなイチャラブしてるか知りたいなー……なんて」
「わふー、私もさなちゃんと山上君の馴れ初め聞きたいし、積もる話もあるし、今日は女子四人で温泉に入ろっか」
「いいねそれ!」
「え、ここ温泉もあるの?」
「そりゃ、アイテムマスターにかかれば朝飯前よ」
そうだった、それがあるんだった。
どうやら美花ちゃん、桜ちゃん、リルちゃんの三人はちょくちょく揃って一緒にお風呂に入っているらしい。
なるほど通りで学校の中で、まだ越してきて半年経つか立たないかにもかかわらず美花ちゃんと一番仲が良いのがリルちゃんな訳だわ。裸の付き合いができるくらいだもんね。
その輪の中に私を入れてくれるってことよね!?
い、良いのかしら、そんなこと。裸の美少女に囲まれて鼻血出したりしないかな私。たぶん出るだろうなぁ。
「結構えぐい話とかするから覚悟しておいた方がいいよ」
「わふ、そーだね」
「そりゃ、どんなにエグくても私は二人のこともっと知りたいから。むしろ話して欲しいな」
ネタの方から勝手に飛び込んできてくれるとはありがたい。それにこんな美少女二人のえぐい話なんて、見た目補正で全くそんなこと感じさせない程度まで落ち着くだろうし。
「住人が増えることを想定した空き部屋はここらへんかな。うん、ここが空いてる。今日からこの部屋がさなちゃんのアナズムでの活動拠点よ」
「おー! わかった」
私の部屋になるという、その空き部屋の中に入れてもらった。
そこはまさに超高級ホテル。お父さんに連れられて、たまに海外の星付きホテルに泊まることがあるからわかる。この部屋はすごい。
「ここ、住んでいいの?」
「わふ、いいんだよ」
「もし和室にしたかったり、もっと狭くして欲しいとか広くして欲しいとか要望があったら有夢に言ってね」
「了解」
掃除はゴミの方から消滅するのでする必要ないし、洗濯物も同じ容量で勝手にきれいになる。トイレットペーパーなどの消耗品は無限に使えるし、なんならこの部屋自体に軽いアイテムマスターの効果が備わっているみたい。食べたいもの用意してくれるとか。
「お、夕飯完成したみたい。食堂にいこっ!」
「お風呂はそのあとだね」
美花ちゃんがあゆちゃんからメッセージとやらを受け取ったらひい。私達は食堂へ移動した。
〜雑談〜
コロナがひどくなってるって毎回言ってるような気がします。
あれのおかげで私、学校の卒論の作業も、就活もかなり滞ってます。
先々週あたりでは、それらが進まないのは自分のせいだと、自分の不真面目さに嘆いていました。
しかし、もはやこんな基本的な自分を責める性格の私ですら作業が進まないのはコロナの仕業だとはっきりと思えてしまうくらいには酷い有様です。
また学校伸びたんですよ、休校期間が……。
致死率も高いですし、本当に、本当に気を付けてください。
話変わって、私はかなり頻繁にツイッターで「Levelmaker」と検索してエゴサするのですが、最近は『Levelmaker1巻・2巻合同版』の販売宣伝・告知ツイートを見かけます。
もう2巻を出して一年経つのですが、つい五週間くらい前でしょうか、少額ながら印税が届いたので未だに微々たるものではありますが、こういう企業努力のおかげで購入していただけているようです。ありがとうございます。
……もう先週で一年経つので頃合いですね。
こうして、なろうやカクヨムでは更新してるのに書籍版の3巻が出ないのはそういうことです。
楽しみにしていた方には、本当に申し訳ありません。
私自身はこれからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。




