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第千七十話 アリムとサムライ

【夕べはお楽しみだったな】



 魔神達と幻転丸が置いてある部屋に俺が入った途端、シヴァがそう言った。どこかで聞いたようなセリフ。俺がやってたゲームで一定の行動をすると宿屋できけるやつだ。昨日のことをシヴァはまた見ていたんだろうね、ほんと困っちゃうね。俺とミカの行為を見られるってことは、俺だけじゃなくミカの裸まで見られるってことだからさ。神様相手にそのくらいで怒っても仕方ないんだけどね。



【夕べお楽しみだった……? ほほう、そういうことでござるか】

【まあ仮に見てなかったとしても、コイツらは毎晩楽しんでるからな、適当にそう言っておけばいいのだ】

【毎晩! そりゃすごい。百合でもそれだけ楽しめるのでござるなぁ】



 確かに毎晩だけども。なんでだろう、シヴァってば幻転丸の前ではやけに饒舌だ。口数が増えたというよりその内容が、こう、友達の秘密を別の友達にバラす人みたいな感じになってる。これはお灸を据えなきゃダメだろうか。



「シヴァ、今日からこけしになる?」

【む! それだけは勘弁してくれ、コイツらと同じ目にあいたくはない!】

【案外これも快適だゼ、シヴァ?】

【嫌だ、犬だったとしても自由に動ける方が良い!】

【だったら自分の首を絞めるような発言をするのは控えた方がいいだろう、阿保なのか?】

「……まあ、ボクの目の前で人を殺したわけじゃないし、許そうかな」

【はははは、そういうことだ! はははは!】

【アリム殿、お言葉でござるが、此奴、何百人も人を殺めてるでござるよ? 拙者の時代に】



 俺はサマイエイル、スルトルと同じ入れ物を用意した。それで犬型ロボットのシヴァの頭を叩く。中身はロボットからこけしの中に入れ替わった。まあ、そりゃそうだよね。いくら俺を見て性格が丸くなったとはいえ魔神は魔神。人をたくさん殺してるのは当然だもんね、よく考えたら。



【うわぁあああああ! 貴様ぁあああ! 余計なこと言いやがって! 我だけ、我だけがあゆちゃんに許されていたというのにっ……!】

【事実でござろう。しかし、こんな簡単に封印し直せるのでござるか。アイテムマスターとはすごいのでござるな】

「あれ、シヴァ、ボクのスキルのこと話したの? あ、そもそもアナザレベルがステータス見れるから教えたとか?」

【イヤ、コイツは元からステータスを覗けるスキルがあるンだゼ】

「そういえばスルトルも幻転丸と戦ったんだっけ。なるほどね!」



 今までステータスを見ることができる人間はウルトさんしか知らなかった。しかもあれはマスタースキルの力の一つであるわけだし。幻転丸はステータスを見るスキルを単体で持ってるのかな? だとしたら入手方法教えてほしーな、便利そうだし。……いや、でも俺ってかなりこの世界では強くなってるし、別に他人のステータス見るまでもないのかな。



【むっ、アリム殿は『ステータス閲覧』のスキルはないのでござるか? アリム殿は本物の勇者や賢者ではない、異色ではあるが確実にレベルメーカー。故に所持しているものだとばかり思っていたでござるが……】

「レベルメーカーって直訳したら『レベルを作る』だよね? 前にスルトルから聞いたけど、結局それってなんなの? そんな称号、どこにもないし……」

【まだ知るのは早いぞ、あゆちゃん】

「……そなの? んー、今の事件に関わってないならまた今度でいいよ」

【随分と聞き分けがいいのでござるな? こう、勇者や賢者、導者となる者はだいたい一癖二癖はあるものでござるが、単純にいい子ではないでござろうか】

【たしかに純粋でイイコなのかもしれネェけど、コイツも何癖もあるんだよナァ】

【歴代で一番多いんじゃないだろうか】

【それはいえる】



 レベルメーカーにその癖のある性格っていうのが関係してるのかな? ……考えるの面倒だしいいや。無理に秘密を喋らせる必要もないしね。 にしても俺の癖が多いね……。癖多いかな? たしかに女装癖とかゲーマーとかっていう性質はあるけどさ。



【それはともかく、この子は案外、新しいスキルの作成などはしていないんだ幻転丸。ステータスをのぞいたならわかると思うが】

【そうでござるな。強力なスキルは少なかったでござる。ステータスは化け物じみてたでござるが】

【コイツは見た目に反してレベルを上げて、強い武器つかって殴るっていう戦法をとる脳筋だからナ!】

「……ボク、スキル少ないの? スキル欄結構パンパンだけど」

【ふむ、そうでござるな。例えば拙者はマスタースキルを二つ所持しているでござる】

「そうなんだぁ……」



 マスタースキルを二つも持つのは考えつかなかったな。たしかに強いんだろうけど。地味に俺たち地球出身(プラスでリルちゃん一家)の中でマスタースキルを持ってるのは俺だけだし、新しいスキルをこの間みんなで作ったとはいえ、強い方の人たちにとっては足りなかったんだね。それにしても。



「じゃあ、なんでショーに負けたの? マスタースキルを二つも持ってたらショーに勝ってるはずだよね?」

【それはステータスの問題でござる。あのガタイの良い少年が持っているのは『炎神』。いわゆる神系スキルでござるな。それと頂点まで届いたステータスが重なり合って太陽を作り出すところまで来ていたでござる。まともにやりあったら身を溶かされるなと思い、潔く負けを認めたのでござる】

「そっか……あれ、でもショーもステータスカンストしてるよ? なのにレベルメーカーじゃないの?」

【……彼奴のレベルはお主が上げたものでござろう?】

「うん! そこまでわかるんだ」



 でも別に称号などの欄には俺がみんなのレベル上げ頑張った事実なんて書かれてないけどなぁ。……あ、そろそろみんなが来る時間だ。今から幻転丸の説明が始まるんだよね。自分のことについてちゃんと教えてくれるらしいから、しっかりと聞かなくちゃ。でもなんで俺だけ先に呼ばれたんだろ?

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