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閑話 美花の欲求の背景

 今日も閑話です。そこそこ久しぶりにリクエストじゃない閑話書こうと思います。……最近、本編は政治的なことばかりでイチャイチャ入れる隙間が数百文字しかなかったので……。あ、この話は昨日のリクエストと話が関連してます。

#####



「みてみてー!」



 そう言いながら嬉しそうに美花が別室から出てきた。黒いビキニを着ている。黒い髪に黒い水着と引き締まった身体、いわゆるセクシーってやつだ。うん。最近リルちゃんに教えてもらったストレッチやトレーニングで自分の身体磨きを始めた美花。美花は昔から何もしなくてもベストな体型を維持できるから、いくらリルちゃん考案だったとしても目に見えて効果あるわけじゃないだろうと思ってたけど違った。正直なめてた。

 で、ついに俺が『アリム』の時にそのナイスバディさに嫉妬して昨日なんてリルちゃんについにそのトレーニングの方法を聞いたわけだけど、じゃあ『有夢』である俺はどう思っているかというと、普通に嬉しいんだなこれが。



「どう?」

「あれだよ、美しいってやつだと思うよ」

「やった!」



 すごく嬉しそうに小さくジャンプする美花。俺は本音を言ったまで。 美花はすごくニコニコしながら俺の隣に寄り添うように座ってきた。



「えへへへへ」

「どうしたの?」

「好きなとこ触って! 特別だよ?」

「それはいつものでしょ。まだ真昼間だし、如何わしいことは夜ね」

「むぅ……!」



 だいたい余裕がある日は毎日こういうやりとりしてると思う。俺が押しに負けて毎晩如何わしいことするようになったのに、美花はそれでも足りないというんだ。そして俺の真似をして頬を膨らませた美花はその露出がかなり多い格好のまま身体を絡ませてきたりする。今回もそれ。



「あゆむぅ!」

「あーうー」

「えへへへ、私からする分には断らないよね」

「まあね……」



 ……今、ふと思った。なぜ美花はこんな風になってしまったのか。もちろんこんな感じで俺の前だけで大胆かつ扇情的行動をとるようになったのはアナズムに来てからだ。地球では美花は周りから清楚の塊なんて言われていた。俺から見ても清く正しく生きてる感じがしていたんだけど……。まあ対象は俺だけだしね、それ以外は今まで通りなのかもしれないのかな。

 原因の一端はわかる。俺が先に死んじゃったから、美花の精神のどこかおかしくなった。叶や翔から聞いた俺が死んでからの美花の異常な行動に愛故に気にしないように振る舞ったけど、冷静に考えてもすごいことしてる。これは完全に俺の責任だ。執着して身体で束縛しようとする態度を取ってくるのも納得できる。

 ただ疑問なのはそれでもここまでになるのかということ。俺と美花の間にはもう風紀って言葉はなくなってるに等しい。アナズムのアイテムに頼らなきゃ、とっくの昔に責任問題に発展してるだろう。となると、実は元からこの性格で今まで押さえ込んでいただけだっていう説が出現する。でもそれはずっと一緒に過ごしてきた幼馴染として考えられない……いや、でも……。



「む、有夢。その顔は有夢と私の関係について何か考えてると見た」

「さすがだね、わかるんだね」

「……ごめん、甘えすぎたかな。嫌いになる?」

「美花を嫌いになるなんて天地がひっくり返ったり、思考回路が真逆になったってありえないよ」

「そっか、そうだよね! えへへへ」



 そう言って美花はまるで体を押しつけるように強く抱きつきながらキスを求めてきた。俺は流れ的にそれに答える。



「ぷは! それで、何思ってたの?」

「いや……すごく今更なんだけど、付き合う前と付き合い始めた後の美花って風紀的に考えてまるで違うなって」

「あー、実はね、そうでもないのよ」

「え?」

「ちょっと昔のこと……そうね、中学二年生からアナズムに来るまでの間のこと思い出して? まず私、かなり頻繁に有夢に密着してなかった?」

「まあ当時でも大親友だからね! そのくらい当たり前だと思ってたし、俺も翔にベタベタしてたし」

「実はね、当時も今みたいにわざと胸を押しつけてることあったんだよ。その様子だとラッキー程度にしか考えてなかったんじゃない?」

「……その通りだよ」



 まさかさっき立てた仮説が本当だったとは。お互い好きでいたのに告白だけできてない状況があまりに長く続いたためかもしれない。美花は話を続ける。



「あとね、何もしなかったら普通の服なんだけど、屈んだりしたら胸が見えるような服も結構わざと着て、有夢の前で見えるように屈んだりしてたんだけど……それもラッキー程度にしか考えてなかったの?」

「え、そうだったの!? たしかに見えちゃったことは少なくないけど、いや、まったくもってその通りだよ……」

「じ、実は全部、有夢の方から押し倒してくれること期待してたんだけど……」



 お、おお……予想以上だった。下手したら生まれつきこうなのかもしれない。美花がこうだとすると、今頃、桜ちゃんも叶に対して同等の態度をとってそうだね。



「でも有夢、反応はするけど全部気がつかないふりするんだもん!」

「そりゃ、当時は美花と今みたいになるなんて理想でしかなかったから……」

「ほら、長年待たせた分、今精算とって! 私をお姫様ダッコしてベットに投げ飛ばして!」

「結局そこにもってくんだね」



 両手を広げて待ってる美花を俺は背中と膝裏を抑えて抱き上げた。

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