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第千百三十八話 偽の神の猛攻

「あれって、瞬間移動させるバリアだよね?」

「そうだよ」


 

 敵の技の威力なんて関係ない、カナタが通したいと思ったモノを通し、通したくないと思ったモノを別の場所に移動させるバリア。移動させる対象が内側になるとヘレルさんに使った空間の牢獄になる。確かに国ごとの重要な場所って限られてるから、狙われる場所さえわかっているのならその各地に設置し、時間になったら発動するようにしておけばこうなるわけだ。



「カナタにしてはシンプルな解決方法だね?」

「そうかもね。でもまあ、一応あれでも色々考えてるんだよに……ねえちゃん」

「攻撃が止まったぞ!」



 誰かがそう言った通り、この城に向けて放たれた光線が止まっていた。しかしアナザレベル達がこれで諦めたとは思えない。なにかしてくるはず。

 そう考えていると、今度は巨大な石が上空に現れ、こちらに落ちてくるのが窓から見えた。あれも普通ならひとたまりもないはずだけど、またカナタのバリアに防がれる。

 その次に出現したのは再び光線。しかしその光線、今度はカナタが用意したバリアの内側に出現した。こちらに向かって放たれるが数メートルも進まずに今までと同じように阻まれる。なんか、とってもおかしい光景だ。空中に白いおせんべいが浮かんでるように見える。



「……どうやったの? 内側から攻められたら弱いんじゃなかったの?」

「うん、だから一定の時間になったら新しく出現したものだけ全てを弾くように指定したバリアを30層用意したんだ。それを全部の国にはりつけたからね、もう疲れたよ。念のため、要所だけじゃなく国丸ごと。あと地下にも張り巡らせてるよ」

「ああ、だから元のMPだけじゃ足りないと」

「うん、全然足りなかった」



 そんなことよくやるね。俺も一応迎撃するアイテムとか用意はしてたけど、カナタにここまでのことされたら出番はなさそうだ。

 アナザレベルの攻撃は、一層目バリアの内側からの光線をやめ、次にシフトしようとしていた。今度は何か赤い霧のようなものが空気中に溢れようとする。まあ広がろうとしてもカナタのバリアが邪魔でできないみたいだけど。鑑定してみたところその赤い霧は病原体みたいだ。

 無駄だってわかったのかすぐに別の攻撃に変えてきた。今度は地面が大きく揺れる。揺れたのは一瞬だけで大したことはなかったけど、国中の地面の様子がおかしくなった。そしてそのまま下から何かがせり上がって……こなかった。やっぱりカナタが地面にも張り巡らせたバリアにはばまれた。多分地面から石柱や石のトゲを呼び出して攻撃するつもりだったんだろうけど、無意味に終わってしまったようだ。



「すご、すごすぎじゃないカナタ……」

「か、かにゃた……」

「おそらく仕掛けてくるだろう攻撃パターンは全部計算してある。俺が貼った各地のバリアを通過できる攻撃はたった一つに絞ってあるんだ」

「たった一つ?」

「うん、あとはそれに気がついてくれるかどうか」



 わざと通す攻撃ってことは、カナタにとってその攻撃をしてもらった方がこちらが有利に進むか、何らかの利点があるかってことなんだろう。



「国王様、どうです? 他の国々への攻撃も防げている様子ですか?」

「ああ、バッチリのようだ。みんな感激している」

「それは何より」



 この戦争が終わったらカナタも俺と同じように英雄として大きく持ち上げられるかもしれないな。兄弟揃って英雄扱いされるのも悪くはないかも。

 こうしている間にもアナザレベルは四方八方から様々な攻撃をこれでもかというほど仕掛けてきている。でも何一つ通じない。ちょっと可哀想になるくらい惜しい攻撃すらない。この調子だとカナタのいう正解の攻め方に気がつく前に相手が力尽きそうだ。いや、魔神レベルの相手が力尽きることなんてあるのかどうかが疑問だけど。



「アナザレベルは……どうやらにい、ねえちゃんだけを最大の難敵とみていたんだろうし、そのねえちゃんを何とかできたから勝てると思い込んでいたんだろうけど、ナンセンスだね。ねえちゃんのこと、弱点までちゃんと調べ上げてるんだったら……成上家の人間ほぼ全員が脅威となり得ること自体把握しておくべきだったよ」



 確かにその通りだ。たぶん、あくまでたぶんだけどお父さんでも何らかの方法を思いついてここまで対応してたんじゃないだろうか。向こうで冷静な顔しながらアナザレベルの攻撃眺めてるし。



「まあこっちから攻めることができないのがこの作戦の弱点だけどね。だから待ってるんだ」

「つまり、攻撃を仕掛けるために本体や部下達が攻めてくるのを待っているってことなんだね?」

「そゆこと。それがこのバリア網を通過できる唯一の方法だよ。あ、ほら、やっと気がついたみたい」



 カナタが指差した方向には無数の人影が。あれは……イルメだとかに攫われたっていう冒険者達なんじゃないだろうか。念術か何かの力で宙に浮いている。そんでもってみんな、この間のお城の悲劇を起こしたゾンビみたいな様子になってる。



「ねえちゃん。アムリタの用意はいい?」

「バッチリだよ」



 まずはあの人たちを助けてあげなきゃ。

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