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第千十七話 神樹国の被害

 ややあってかなりの質問に答えたけど、二人の反応を見るにまあまあ満足してもらえたみたいだ。そのかわり他世界のランチが食べられることをすごく楽しみにしていることが見て取れる。そんな期待されてもね、お口に合うかどうかはわからないんだけど。一応天ぷらにするつもり。ぶっちゃけ日本料理くらいだからね、こっちにないの。



「じゃあそろそろ本題を聞こうかの」

「ああ、その偽の神アナザレベル側についてる敵の情報とかな」

「まあ本当はワシら、それらを聞きにきたんじゃがの本当は」

「アイムの話が突飛すぎて聞き入っちまったぜ」

「これトール、アリムじゃぞ」



 そんなわけで本題を国王様と俺で手分けしてお話しした。敵側にあまりにも賢者が多すぎるということはやはりその国の代表達にとってはあまり嬉しくない情報だったみたいで、トールさんとヘイムダルさん以外はすごくイライラした様子だった。



「なるほどの」

「しかし悪魔を統率してたやつがカナダ達と同じ出身だったとはな。いやぁ……なんか色々混乱しちまうぜ」

「このアナズム自体の歴史に深く関わるような話が大量に、それもさらっと出てきたからの、混乱するのも無理ないじゃろうて」

「まあだがなんとか理解はした。SSSランクの魔物が毎日発生しては消えてるのは気がついていたし……アリミュ……大変だったな」

「労ってやるくらいなら名前を間違わんことじゃぞトール」



 どうやら協力してくれるみたいだ。今や敵対姿勢でいた神樹国王の一族がいなくなったとはいえ、メフィラド王国にエグドラシル神樹国が協力するなんて少なくともここ数百年では初めてことらしく、うちの国王様はちょっと嬉しそうにしている。ぶっちゃけトールさんとヘイムダルさん以外はやっぱり乗り気じゃなさそうだけど、その二人の方が立場が上っぽい。



「しかし、そのSSSランクの魔物を呼び起こし、同ランクの冒険者すら従えることができる偽の神は一体どこから湧いて出たのかの」

「魔神ほどの力を持ってるってことだろうが。でも魔神じゃないんだろ、三柱とも今はアームが管理してる」

「魔神三柱全てを管理してるってのも恐ろしい話じゃが」

「あのカナツァの姉だって考えたらなんか納得できるんだよな」

「人は見かけによらぬものじゃな」



 あ、そういえばさっきの説明の最中に自由に魔神達と会話できる状況が整ってるって言うの忘れてた。うっかりだね。じゃあ今言ってしまおう。



「ごめんなさい、さっき伝えるの忘れてたんですけど、実は魔神全員と自由に話せるような準備が整ってるんですよ」

「ん、つまりスルトルとかと会話ができるということか?」

「そういうことです」

「アイテムマスターがなせる技じゃな。特殊なアイテムでもない限りそんなことできないじゃろうて」

「で、ではスルトルと話させてもらおうか! 我らが国王を殺めた直接の犯人と!」



 さっきまで黙っていたお付きの人がそう言った。そうだったね、神樹国王を殺したのはスルトルだった。やっぱり悪いことしてるなぁ。



「わかりました、では明日連れてきますね」

「それならば合わせて比較的協力的な姿勢じゃというブフーラ国のシヴァという魔神とも話してみたいの」

「了解です!」



 む、なんか嫌な目線を感じる。お付きの人の何人かが俺のことを睨んでるようだ。まあそれも仕方ないけどね、偽の神に狙われてる上に魔神を全員揃えてる他世界出身の言い出しっぺなんて怪しすぎるもの。SSSランクの魔物の存在を確かに感じ取っていた実力者であるトールさんとヘイムダルさんは俺のこと全然疑ってないどころかさっき言った通り労ってくれてるみたいだけど。

 ちなみに、今まで各国に状況説明してきた中でも一国に一人は俺に疑いの目を向ける人はいた。むふふん、実力者や有力者ほど俺を疑ってないから強く言い出せないみたいだけどね。ありがたいことだよ。



「それで今は偽の神達は冒険者を誘拐して回ってると」

「そうです、多分人員確保のためだと思います」

「じゃろうな。あのヒュドルが居るんじゃったらそのくらいのことするじゃろうて」

「厄介な奴が居たもんだぜ……あ、そういえばよ、もしかしてこれ関係あるかもしれないな」

「おお、そうじゃの。いや、もう話を聞いた限りでは関係しとるとしか思えんわい」

「……どうしたんです?」



 やっぱり誘拐はエグドラシル神樹国まで広がっているのかも。お付きの人たちも心当たりがあるらしく話に同調している。



「実はな、各地でまだ解放できておらん奴隷か急に居なくなったりしとるのじゃ」

「それだけじゃねぇ。うちの国の騎士の一人だったクルーセルってやつも三日前に忽然と消えやがった。兵士複数人と共にな」

「馬鹿がつくほどの真面目な奴じゃったから、勝手に居なくなるわけないと行方不明として捜索しとったんじゃが……こりゃやられたな」



 どっかで聞いたことのある名前の人だな。……だれだっけ、クルーセルって。カナタが話してくれたような気はするんだけど。

 にしても偉い人からちゃんと名前が把握されてるような人が居なくなるのは初めてだ。やっぱりエグドラシル神樹国は他の国とあまり繋がってないからそういう人を誘拐しやすかったのかな。だとすると抜け目なくてこわいね。

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