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第九百九十二話 避難と交戦

〈それが貴様らの本当の姿というわけだな〉

「ああ、そうだ」

「俺は違うのですが……」



 黄金に輝くファフニールに、全身から煙を先ほどより増して噴出するメフィストファレスと古くから伝わる災厄の竜の姿となったカオスブラックドラゴンが対峙する。



〈人間から竜に戻れるのは驚いたが、わざわざ余の大きさに合わせてくれるのかカオスブラックドラゴン〉

〈この方が二人と連携が取りやすいからな〉

「それほど警戒しているということですねぇ」

〈それは光栄だ〉

「あの、だから私は姿変えることできないのですががが……」



 仲間はずれになっていることを少し気にしているガイルをよそに、三者の間で緊迫した空気が流れる。その中で一番最初に動いたのはメフィストファレスであった。



「睨み合っていても仕方ありません。この強敵相手につい臨戦態勢に入ってしまいましたが、よく考えたら目的をこなせば良いのです。この場はお二人に任せますよ」

〈わかった、では吾輩達は聖龍が仕事の邪魔をしないようこのまま足止めをしよう〉

〈逃がさんぞ!〉



 全身を煙に変化させ、メフィストファレスはファフニールをすり抜けてヘレル達が去っていった方向へと向かった。ファフニールは煙を風魔法と念術を駆使して捉えようとするがそれはかなわない。

 


〈チッ……!〉

「さて、足止めとめとめとめめめめ! 足止めしましょうねぇ」

〈二人まとめて倒せばいいのだろう!〉



 全身を黄金に光らせた効果によって上がったスピードを駆使し、ファフニールは一瞬でカオスブラックドラゴンとの間合いを詰め尻尾打ちをした。禍々しい龍の姿となったカオスブラックドラゴンはすんでのところで同じように尻尾を打った。両者の力は拮抗しており、尾と尾の鍔迫り合いは衝撃波すら産んでいる。



〈このまま続ければ城が壊れるぞ、いいのか?〉

〈構わん、お前達を倒す方が重要だ!〉

〈ふん……〉



 両者、尻尾を引っ込める。すぐさまファフニールは右前脚を握り込み、カオスブラックドラゴンは左前脚を握り込み、それぞれ一番得意な属性を乗せ殴り合いを始めた。



〈ぐうっ……ぐ……ぐおおああああ!〉

〈が……は! いいぞ、いいぞ! 同族の実力が近い者と戦う、このワクワクは何百年ぶりだ!〉

「あのクロ、そろそろ私も介入して決着ををを……」

〈すまない、もう少し楽しませてくれ! どっちみち時間稼ぎができればいいのだ!〉



 カオスブラックドラゴンはファフニールに出来た連続攻撃の一種の隙間をついて闇魔法を魔法陣から放った。ファフニールもそれに気がつき合わせようとするが、慌てて発動させたため競り負けてしまう。急遽に直撃しなかったためダメージは免れたが、左前脚がえぐれてしまっま。しかしすぐに生えてくる。



〈……こんな戦いができること、神に感謝しなければな〉

〈余もこんな状況でなければ楽しめたんだがな〉

「ふぁぁ……まだですかー? いえいえいえ、クロもメフィストファレスも二人ともです」

〈まだ時間がかかりそうだな、双方〉

「えぇ……」



 ないがしろにされ続けたガイルはついにカオスブラックドラゴンを援護できる準備をやめ、床に座り込んで拗ねてしまった。



____

__

_



「ここならばとりあえず戦闘に巻き込まれることはないか」

「はぁ……はぁ……すまない、ヘレル……」



 念術などを用いて運んでいた国王一行や兵士たちを、元勇者のヘレルはゆっくりと城内の奥の方にある広い部屋へ集めた。そこにはすでに彼の恋人であり旧メフィラド姫のエルもいた。彼女もカオスブラックドラゴンの力によりかなり衰弱しているようであった。



「国王様、俺はどうしたら良いのでしょうか」

「ま、迷うかもしれぬが……この場にいたほうが良いのは確実だ」



 ファフニールに加勢したら襲撃してきた三人を倒すことはできずとも追い出すことはできる、それはこの場におり一定の戦闘経験を有していた者は全員わかっていた。

 しかし、最終的な目的が不明ではあるが敵の標的はヘレルであるということが本人達の口から述べられたため、この場にいる誰しもがヘレルの加勢という選択肢を消している。



「しかしこのままだとファフニールは……」

「あいつも覚悟の上だ。それに……召喚術師ゆえに分かるが……まだ余裕を持って応戦を続けているようだ。ファフニールが、希望なのはわかっている。だ、だからこそ……冷静に解決策を……考えなければならない……」



 普通にSSSランク程度の魔物3体が襲ってきただけであるならば国王達のみで解決していた。仮に敵わなかったとしてもアリムやギルマーズを呼ぶという恒例の解決策があるため、問題はなかった。

 だが、アリムもギルマーズも純粋な人間であるためカオスブラックドラゴンのスキルの餌食となってしまう。もしアリムが国王らと同じように弱体化させられてしまった場合、普通の少女となんら変わりないことを国王は理解していた。



「俺は……また何もできないのか……?」

「おんやぁ、こんなところに皆さんいらっしゃったのですねぇ」

「……!?」



 全員、この部屋の入り口を見た。大量の自律する煙が集まって行きヒトの形をつくる。彼らの目の前にメフィストファレスが現れた。




#####


カオスブラックドラゴンを強くしすぎたでござるな……ま、まあ設定上は魔神レベルだからセーフでござるよ!

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