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ステータスと私

「えっと、じゃあ苗字はサナダで」

「むにむにぃ」

「名前はフフミで」

「ふにふ……え、フフミ?」

「ああ、(ふみ)ちゃんだからちょっと変えてフフミなのね」

「了解した。フフミ・サナダとなるがこれで良いか? ……正直普通にフミの方がいいと思うが。アリムみたいにこの世界に映える訳でもないしな……」

「え、そう? じゃあやっぱり本名そのままで」

「うむ。では確認してくれ」



 私は新しくなったステータスを開いてみた。たしかに名前が反映されており、一番上にフミ・サナダと表示されている。全体的に改めて眺めて……ああ、本当にゲームだとしか思えない。

 このスキルポイントってのを火術だとか水術だとかにつぎ込んであげれば私もあゆちゃん達みたいに手から雷撃を出したりできるのかしら。



「ね、ねぇ、佐奈田。フフミってインターネットで独自のニュースを毎日更新してるサイトの管理人の名前なんだけど……」

「たしかにそれ私よ。さすがに『アリム』で大活躍中のあゆちゃんには分かっちゃうか。私の得意なことするだけでバイトしなくても広告で月数百万入ってくるから気楽なものよ」

「普通はバイトしたら月数百万なんて入ってこねーよ」

「それもそうだ」



 ステータスにかまけていたらまさかのあゆちゃんに身バレしてしまった。ま、いいか。私もあゆちゃんをアリムだって分かってるわけだしおあいこよね。

 私はあゆちゃんのほっぺたから数分ぶりに手を離し、試しに『火術』というのにスキルポイントを一段回目に必要だという2ポイントだけ割り振ってみた。

 あとはこれにMPと魔力を流してやれは発動するらしい。



「ね、ねぇ、それよりさ、ちゃんと魔法発動するかみててよ、お願い」

「最初は緊張するよね、わかるよ!」

「わふー、魔法は実体あるものだから気を付けて扱ってね」

「う、うんっ……こ、こう言えばいいのかな……ふ、ファイヤーボール! うわぁ!?」



 私の手のひらに火の玉が現れた。魔法を発動してる私自身は熱くないけれど、周りの空気が熱で歪んでるので、ちゃんと火として存在していることがわかる。

 ……す、すごい。これが、これが魔法……!

 本当に本当に魔法なんだ! べ、別に私、魔法とかそんなメルヘンな考えはしてなかったけど、本物を見るとそれでも、心が踊ってしまう!



「すごい、すごーい!」

「いつになくサナちゃんが幼くなってる……」

「はっ……! こほん。私の……この世の全てを知るという夢はかなり遠ざかったわね。こんなものまであるなんて。寿命が足りないわ」

「いや、むしろ近くなったんじゃねーか? スキルってまじで色々できるからな」

「寿命も伸ばせるしねー」

「でもそのレベルに到達するまでどのくらいかかるのかな……」

「いや、ボクが全ステータスカンストまでやってあげるよ。そういう機能、ちゃんとあるから」



 それはたしかに楽かもしれない。あゆちゃんが手に入れた経験値を私が受け取れるシステムなのかな?

 でも、それって楽しいゲームを一つ失ってしまうのと同じ。どうせなら私は自分の力でレベルを上げて楽しみたい。



「その申し出はありがたいけどね、あゆちゃん。私もレベル上げを楽しみたいなーって……」

「あの、お言葉ですが佐奈田さん」

「なにかな叶くん」

「この世界で操るのはアバターではなく自分の身。一つのミスで簡単に死にますよ。俺だって、ミカ姉だって、リルさんだって一回亡くなってるんですからね。にいちゃんが強すぎるからなんとか生き返られましたけど。命は大切にした方がいいですよ」



 ……どうやらマジっぽい。みんな叶くんのその忠告に頷いている。ここは大人しく任せた方がいいか。……というか人を生き返らせるあゆちゃんって本当にやばいのでは?



「え、えと、ま、任せようかなー?」

「うん、任せてね!」

「わふー、それがいいよ。私なんて自分が死んだことにすら気がつけなかったんだから。……ね? 神様っ」

「……あ、あー、うん、そうだな」

「り、リルちゃんもアナザレベルに殺されたの?」

「わふん」

「ま、またしても私の友達を……!」

「違う、違くはないが色々あるんだよ……」



 私の友達、一回全員何かしらアナザレベルのせいで殺されてる説あるわね。もう敬う気持ちとか、今もあんまりないけど、以降全くいらないんじゃないかしら。

 ……それより、友達と言ってからリルちゃんの視線があつい。



「ど、どうしたのリルちゃん」

「友達って言ってくれた……こんな、私なんて地球人からしたら異形の存在なのに……向こうの私も、時空を歪めて生まれた存在なのに……記憶だって偽物だって気がついてるはずなのに、さなちゃんがさらっと私のこと友達って、友達って……!」

「どんな境遇でも、9月あたりから私たちと過ごした時間自体は本物なんでしょ? なら友達じゃない? ずっとそう思って過ごしてきたし」

「わふうううう! さなちゃあああん!」



 リルちゃんが犬みたいに抱きついてきた。

 この耳、この尻尾、本当に犬みたいだ。わふわふ言ってるし。

 ……あ、リルちゃんの口癖、だから「わふ」なんだ! あーあー、そういうことか。



「犬の半人だっけ? こんな漫画みたいなのが本当にいるとはね……。しかも身近にずっと」

「事実、お前達にとってはアナズムは漫画みたいなものだ」

「なるほど」

「わふーわふー、一つ訂正させてもらうと、私は狼だよ! 白狼なんだよっ!」

「だからリルちゃん、よく自分のことを狼に例えるんだ。犬にしか見えないけど」

「わかるわ、その気持ち」

「わ、わふぅ!?」



 にしても、尻尾がふりふり、耳もぴこぴこ……もともと顔とスタイルが超美少女なのにこれじゃあかわいさ倍々増し増しね。堅物の火野がこれでもかとデレデレするのがわかるわ。

 


「と、友達ならリルちゃん? お耳と尻尾、さっきのあゆちゃんみたいに触らせてくれないかなぁ?」

「わふ、いいよ! 本当は恥ずかしいけど……ここにいるアナザレベル以外全員には触らせたし……ね」

「ついでにそのおっきな胸は?」

「……まだダメ」

「それは仕方ない」



 私は遠慮なく人間から生えてきてる犬耳と犬尻尾をモフらせてもらった。どうやら本当に本物で、神経もちゃんと通っているらしい。もふもふふわふわ、最高の感触だった。これからもたまにモフらせてもらおうと思う。


 ……でも耳四つもあってどうするのかしらね?

お待たせしました、R18版の更新をしました。

例の如く十八歳を超えた方のみ閲覧可能です。


〜雑談〜

本当になろう系主人公がこの世界にいたらすでにウイルスなど消し去っていることでしょう。

ここは創作物の中か? パンデミックの世界に集団異世界転生でもしたか? なんて考えられるほどの酷さです。


でも私たちには無から有を生み出し、ウイルスに対抗できる魔法など使えないので、各々できる範囲で対策をしてください。


私はあの偉大な大御所の方が亡くなられてから、死の恐怖に苛まれて必要な用事でも外になかなか出られません。学校も始まるまで計二ヶ月近く伸びました。


とにかく感染しないように努め、自分の身を守ることが、最終的に大事な人も守れるのだと思います。

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