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第千六十五話 闘いの跡 2

「……なんなんなん……クロ、クロちゃんがやられ……!」

「あ、お前まだ喋れる状態だったか」



 ヘレルさんも光夫さんも動かない今、衛星とトズマホを使ってウルトさんとショーの様子を見る暇はありそうだ。なんなら、誰か苦戦してたらギルマーズさんや俺が行ったっていい。この場から戦力となる人が何人か離れても大丈夫な状態になった。

 ショーの様子はさっき窓からなんとなくだけど確認することができた。あの増えた太陽は消えているけれど、それはおそらく、撃つのをやめただけ……だから先に見るのはウルトさんの方だ。

 俺はマジックバックからトズマホを取り出し、どこかにウルトさんがいないかを探知した。あの人はすぐに見つかった。まるで天変地異でも起きたかのように、山や原っぱが抉れ消え去っている場所がある。そこに、二人横たわっている人物がいた。一方はウルトさんで、もう一方はウルトさんと因縁があるヒュドルって人だ。……ヒュドルって人の方は死んでる。でもウルトさんは生きてる。勝ったんだ。……こっちに連れて来なきゃ。



「カナタ、これ」

「ん?」

「ウルトさんも勝ったって」

「あ、ほんとだ! わかった」

「ふ、ウルトは勝つとわかっていた」



 国王様はそういった。あの地形の変化を見るに相当苦戦したんだろうけど、まあ、俺も多分この人は勝つだろうなと思ってた。

 カナタが瞬間移動を使ってウルトさんをこちらに呼びだした。不死身と言われるだけあって傷跡はどこにもない。でも、MPは尽き果てちゃってる感じだ。とりあえずアムリタをかけた。



「うっ……くっ……」

「ウルトさん、勝ったんですね」

「あっ……アリムちゃん。うん、勝ったよ」



 ウルトさんに現状の説明として、今どうなったかわからないのは幻転丸とショーの戦いだけであること、そこにいる悪魔化した二人が動かなくなったこと、あとの敵の幹部はみんな倒せた、あるいは無力化できたことを伝えた。



「……なるほど、厄介なのはもう大体倒しちゃったか。特にあのカオスブラックドラゴンをそのままガバイナが倒しちゃうなんてね」

「どうしますウルトさん、少し休みますか?」

「いや、アムリタをかけてくれたでしょ。MPも回復しきってる。残りの敵を倒すためにもうちょっと頑張るよ。……その前に」



 ウルトさんは立ち上がり、人混みをかき分けてギルマーズさんの元へ向かった。何をするというんだろうか。



「おー、勝つってわかってたぜ」

「かなり苦戦しちゃいましたけどね……。それで、それ。どうしますか」

「おう……? こいつか」

「ラスラスラス、ラストマン……!? つまりヒュドルまで……ヒヒヒヒヒ! わた、わたわた私たちは壊滅……めつ……」

「俺が処分しても?」

「……その言い方。ヒュドルを殺してきたな? ま、仕方ないか。でもこいつは殺せるのか?」



 ぬぇ、やっぱりウルトさん普通にあのヒュドルって人殺したんだ。俺も人殺しはしたことない……っていうか、したくないしできないからちょっとドキッとしちゃった。それで……あの殺人鬼の元に来たってことは、同じことしようとしてるのかな。た、たしかに生かしといたらまずい人ではあるけど。



「殺……! ヒヒヒヒヒ、それは無理!! なぜなら私もまた、不死みみみみみみみ!」

「……いや、本当の意味で不死身なのは俺だけだよ」



 ウルトさんの背中から見覚えのある羽根が生えてきた。そう、めちゃくちゃ見覚えのある……。たしかにウルトさんは生き物の生態をコピーできるけど、まさか、神様までコピーするなんて思わないじゃない? ね? ……そしてウルトさんはその羽で殺人鬼を包みこんだ。周りの人に羽根が触れないよう注意しながらそれを解除する。……相手は動かなくなっていた。



「ははは、大概だなウルトの力も」

「ギルマーズさんやアリムちゃんほどじゃないです」



 こ、これで指名手配の犯罪者二人は、二人とも死んで……。生き返らせる意味はないし、このままでいいよね? と、とりあえず俺はショーの様子を見よう。トズマホで再確認しなきゃ。

 衛星からショーの様子を見る。ウルトさんとヒュドルの戦闘現場ほどじゃないけど現場はかなり荒れている。そして肝心のショーはどうやら座り込んであの侍とお話をしているようだった。……和解したのかしらん? 腕を斬られたのに? ……まあ、無効化できたならそれでいいんだけどさ。一応メッセージ送ってどういう状況か確認しておこう。



【おーい、ショー!】

【ん……? 有夢か! ちょうどよかった」

【んえ? ちょうど良かったって?】

【ああ、この幻転丸がな、自分の身に何があったのか話してくれるっつーから……。だがどうにも俺一人で聞いていい話だと思えなくてな、頭のいい叶君か、俺たちの中で一番最初にこの世界へ来たお前にも話を聞いてもらおうと思ってたんだよ】

【そ、そうなんだ……。えっと、戦いは?】

【なんか向こうさん曰く、俺の勝ちでいいらしい。ちょっと腑に落ちねーけど……俺の魔法に対処できるイメージが湧かないとかなんとか】



 そ、そうなんだ。つまりあの太陽がたくさん増えてたのが決着になってたってことなのかな? うーん……ここは叶に残ってもらって俺が行くのもアリかなぁ。ショーを油断させておびき出してるっていう可能性も捨てきれないし、どうしよね?

 

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