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第九百九十六話 いるはずのない人

「えっ……あ……はぁっ!?」



 少し落ち着いた国王様達から話を聞いた。なんでもこの間ローズとガバイナさんを襲ったドラゴンに、今全アナズム中で指名手配してる凶悪な殺人鬼、そしてなんとメフィストファレスがやってきたと言うのだ。さらにメフィストファレスにヘレルさんはタイマンで負けて誘拐されていったらしい。



「驚くのも無理はない、特にメフィストファレスは一度死んだのだからな」

「え、ええ。まあそうです……よね」



 ありえないでしょう、なんで光夫さんがこっちに戻ってきているんだろう。あの人がこっちに来て悪さする理由も方法もないはずだ。それに煙魔法や強制契約も健在だったらしい。あの人の合成してもなくならないスキル以外は本人と相談の上で俺がスキルカードとして預かっているから……本当に訳わからないよ。

 となるとやはり神様が関連しているんだろうか。神様なら自由自在に人を別世界から連れてくるなんてことが楽にできそうだ。地球に干渉できるのね、やっぱり。



「なんにせよ、勇者ヘレルが攫われた理由がわからんな……」



 もし光夫さんが洗脳やら記憶の消去で従わされているのだとしたら、ヘレルさんにも同じことをする可能性がある。となるとかなりやばいことになったぞ。

 それと国王様達はなんで俺の事を呼んでくれなかったのだろうか。



「あの、国王様」

「なんだアリム」

「どうしてボクを呼んでくれなかったんですか? そしたらなんとかできたかもしれないのに」

「いや……おそらく無理だ」

「そうなんですか?」

「ああ」



 国王様が言うことには、カオスブラックドラゴンの能力が半端なく強力らしく転生している国王様やルインさん達ですら立ち上がれないほど弱体化させられたのだとか。俺やギルマーズさんを呼んでも被害が増えるだけだと踏んであえてそうしなかったみたい。

 事前に連絡くれたら対策するアイテムを作りながら向かうこともできたんじゃないかな。……いや、でもSSSランクの魔物にあのカナタがやられたこともあるし、そう上手くはいかないかも。

 そしてさらに悪いことに、その弱体化の能力を受けてむしろパワーアップするのが敵にいたという。指名手配中の殺人鬼のことだ。その上、メフィストファレスと化した光夫さんは悪魔としてカオスブラックドラゴンの能力を回避することができる……よく計画が練られてるなぁ。



「とにかくまずは勇者ヘレルを取り戻すことが最優先だ。……と言いたいがあの三人に対して対策を立てないとな」

「敵があの三人だけとは限らないし、どこに行ったか探索する必要もある。どうすれば……」



 国王様達は頭を抱えて悩んでる。俺もはっきり言っていい解決方法がわかんないよ。神様が関連してるってことは俺のアイテムによる探知じゃ場所がわかんないってことだから。わかるのなら既にカナタの仇を討ちに行ってるもの。

 むぅ……どうすればいいんだろ。ついに俺たち以外にも本格的に手を出し始めたってことだよね、今回のことって。まだ、まだ俺たちだけが対象なら良かったんだけど……。



「とりあえずこの件はアナズム中の全ての国に伝えるつもりだ。注意喚起と共にな」

「敵が敵ですからな、のんびりしている暇は一秒たりともないのですぞ」

「……そうだ、あの中に指名手配されている殺人鬼が混じっているのだったら。脱獄したヒュドルの奴もあいつらの仲間になっている可能性がある」

「……! たしかに、視野に入れておいた方が良さそうですな。時期やタイミングといい」



 神様率いる組織っていったい何人居るんだろう。ゲームだったら批難を浴びてるレベルのスキルを持ったボスキャラのような奴らの人数が把握できていないって怖すぎる。

 全員で襲われた時、俺たちは勝つことができるんだろうか。いや、まともに負けることができるかどうかすら怪しい。スキルの見直しだって最近したのにそれすら生温いんじゃないかとすら思えてくる。



「……とりあえず今夜はアリムとミカはもう帰宅してほしい。一度、こちらだけで事を整理したい」

「わかりました、その方がいいですよね」



 というわけで俺とミカはカルアちゃんの部屋に泊まらず屋敷に戻ってきた。こんなことがあって夜伽の続きなんてできるはずもなく、二人でただベットの中に潜り込んだ。



「どうなるのかな、これから」

「……わかんない。でも転生したり戦闘経験が豊富だったりする程度じゃどうしようもないってことはわかった」

「敵が本気出してきた時、私と有夢はどうなるの?」



 わからない、どうなるんだろう。うーん、こっちにきてから自分の力でなんとかならないかもしれないって思ったのは初めてだし。性的に身体を狙われたことはあっても命を狙われたことはないからな。あれらとはまた違った恐怖があるよ。

 でも、なんとか頑張ってみんなを守らないと。



「お、おおお、俺がみんなを守るからだ、大丈夫だよ!」

「珍しく声が震えてるわよ」

「……だって怖いもん」

「ね、こんな時だけど一つ思ったこと言っていい?」

「な、なぁに?」

「怯えた顔も可愛い……」

「もっと緊張感を持とうね」

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