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第千六十八話 解決?2

「おやぁ……?」

「光夫さん、おはようございます」

「貴女は……! 俺はまたやってしまったのですねぇ」



 ピエロ姿のままの光夫さんが、とても申し訳なさそうにそう言った。どうやらヘレルさんと一緒でちゃんと元どおりになったっぽい。今回の件に関してはこの人は完全に被害者だよね、かわいそうに。



「メフィストファレスも元に戻ったんだな」

「おや、ヘレルさん、今の俺は光夫ですよ。そっちで呼んでください。貴方もルシフェルと呼ばれるのは嫌でしょう?」

「その通りだな、ミツヲ」

「少しイントネーションが違いますが、まあ良いでしょう」



 どうやら光夫さんとヘレルさんは悪魔状態でなくても面識はあるようだ。というか記憶が残ってるんだから当たり前かな。



「……早く悪魔の状態から元に戻ったらどうなんだ?」

「それもそうですねぇ」



 光夫さんはあのメフィストファレスの姿から……40代のおじさんの姿じゃなくて、ラブロングサーカス団名物、ピエロのロングハートくんの姿になった。羽が生えたり見た目が邪悪だったりすること以外は同じピエロ姿だからあまり大差がない。



「変わらないじゃないか」

「これが俺の仕事をしている時の服装なんですよ。仕事の準備をしている最中に連れてこられたんです」

「変な仕事もあるものだな……」

「おや、ヘレルさん。たとえ俺が貴方に負い目があったとしても、俺の仕事を変だというのだけは許しませんよ?」

「す、すまない」



 一回こっちの世界の人にもサーカス見てもらいたいね。……魔法やスキルがあるし、そもそもこっちの世界の人は平均的に身体能力高いからうけないかもしれないけど。

 光夫さんは俺らの間を通って国王様の前までやってきた。そして、土下座をした。



「……申し訳ありませんでした。私がしてきた行い、全てに対して謝罪を述べさせて下さい。メフィラド国王様」

「一つ聞こう、本当にあのメフィストファレス本人なのか?」

「はい、その通りでございます」



 前は謝る機会を与えずに俺が独断でこの人を地球に帰しちゃったからね。そもそもこっちに戻ってくることを想定していなかったからそうしたんだけどさ。



「……許すつもりは到底無いが、それよりも行うべきことがあるため今はいい」

「これで偽の神からの攻撃が止んだかどうかですね、国王様」

「その通りだ。まずそれを確かめなければならん」

【まだ終わってないでござるよ?】



 幻転丸がそう言った。やっとひと段落したと息をついていたこの場がざわつく。ヘレルさんと光夫さんは何かを知っているようで、同調するように頷いた。

 ……まだ終わりじゃないってどういうことだろう。とにかく強かった、今まで戦った魔神以外の敵の中で少数精鋭にもかかわらず悪魔と同様かそれ以上、トップレベルでヤバい人達の集団と争って勝ったのに、終わってないっていうのは絶望に等しいよ。……まあ狙いはなぜか俺であるわけだし、俺は今こうして特に何もないわけだから……まだ続きあがあるっていうのも納得だけど。そもそもなんで俺を狙ってるのかまだわかってないし。ストーカーかな? ストーカーなのかな? まあ、俺はストーカー被害を受けた件数が両手じゃ数えられないから、別にこのくらい……。



「終わってないとは?」

【単純に、今のアナザレベルはただ単にお主らに嫌がらせをする手段を減らしただけのこと。まだまだ終わってないでござるよ】

「その通りなんですよねぇ、国王様」

「メフィ……いや、ミツオとやらまで……」

「俺も、彼奴がこの程度で諦めるとは思えないのです」

「ヘレルまでもそう言うか。一安心などしておられんのだな」



 ふぇぇ、しつこいよぅ。元部下からもそう言われるなんて、ここまで大掛かりで執念深いストーカーは初めてだよ。あ、ストーカーといえばシヴァもそんな感じだよね。同じストーカーとしてどう思ってるんだろ。ちょっと呼んでみるかな。



「よいしょっと」

【呼んだか?】

「あれ、にいちゃん。なんでシヴァ呼んできたの?」

「一応神様だしなんか知ってるんじゃないかと思って」

「今まで結構アドバイス求めてきてるけど、核心に迫ったことは何一つ……ん?」

【はははははは! なんだ幻転丸、その姿は!】




 シヴァが幻転丸と顔を合わせるなり見たことないくらい高らかに爆笑した。シヴァをあのお地蔵様にしまいこんで六百年も放置したのは幻転丸だからね、そりゃ面識あって当然だけどさ、会うなり笑うって失礼だと思うよ。



【……む、シヴァでござるか】

【なんで我を封印したアイテムの中に閉じ込められてるんだ! はははははは! ザマァみるがいい!】

【……なんだか性格が丸くなったでござるな?】

【俺はな、つい何十年か前までは荒んでいた。しかし、地球でずっと過ごしているうちに心癒される存在を見つけてな?】

【目線があの娘でござるな。あの娘を……】

【生まれていた時からずっと眺めていたのだ! はははは! まさかアナズムに来るとは思ってなかったがな!】

【もう一度封印したほうがいいのでは?】



 それに関しては幻転丸のいう通りだと思うよ、うん。


 

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