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第千二十四話 占拠された城

「ね、カルアちゃん。そういえばどうしてここに避難してるの? 他の場所もあったんじゃない、食料庫とか武器庫とか」

「……じ、実は……」



 どうやらこの避難してる人たちにとってそれぞれで一番近くて広い部屋がここだったらしい。その上、食料庫や武器庫といった避難するのに良さそうな場所は真っ先に毒ガスによって占拠されちゃったみたい。

 ここら辺に敵のビッグネームがいないのは、国王様やラーマ国王が一生懸命敵をこの城の奥まで追いやったからで、オルゴさんやルインさんがこの場に残ってるのは最後の砦ということらしい。全滅だけは防ぐためだって。つまり国王様たちは死ぬかもしれないという覚悟で敵と対峙しているわけだ。でもそれならやっぱり今から俺が行けば戦況をいい方向に進めることだってできる。気がついてからすぐ来たんだから、そんなに時間は経ってないはずだ。



「それならやっぱりボクが今すぐ国王様たちのところに行けば優位に進められるんじゃないかな? まだ敵が襲ってきたばかりなんだよね?」

「……え、違いますよ。もう一時間ほど経ってます。私たちが一時間も持ちこたえられてるのはアリムちゃんがくれたこのペンダントや私やお兄様の魔法で耐えてるからで……」



 なぜか探知ができなくなってるだけでなく、時間まで外とずれてしまっているみたい。確かに俺は異変が起きてからすぐに駆けつけてきたから……このお城の中じゃ一分が三十分くらいになってるのかな。まるでマジックルームだよ。そう考えたらウルトさんやギルマーズさん等の援軍は、この異変に気がついていたとしてもあと数時間は来ないって思ってた方がいいのかな。ショーやカナタに今から助けを求めても同様に時間がかかるだろうね。……まあメッセージは送っておくか。



「とりあえず国王様たちが心配だから様子は見てくる。何かあったらすぐに戻ってくるよ。敵の幹部がまだいるって知らずにミカも置いてきちゃったし」

「わかりました。そこまでいうなら……お気をつけて」

「うん、あ、一応これ置いていくよ。SSSランクの冒険者一人分の強さがある自律人形だよ」



 俺が作った武器をロボット状に変化させたものを二つ、設置した。これさえあればしばらくはなんとかなるだろう。敵わない敵が出てきても武器としては活用できるし。



「じゃあ行ってくるよ」



 俺はお部屋から出た。今度はミカとあの門番さんの魔力を探ってみる。いや、その二人だけじゃない。明らかに人数が増えている。今もどんどんすごい数で増えていっている。どうやらミカはうまくやっているみたいだ。でも一回は顔を覗かせようね。俺はミカの現在地へ向かった。



「ミカ!」

「あ、あゆ……アリム! カルアちゃん達はどうだったの!?」

「カルアちゃんやルインさんを中心とした、貴族や王族の子供かカルナ王妃みたいな戦えない大人がカルアちゃんの反応があった場所と同じ部屋に避難してたよ」

「そうなんだ。じゃあ国王様や大臣さんは……?」

「わからない。どうやら外の時間の流れとここの時間の流れが全然違うみたいなんだ。マジックルーム状態だよ」

「通りで、私達すぐに駆けつけたのに、ゾンビになってる人があまりにも多いのね」

「何人助けた?」

「わかんない。もう五十人は超えてるんじゃない?」



 たしかにそのくらいは余裕で行ってる。百人でもおかしくないくらいだ。俺はミカに、カルアちゃんがいる部屋の前にも大臣さんが重力魔法で縛り付けてるゾンビが何人かいるから、魔法を解除してから助けてあげるように言った。



「ふーん、わかった! ……で、これから国王様たちを助けにいくの?」

「うん」

「例えば、あの人間を弱らせるっていうドラゴンと貴方達兄弟二人の強力なスキルを持ったスライムが同時に現れたらアリムでも勝てないと思うけど……? 私、また死なれるのやだよ? 有夢が死んだら私も……」

「指輪があるじゃない。もし死んだらミカの隣から再スタートだよ。逆も然り。もう二度と俺たちは離れることがないようにしたんだから」

「えへへ、そうだったね。それに万が一があっても有夢の身体の一部とアムリタはあるからなんとかなるか……。でも本当になるべく死なないでね?」

「頑張る」



 うん、指輪があるからミカの方に何かあっても俺の隣に出てきてくれる。殺されるだけじゃなくて、封印や拷問されそうだったり、貞操的に危なくなっても自動的にどっちかの隣に移るからね、ほんと作っておいてよかったよこれ。

 そんなわけで俺は全速力でお城の中を回ることにした。ゾンビ化してる人はミカ達が何とかしてくれるだろうし、可哀想だけど後回しにするとしよう。

 まずは二階全部屋と、三回全部屋を回ってみたけどゾンビ化した城で働いてた人や外から来たお付きの人がいただけで他には何もない。つまり何かあるとしら、お城の人たちの住む場所か、一階か地下ということになる。毒ガスが蔓延してるっていう食料庫や武器庫があるのは地下だったはずだから、地下か一階の可能性が高い。

 ……行ってみよう。下手したら、今までの敵の中でもトップレベルで手強いやつらを一度に相手しなきゃならないかも知れない。

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