第百二十四話 ミカとカルア-2
俺らは今、城の食堂に居る。
ミカとカルアちゃんが仲良くなった姿を見て、王様達も嬉しそうだ。
いやー。良かった。だからさ頬っぺたプニプニするのそろそろやめよ?
いや、王様までうらめしそうな目で見なくていいからさ。
お夕飯はドラゴン肉のステーキだよ! あと、デザートにパフェっ!
勿論、全部俺のお手製。
パフェはこの世界にないからね。是非ともカルアちゃんに食べて欲しいな。俺もミカもパフェは大好きなのさ。
ごく稀に、お金がある時に食べに行ったものだ。
例に漏れず、俺は一番安いのを頼んでたけれどね。
パフェを作ってるとき、必死にメモをしてた料理人さん達は職人魂みたいなのを感じる。
ただ、ゴールドローズクィーンドラゴンの肉を見たときの料理人さん達の反応は面白かったなぁ。
まるで宝石でも見てるかのようだったよ。
その反応があまりに面白かったから、ついついゴールドローズクィーンドラゴンの肉を少しおすそ分けしちゃった。
最初は料理長さんが全力で断ってたんだけれど、ほぼ押し付ける形でこの城の厨房に置いてきたんだよ。
食堂に少し遅れて国王様が入ってきた。
席に着くなりすぐに料理が運ばれる。
前菜やスープが運ばれたのち、ついにメインディッシュであるゴールドローズクィーンドラゴンの肉のステーキが運ばれた。
俺の作ったそのステーキの一口を食した王様は、感想を述べてくれた。
「ふむ、ものすごく美味いな、私が今までに食べた肉の中で一番と言っても過言ではないだろう。これはなんの肉かな? アリムよ。そうとうな上物だろう……」
「ゴールドローズクイーンドラゴンという、ローズキングドラゴンの亜種の肉です」
その一言に反応し、ミカ以外、一同食べる手を止めた。
一緒に食事をしていた大臣さんや騎士団長さんは勿論のこと、国王様まで驚いている。
もっと面白いのは、騎士団長さんや大臣さんの部下だ。
手がカタカタと震えているのが、一目でわかる。
まるで高級なツボを誤って割ってしまったかのようだ。
この静寂を破り一番にコメントしたのは国王様だった。
「アリムよ、ローズキングドラゴンの肉がどれ程高級な物かわかるか?」
いや、詳しくはわかんない。
とても美味しいし、なんとなく高いということだけはわかるけれど、チャイルドラゴン以外の肉を売ったことがないなー。
漠然と、国宝級だということはわかってる。
「詳しくは…あまり」
「ふむ、おそらくステーキが一切れで、狭めの家を一軒買えるな。それの亜種だぞ? いいのか、こんな国宝的な物をご馳走になって」
いいのか、とか言われた。
良いから出したんだけどね。
王様達に出した肉全て合わせても、俺が持ってる肉の1割にも満たないし。
ふふ、とりあえずここは俺の株を底上げしておこう。
しばらくぶりに、天使の笑顔でニコッと笑ってだな…。
「良いんです! カルアちゃんや皆さんにも食べてもらいたかったので!」
「そうか。ふっ…ご馳走になったな」
その国王様の一言に順次、その場にいたミカを除いた全員が、席を立ち、こちらに来てまでお礼を述べていった。
中には号泣してる人もいた。
後で風の噂で聞いた話、"アリムちゃんを愛でる会"とかいうふざけた組合に、王国関係者が急激に増えたのだという。
その後も出される俺の作った料理に、皆んなは舌鼓をうっていた。
そして、俺が一番見たかった、パフェが出された時の反応は?
「おお、この世にこんな美味な菓子があったのか。美味ぞ、アリムよ」
「ありがとうございます」
「アリム殿、これはなんというものなのですかな?」
「パフェといいます。もう、この城の料理人さん達には教えてありますから頼めば作ってるもらえると思いますよ」
「ほう……」
そうとう喜んでもらえた。いんやぁ、良かった良かった。後日、メディアナ商人組会会長のマネさんから商談が持ちかけられるのは別の話。
その夕飯の後は3人で大浴場に入浴。今の所一番胸が大きくなりそうなのはカルアちゃんだね。
まだボク達12~13歳だからわかんないけどね。
お風呂から上がり、カルアちゃんの部屋で遊んだ。
カルアちゃんの部屋にスゴロクがあったんだよね。毎度ありがとうございます。
やっぱり3人だといろんなことができる。会話もより弾む。
もう、ボク、女の子として生きていこうかな?
いや、いかん。ミカという婚約者がいながら、それはいけないぞ。
また、眠るまでガールズトーク。本当に楽しい。
そして寝る時は3人でカルアちゃんのベットに眠った。
俺が真ん中で。わーい、両手に花、ハーレムだぜ!
あ、でも俺も端からみたら俺も美少女だったな。ふむ、この場に男が進入することは許さん
ことだ。
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おはよう。
朝起きてすぐ、カルアちゃんが俺の方に顔を向けてスゥスゥと寝息をたてて間近で寝ている。すこし顔をずらすと唇が当たりそう。
ミカもだ。俺の耳元でスヤスヤと俺の方に顔をむけて寝ている。すこし顔をずらすとキスをしてしまいそう。
そんなこと考えていたら、どうやら二人は起きたようだ。
「ん……おはようございます。アリムちゃん、ミカちゃん」
「おはよー。アリム、カルアちゃん」
「おはよ、二人とも」
よかった。俺が男じゃなくて良かった。もし男だったら昨日は寝れなかっただろう。
「さあ、朝ごはん食べに行こー」
「ん、そうしましょーミカちゃんー」
「あっさごっはーん」
俺らは寝巻きのまま食堂に向かう。すでに朝食が用意されていた。
「おいしいーね」
「友達と食べる朝食がこんなに美味しいなんて…」
「んふふふ」
そんな感じで俺らはご飯を食べた。
そして、食べ終わるとまた遊ぶ。今日はダークマターを駆使して遊んだ。
例えば、クマの人形をたくさん出したり、氷細工をしたりね。
そういえば、カルアちゃんはどうやら俺があげたアクセサリーを毎日つけてくれてるみたい。
嬉しい。
城の近くに引っ越したことも言った。その時は大臣さんもその場に居たんだけど、『是非遊びに行きますぞ』とか言ってた。
おい、リロさん達が俺のほっぺたプニプニしにくるだろ、やめろよ。
昼食、ハンバーグ。これも料理人さん達がメモってた。この世界、割と料理のレパートリーが少ないもんね。
夕飯、ピザ。これもまた料理人さん達がメモってた。研究熱心だなぁ。
そして入浴。もちろん3人で入った。
そして帰宅。今回は見送りの人がついてこなかった。そりゃそうだ。俺たち強いからね。
そして寝巻きに着替えてミカと添い寝。
あぁ、いい二日間だったなぁ…。




