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閑話 不死身と魔神 (リクエスト)

「もしかしてお前が不死身の英雄、ウルト・ラストマンか」

「え? あ、ああ」



 アリムが用意した魔神とアナズムの住人の話し合いの場が行われたある日、その話し合いの終わりに魔神シヴァからSSSランクの冒険者兼宿屋の店主のウルト・ラストマンが話しかけられた。ウルトは魔神が自分になにか用があるとは思っていなかったため、少し驚いた。



「なるほど、こんな好青年だったわけだな。アリムちゃんもそう言っていたが……あの特撮ヒーローみたいな冒険者時の格好を見ると中々中身が想像付かなくて……」

「とくさつひーろー……?」

「いやなに、地球の娯楽、催し物の一つだ。そこは気にしないでくれラストマンよ」

「へぇ……」



 自分の姿に似ている、しかも一般的に普及しているものが地球にあるのかと、冒険者の時の姿をかなり気に入っているウルトは少し嬉しそうに微笑む。シヴァはそのことに気がついた。



「…….特撮に興味あるか?」

「実は、今の話を聞く限りじゃかなり」

「いいだろう、では今度時間に余裕ができたら教えてやる。アリムちゃんに頼んでおこう。我も一時期ハマったからな」


 

 シヴァもかなり嬉しそうにそう言った。これで話は終わりかとウルトは立ち去ろうとしたが、シヴァは自分がしたかった話が特撮だけでないことを思い出し、呼び止めた。



「おっと、済まないラストマンよ。本題はその特撮のことじゃないのだ」

「……そうなのか。それなら魔神が俺にどういう用なの?」

「貴様、かなり特殊な存在だろ?」

「俺が特殊? たしかに普通の人生ではない自覚はあるけど」

「サマイエイルの奴から暇なときに直接聞いたのだ、『私の力が効かなかった人間がいる』とな」



 ウルトはサマイエイルと聞き、当時のことを思い出し身構えた。シヴァは軽率に悪魔神の名前を出したことを後悔し、ウルトにそのことを謝った。



「すまないラストマンよ。あいつがアリムちゃん含めこの国の一定の地位にいる住人のほとんどから嫌われていることを忘れていた。別に悪意はないのだ、ただこれから問うことにアイツの名前を出すことが必要だっただけで」

「……そうか。やっぱりアリムちゃんもあの魔神を嫌ってるんだね」

「あからさまに扱いが悪いぞ。当然かもしれないが」

「ははは、そっかそっか」



 シヴァはどれだけサマイエイルが嫌われているかを再確認することとなった。アリムに連れられメフィラド王国の重要人物と話し合うようになってから、毎回それを実感させられる。どうやら許されることは長年ないだろうと、帰ったら本人に告げてやろうとシヴァは考えた。その反面、自分は許されていると笑いながら。

 


「まぁ、いい。本題に入るぞ。サマイエイルは生と死を操る力を持っている。特に死の力は、受けたものをレジェンドポーションでも生き返らせられなくするのだ。それを使用した技を回避する方法は極々限られていてな、『勇者』の称号を持っているか、対策できるアイテムを持っているか、アリムちゃんみたいにアムリタを摂取し続けるかしかない」

「対策できるアイテムがあるんだ? 勇者の剣とか……?」

「勇者の剣にそんな機能は、付けない限りない。というのも……」



 シヴァはサマイエイルの羽に死を乗せてばら撒く技について説明をした。あれは魔法や特技やスキルの類ではなく、魔物でいう固有能力であると。例えばスキル関係なく体から溶解液を出せる魔物がいるように、例えば魔法を無効化する皮膚を待っている魔物がいるように。

 ゆえに対策できるアイテムとは人間たちが自ら死の技について解析し、編み出さなければいけない。もちろんそのアイテムは必然的に伝説級以上になるため作り出せるのはアイテムマスターを所有するアリムのみ。また人間が死について解析するには死ななくてはならないので、理論上どうやっても不可能であると結論を述べた。



