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第千四十一話 道筋と抵抗

「では、さっそく! ぐちゃぐちゃちゃちゃにしていきましょしょしゃしょ! 強い人たち、殺しほーだい!!」

「おいまて、ガイル。その前にやることがあるだろう」

「そそそそ! そーでした!」



 あの狂った殺人鬼の人がこちら側に単独で突撃しようとしたところをカオスブラックドラゴンが制止した。そのまま突っ込んできてくれればたぶん、カナタが心臓を取り出すように瞬間移動を使って倒せたと思うんだけどな、残念。いくらダメージを回復に変えるっていっても心臓を直接取り出されたらどうしようもないでしょ。

 そしてカオスブラックドラゴンがやろうとしていることは確実に今まで国王様達を苦しめてきたアレだ。



「……では劣等種である人間達よ、吾輩にひれ伏すがよい」

「その前に召喚だ! ゆけ、ベヘモット、リヴァイアサン、ファフニールロッ……」

「そうはいかないでござるよ?」



 この時のために国王様は前々から所持している召喚魔全員を即座に召喚できるような準備をしていた。しかし、あのサムライが天井に届くんじゃないかってほど高く跳び上がり、かなり離れた距離から刀を振るう。すると国王様の魔法陣が真っ二つに割れた。



「なっ!」

「ふむ、こちらも対策しておくべきでござるか?」

「……! くそ!」



 サムライが虚空に向かって何かを振るうと同時にカナタが悔しがる。おそらく何かしらの攻撃をしようとして防がれたんだろう。



「悪いな幻転丸。では改めて、ひれ伏せ」



 カオスブラックドラゴンが再び力を使用する。まるで重力が何十倍にでもなったんじゃないかってほど体が重くなり、同時にインフルエンザの一番ひどい時期並みに気分が悪くなる。もちろんスキルも使えない。またこうなってしまったか。



「あゆ……こ、これこんな風だったんだね……」

「なるほど、いままで姉ちゃん含めほぼ誰も抵抗できなかった理由がわかったよ。確かにきつい」

「な、なんでカナタそんな喋れてるの……」

「自分の脳から発する司令を少し変えてなんとか。でも喋れるだけだ」



 俺はもちろん苦しいし、まだ何にも変身してないウルトさんも、あの強者感溢れるギルマーズさんも、ミカもショーもみんな同じ状況になってしまった。ここから対抗できる人はこちら側にもいるとはいえ、この状況はかなり不安だ。なにせそれ以外の人はこれから殺され放題の無防備なわけだし……いや、敵も本人自体が普通の人間だったら同じことになってるけどさ、それでも戦力差がでかい。

 あとカナタがすごすぎるよ、さすがはカナタ。これが初めてじゃなかったらスキルが使えるくらいまで動けるようになってたかもね。



「さぁて、キリキリキリキリキリしましょうねえぇええええ!」

「こうなったら俺たちが手を貸す必要もないでしょう、眺めているだけにしていますよ」

「えーっ! アリムちゃんとカナタくんとミカちゃんと……偽の勇者本人と、深い関係がある人だけは私に殺させて!」

「おす、おすおすおす! そのくらいならおすきにどーーーぞ」

「どっちでもいいが、向こうにはかなりの頭脳派が何人かいるようだからな、何をしてくるかわからない。さっさと済ま____________ガハッ!!?」



 どこからともなく力強く投合された槍がカオスブラックドラゴンに向かって飛んできた。身体のど真ん中に突き刺さったようだ。槍はそのまま本人を引きずり、壁に突き刺さる。それと同時に俺たちにかかっていたあの不調な状態がみるみる改善されていくのがわかった。



「え、どういうこと!? 幻転丸は魔物の召喚止めたよね? カナタくんの攻撃も制止したから時間差攻撃なんてことは……」

「ぐ……ふぅ、油断していたッ……やはりアイツか……」



 こちら側もみんな戸惑いながら立ち上がろうとしている中、ただ一人だけ……つまりカオスブラックドラゴンのスキルを潜り抜け不調を脱し、攻撃を仕掛けた本人だけがしっかりと佇み、敵全員を睨んでいた。俺とカナタにマジックルームを注文した人でもある。



「が、が、ガバイナ……さん……!」

「アリム、先ほどメッセージで告げた通りだ。確実に俺が一人……いや、一匹をたおす。敵が邪魔してくるだろう、カオスブラックドラゴンと俺が一対一になるよう、みんな援護を頼む!」



 まさかガバイナさんがカオスブラックドラゴンの討伐に名を挙げるとは思ってなかった。マジックルームの注文の時、誰をたおすかまでは言わなかったし。しかしなんであのいやーなスキルを回避できたんだろう。カオスブラックドラゴンの方は何か知ってるみたいだし、ガバイナさんと本人しか知らない回避方法でもあるんだろう。

 ガバイナさんには俺が転生を教え、ステータスが普通の人と比べてすごいことになっている。そのステータスを生かしたのか、立っていた場所から高速で壁に突き刺さったカオスブラックドラゴンの目の前まで移動した。



「お前一人倒せば後は皆の力でどうにかなりそうだ。俺としばらく付き合ってくれるな?」

「ふ、ふざけるなっ……誰が自分に対抗できる称号を持ちしかも転生までしている人間とタイマンしようなどと! だ、誰でもいい、吾輩に手を貸せ!」

「わか、わかわかわかわわかりましたたたたたた! 今お助け……った!?」



 あ、今度はあの殺人鬼の人が吹っ飛ばされた。吹き飛ばした本人の頭皮が灯りによってキラリと光る。ガバイナさんの補助に誰よりも早く駆けつけたのは______。



「よう、変態殺人鬼。ガバイナの邪魔はさせねぇ。テメェの相手はこの俺様がしてやるぜ、ヒャハハハ!」

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