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第九百九十九話 対抗の一歩

 さて……粗方の準備は終わった。これからは組んだ予定通りに動いていくだけだ。まずはいままで俺の身に起きたことの真実を全て国王様やその他権力や実力がある人達に話さなければならない。ちょっと都合が悪い部分もほとんどね。その結果次第でやるべきことや順序が変わってしまうので、とても大切なこと。

 もし俺の言ったことがいつもみたいに無条件で信用してもらえるならば問題はない。仮に少し怪しく思われたりしても、味方してくれるなら大成功だ。また、俺の言ったことがかなり怪しまれて、協力はできないという態度をとられてもまあ仕方ない。今まで俺たちだけで行なっていたことを続けるだけだ。ただ信用を失うのは心苦しいけど。

 最悪なのは敵が神様であると伝えて俺がむしろ敵だと思われた時。実際国王様達は被害にあってるわけだしこの結果になるのは有り得ないけどね。もしこのパターンになったらこの屋敷を潰して別の場所に引っ越して活動を再開しなくちゃならなくなる……なんてことはないよ、上から幻術をかけるなりアイテムの効果を発動させて記憶を改変しちゃうのさ。念のためにそのアイテムはすでに作ってある。ただかなり非人道的だからなるべくやりたくないよ。一部この効果が有効かどうかわからない人もいるし。ウルトさんとか。



「それで、明日には説明するんだね」

「うん」

「丸二日間くらい寝ずに考えていたものね」

「うん」

「ど、成功しそう?」

「んー、自信がないわけじゃないけど、カナタほどそういうのが強いわけじゃないから不安はあるよ」



 とは言っても俺のメンタル面はかなり安定していると言っていい。緊張で押しつぶされたりとかはしてない。となればうまくいく確率も上がるというもの。それもこれもミカが文字通り身体を張って寄り添ってくれていたからだね。今も膝枕してもらってるしね。ありがたいよ。



「不安なんて感じなくていいよ、有夢ならきっとうまくいくよ! あ、そういえばこの3日間、国王様達から一切連絡なかったけどどうしてるのかな」

「色々忙しいんだよ。相手が相手だし、ヘレルさんが誘拐されてるわけだからさ。向こうは向こうで何か対策を考えてるんだと思うよ」

「それならアリム呼んじゃえば早いのにね?」

「なにか思惑はあるんだよ」



 家の窓からピースオブヘラクレスのメンバー数人を率いたギルマーズさんと、ウルトさんとバッカスさんのコンビが城に向かっているところをそれぞれ一回ずつ見たため、俺以外の人達とは話を進めてるんだと思う。国王様の性格から考えて俺たちは子供だから呼ばないんだろうね。

 子供扱いといえば、お父さん達が俺のやろうとしてることを聞きつけたらしく、一昨日のお昼辺りにこの部屋を訪ねてきて、要約すると「そういうことは親がやるべきだ。自分の子供に重荷を背負わせたくない」ということを言ってきた。ただお父さん達にも話してない事があるから俺がやったほうがいいんだ。だからちょっとはぐらかして心配しないように説得した。

 ……まあそのうち言い訳もはぐらかしも効かなくなるだろうし、中にはもう色々気づいてる人もいるだろう。



「それで……今日はどうするの?」

「準備自体は万端だから、ミカに甘えてゆっくり休むとするよ」

「そうね、それがいいと思う」



 あんまり眠くないけれど、どれ、ちょっとお昼寝しようかしらん。



____

__

_



「よ、よし!」



 翌日。昨日の夜には国王様にはどうしても話したいことがあるとメッセージで連絡した。やはり色々忙しかったらしいけれど、今までの話とは違うとほのめかし続けたので、集められるだけ人を集めて大きな部屋で暴露させてもらえるみたい。真剣さが伝わってよかった。



「……それ全部、持ってくんだね」

「うん、もちろん」



 俺は小脇にサマイエイルが入った像、スルトルが入った像、シヴァが入った犬のロボットを抱えている。こいつらの話をするときが一番空気がピリピリすることは間違いないね。



「あゆちゃん、動くんだな」

「うん。その……悪いんだけど……」

「わかっている、ずっと見ていたからな。下手なことは言わない」

「ありがとう」

「私はあゆちゃんの味方だから。前にも祖父みたいな感覚でいると言っただろう? 何かあったら頼るんだぞ」



 シヴァが優しい。公衆の面前に立たされて煙たがれるかもしれないのに。なんとかシヴァは無害だって理解してもらえるといいな。何よりも難易度高いと思うけど。

 ……さて、そろそろ約束した時間だな。この説明会にはミカも付いてきてくれる。一人だと上手くいくものもうまくいかないかもしれないからって……最初は俺一人で行くつもりだったんだけど、ミカが付いて行くって言い出したんだ。



「じゃあ行こう」

「うん」



 俺とミカはしっかり手を繋いで、屋敷から外に出た。そしていつもより緊張し、重い足取りで大きくて立派なお城へと向かう。……これが神様とやらに対抗するための最初の一歩だから。だから今まで中でも最高レベルで重いんだ。

999話でござるな。

999話でござるよ。

3桁台最後のゾロ目でござるな。

つまり次回は……!

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