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第千十五話 久しぶりの遊び

「くぅ……くぅ……」

「すぅ……」

「んぅ……う……ふあぁ……」



 あー、寝ちゃってた。三人同じカルアちゃんのベッドでお昼寝なんていつぶりかな。どのくらい寝たんだろうか。

 時計を見ると、だいたい4時間くらい経ってた。もうそろそろ夕飯時だ。結局話し合いに俺たちは要らなかったのか知らん。いや、長旅で疲れてて、個人的な話を先にして重要な話は明日って感じなのかも。なんにせよミカが予想した通りにはなるだろうね。

 ミカとカルアちゃんはまだ寝てる。二人とも寝顔が可愛い。ミカは絶対俺と隣で寝たがるから、カルアちゃんのベッドなのに俺が真ん中になってるの。まあいつものことだね、両手に花ってやつだよ。それとミカがまともに寝巻ききて寝てる姿、久しぶりに見たぞ。あの家にある間は絶対______いや、これはカルアちゃんが居る場所で考えることじゃないか。やめておこう。



「ふあ、ふわぁ……あー……あれ、だいぶ寝ちゃってましたか?」



 カルアちゃんが起きた。頬に赤い跡がついてるから少し窮屈な格好で寝てたみたいだ。



「おはよ、カルアちゃん」

「おはようございますアリムちゃん……もう夕飯の時間ですか」

「はしゃいじゃったからね……その分ぐっすりだったみたい」

「ん……」

「あ、ミカもおは……」

「あゆ……あゆみゅ……えへへ……」

「んんっ!?」



 ミカは俺の頭を鷲掴みにすると、そのまま自分の体を持ってきてキスをしてきた。カルアちゃんの前なのにディープ。寝ぼけるにも程度があると思うんだ。そりゃ、ここんとこ二人きりで寝てたし、起きるたびに何かスキンシップとってたからほぼ反射でそうしちゃうのは仕方ないのかもしれないけど。



「わぁ……!」

「ミカ! ん……ミカ! カル、カルアちゃんあふ、みて、みてふ!」

「ん? ……あっ」

「き、気にしなくてもいいんですよ? 是非続けてください、いいえ、続けるべきです!」



 なんでそんなに嬉しそうなんだろう、この子。とりあえずミカは顔を真っ赤っかにしながら俺から離れ、口から垂れるヨダレを手で拭った。今の衝撃で完全に目が覚めたみたいだ。



「ふう……カルアちゃんに見られるのはこれで2回目かな」

「はい。でもどうしてでしょう……お二人が愛のやり取りをしているところを見ると、なんだか胸がキュンとなるんです。あの日から……!」

「カルアちゃんはちゃんと男性を好きになろうね?」



 これは確実に良くない方向にいっている。……もう長いこと友達とはいえ、お姫様一人の趣味を一応一般人であった俺たちが歪めちゃうのってなんかすごーく負い目を感じるな。



「でも好きな異性ってできなくて。これじゃあティールお兄様と同じように、あの年齢になっても恋人がいないなんてことに……」

「あ、あの人はいないんじゃなくて作らないんじゃない?」

「ええ、先々週なんてルインお兄様とリロお姉様の関係がすすんだことを感知したティールお兄様が、跡継ぎはあの二人に任せれば良いと仰ってました」



 相変わらずだなあの人も。ちょーっと募集すればすぐに数百件はお見合いの話が来そうだけど。

 とりあえずこの恋愛の話からカルアちゃんを遠ざけなきゃ。もし本当にカルアちゃんがミカと同じ趣味になったら責任なんて取れないからね。女の子みたいな男なんてそうそういるもんじゃないし。



「あはは……あー、とりあえず夕飯どうしようか。ボク達帰るべき?」

「いえ、今日は是非泊まっていってください! 連日、偽の神対策でお疲れでしょうし夕飯は料理長達に用意してもらいます」

「そっか、じゃあお言葉に甘えて、そうさせてもらおうかな」



 今日はアナザレベルのことを忘れてギリギリまで楽しむべきだよね。カルアちゃんも今だけはこのお城が襲撃されたこと忘れてるみたいだし。



「ねぇ有夢、この調子だと神樹国の人たちと話し合いするのは明日になりそうね?」

「ボクもそう思ってたんだよ。ミカがそういうならそうなりそうだね」

「あの、ところでお風呂も一緒にどうですか?」



 カルアちゃんの何気無い提案。俺はミカの顔をちらりと見る。ミカは俺の意図を汲んだのか黙って頷いた。いつも通りアリムのままならオーケーみたいだ。久しぶりだからつい聞いちゃったよ。



「じゃあ久しぶりに一緒に入ろうね!」

「はいっ!」



 それから俺たちは料理長さん……じゃなくて普通の料理人が作った料理を食べた。今、このお城に止まってる他の国からのゲストが多いから料理長さんはそっちに回されてて忙しいらしい。仕方ないね。出てきた夕飯はお魚のムニエル。料理長さんには劣るけどまあまあ美味しかった。

 そして三人でお風呂に入る。

 お風呂に入ってからカルアちゃんの目に留まったのは、ここ最近リルちゃんの体作り方法をおしえてもらってそれをずっと実行してるミカの身体だった。



「す……すごいですね……! ミカちゃん、どうやったらそんな風になるんですか? 本来の年齢ではなく、今は私より一つ下ですよね? 可能なんですかその身体……!」

「ふっふっふ、リルちゃんに身体作りを教えて貰えばね……」

「これがセクシーというものなんですね……! たしかにリルちゃんはすごいですものね。ところでアリムちゃんは……」

「いいのいいの、アリムはいいの。子供らしく痩せてるのにムチムチしてる感じが一番いいの」

「確かにそうですね!」



 悪かったね、二人ほど出るべきとこ出てなくて、太ももやほっぺたばっかりムチムチしてますよ。ちょっと悔しいから俺もリルちゃんのやつ習おうかな……。バストアップも込みらしいし……。

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