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第千四十話 精鋭

「来たね」

「うん」



 魔力の量的に、あのアナザレベルに仕えてる人達が全員来たって考えて良さそうだ。ここからの距離的に歩いてやってくるんだろうか。まさか城下町を破壊して周るつもりとか……? 俺たちを無視して、守りたいものの方から攻撃してくるなんて卑劣なこといかにもやりそうなヤツらだしありえなくは無い。

 ……って思ってたんだけど。一気にお城の前まで団体の魔力が近づいてきた。この近さ、少なくとも城門前には居るだろうか。イルメがまたカナタの瞬間移動つかって一瞬で移動してきたんだね。



「みんな、臨戦態勢を取るんだ! 私ももう召喚する準備はできている!」



 国王様がそう言うと、戦える人はみんなそれぞれ自分の得物を掴み、お城の入り口に向かって構えた。いままでこのお城は二回も攻め入られ壊滅させられていたけれど、それは相手に対抗できるスキルを持った人が少なかったから。

 若い世代のSSSランカーであるカルアちゃんやルインさん達はステータスだけで強力なスキルを持っておらず、国王様や大臣さん達四人はカオスブラックドラゴン撃ち勝てるスキルを所持していなかった。いや、ファフニールは頑張ったけど及ぼなかっただね。また二回目の時はラーマ国王やトールさんなどもいたけれど、その時は相手の幹部全員が総出で襲ってきたので太刀打ちできなかった。……というよりあの時もやっぱりスキルの相性の問題でやられちゃったんだと思うけど。

 ただ今回は違う。あっちが総力を集めてるならこっちも総力を集めてる。時間の狭間で隔離され、自体に気がついてもすでに遅いなんて状況は作られないわけだ。

 SSランクの冒険者や騎士、兵士さん達が役に立つかどうかはわからないけど……とりあえず今日のMVPとなりつつあるカナタにショー、お父さん、そして俺がいる。またミカやリルちゃんは時間を止めたり自動でカウンター攻撃したりすることができる。

 その上、ウルトさんにギルマーズさんも。子供がお腹にいて少し暴れるだけでも危ないから流石にパラスナさんは来てないけど、この二人には期待してる。特にウルトさんは敵の幹部の一人、投獄されてたヒュドルって人を、その投獄まで追いやった張本人だ。それに人間以外になれるスキルも持っている。カオスブラックドラゴンをもしかしたら倒してくれるかもしれない。

 ……といっても、正直前に交わした約束通り、お家でおとなしくして欲しかったんだけどな。相手にヒュドルって人がいるってわかった時点でどうしてもこの戦いには参加したかったみたい。実は、ギルマーズさんすらそれを止めようとしなかったんだ。

 あとガバイナさん、ラハンドさん、ローズの三人も何かしてくれんんじゃないかと思ってる。どうにもルインさん達みたいにステータスだけの強さではない気がするんだ。

 


「……今度こそ勝てるだろうか」

「大丈夫、今回はボクも現場にいるんですから、絶対勝ちますよ!」

「そうだな」



 さっきまで国王様は不安そうな表情を浮かべていたけど、少し微笑むとすぐに前向きな表情へと変わった。

 カナタが作戦を練ってこうやって直接戦えるまで誘導できたんだ。一人も残らず倒してしまいたい。あ、光夫さんとヘレルさんは助けるけどね?

 ……今、複数人の足音が外から聞こえた。この入り口の扉の前でそれは止まる。そして扉がひとりでに勢いよく開いた。そこにいたのはやっぱりアナザレベルの幹部達。一番先頭に立っているのはニャルラトホテプのイルメだ。



「おやおや、こんなにみなさん勢揃いで……」

「皆殺しがいがあるってもんだ!」

「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないでしょ! 私達は怒ってるんだ! ぷくーっ! あの時楽勝だったから私、完全に弟くん油断してたああああ!」

「偽の勇者は廃人となっていると聞いたでござるが、彼女を除いても一筋縄じゃいかないでござろうな。いままでと違って……相当な粒ぞろいでござる」

「……というかよく見ろ、全員。偽の勇者がピンピンした顔でメフィラド王の隣に立ってるぞ」

「た、たふたたふ! たふたふたふたふですねねねね!」



 一筋縄じゃいかない……まだ勝つつもりではいるんだね。俺が元気だってことが向こうにとっては一番驚くべきだったようで、カオスブラックドラゴンの一言で全員表情が変わった。



「しぶといでござるな! 幼い顔をして侮れんでござる」

「……うーん、記憶の通りだったら今頃アナザレベル様のいう通り、廃人になってたんだけどなぁ。いや、もうゲーム廃人ではあるけどさ」

「仕方ありませんよイルメさん、人とは常に成長し続けるものなのです」

「……敵が成長したって吾輩たちにはいいことないだろう」



 俺もおもわずドヤ顔をする。自分でもあれはかなり成長できたと思うんだ。結果的にはみんな生きてる、そう考えるようにすれば大丈夫。アムリタがなかったら本当に廃人になってただろうけどね。改めて、ミカとゲームには感謝しなきゃ。



「うー、ドヤ顔してる! 悔しい!」

「まあまあ。とりあえずこれからよていどおりに戦争をふっかけましょうか」

「いつのまにか、吾輩達の方が劣勢のようだがな……」

「あれもこれもあの姉弟のせいですですですです、ですね!」



 今にも戦闘が始まりそうなその時、ある人から突然メッセージが送られてきた。あの中の一人を確実に倒すために必要なものを送ってきてほしいのだという。俺はその人に言われた通り見た目は小型、中はそこそこの広さがあるマジックルームをこっそり作ってカナタの瞬間移動経由で渡した。さて、どうなることやら。

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