「つまり無理なんだね」

「ああ、なにせ神を相手しているんだぞ? 倒すならまだしも神の固有の力を解析するのは流石に無理があるというものだ。自分で言うのも何だけど。そこで、だ。なんでお前は耐えられた?」

「ああ、なるほど。それを聞きたかったの」

「そういうことだ。どうにも不思議でな、アリムちゃんからお前の話を聞いた時から興味があったのだ」

「簡単な話だよ、そういうスキルを持っていただけ」



 ウルトは自分の持っているクリーチャーマスターについて弱点を悟られない限り説明した。クリーチャーマスターはシヴァが述べた魔物や生き物の固有能力を本人の姿ごとコピーする力を持っている、と。例えば筋力が高い魔物に変身し打撃の威力を上げたり、鳥の魔物に変身し空を飛んだり、再生力が高い魔物に変身し回復し続けたり。

 その中でもフェニックスというSSランクの魔物は死んでも即座に復活するという固有能力を持っていた。フェニックスの力を自分に組み込み、倒されても即座に復活する。それが不死身の英雄と言われてる所以であった。



「なるほど! フェニックスか! たしかにあの魔物ならサマイエイルの死にも復活という形で抗えるだろうな! クリーチャーマスターとは、また便利な能力もあったものだ」

「シヴァが言っていたとくさつひーろー……? のような姿はいろんな魔物の特徴を組み込んであるんだ」

「なんだ、一つの体に複数個も能力を持てるのか。とんでもないな。もしお前が『勇者』の称号を持っていたらと思うと魔神としては身震いものだ。……ところで対処の能力を真似るのはどうやってやるんだ? 食べるのか?」

「ううん、一度触れるかその能力を使った攻撃を食らうかだよ」

「なるほどな」



 シヴァは少し疑問に思っていたことが解決できてスッキリしたようだった。ウルト・ラストマンが現代の本来勇者になるはずの存在だったのではなく、自身の実力で手に入れたスキルを活用した規格外の強者だったという答えにそこそこ満足した。

 ウルトとは礼を言って今日のところは別れようと考えたシヴァだったが、そのわずかな間に、新たな疑問が生まれた。

 ウルトのスキルは生物の能力を触れるかくらうことで手に入れるという力である。ウルトはサマイエイルの能力に生きて耐えきった。そしてサマイエイルの力は神の中の悪魔神という唯一無二の生物の、固有の力である。それはつまり。



「……なぁ、ウルト・ラストマン。最後に一つだけいいか」

「ん? どうしたの」

「……サマイエイルのは生物で考えたら固有の力だ。お前は固有の力を真似できる。お前、死の羽をバラまけるなんてことはないよな? まあ仮にも神の力だ、まさか扱える訳ではあるまい」

「ははは、まさかね。さすがの俺でも無理なんじゃないかと思ってるよ。考えたこともなかったし」

「ふははははは」

「ははは」

「はは……あー……やめとけよ、試そうとするなよ……? 洒落にならないぞマジで」



 シヴァはこの時、結果はどうであれ、この男の前で自分の神としての力を使うのはやめようと誓った。

 一方、ウルトは帰ったところで、シヴァに言われた能力を得たかどうかを確認した。



#####



なんと、あとリクエスト消化まで1回でござるよ! 最後のリクエストは拙者自身、書くのを楽しみにしているのでござる!


・アリム×翔 【済】

・アリム×父親【済】

・アリム×リル【済】

・アナズム女子メンバーによる女子会(アリム有) 【済】

・有夢×翔 (出会った当初) 【済】

・翔×リル(新婚生活)

・侍(幻転丸)×翔 (武人談義)【済】

・有夢家父×カルア 【済】

・ウルト×シヴァ【済】

・ローズ×ラハンドやガバイナ 【済】

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