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第九百八十七話 緊急事態再び

「……な、なんだかドキドキするねルイン」

「ああ……」



 メフィラド王国の王子、ルインはティールやカルアとは別に部屋を二つ持っている。その理由は家族との時間も幼馴染兼冒険者仲間達との時間も大切にするためである。この日、ルインは幼馴染達と近い方の部屋にいた。

 部屋には幼馴染から彼女となった大臣の娘、リロがいる。リロはそのピンク色の髪の毛に近い色まで自分の頬を染め上げ、ルインの顔をまともに見ようとしては恥ずかしくなって目を逸らすという行動を繰り返していた。



「俺とリロが付き合ってもう数ヶ月経った」

「ってことはオルゴとミュリが付き合い始めたのも同じ時期よね」

「そうなるね、あの二人はどのくらい進展したんだろう」

「あ、案外ミュリが積極的で私達より進んでるかもしれないって本人が昨日言ってた」

「そうなんだ」



 二人ともこれより先に事を進めたいはずなのに関係ない話をして伸ばそうとする。ルインは部屋内をウロチョロと動き回ってから意を決したようにリロの隣にそこそこ勢いをつけて座った。リロは驚いたようにそちらを振り向くが、ルインの顔を見るとすぐにまた目をそらした。



「で、今日はな、な、何をするか……お、おお、覚えてるのよね?」

「最初は告白からだった。次に手を繋いで……手を繋げるようになった一ヶ月後にはデートをした。その次にキス。それから三週間後に寝るところまで一日同じ部屋で過ごして……」

「う、うん。き、今日はその……あの……よ、夜伽……」

「……うん」

「も、もう結婚できるようになって二年経つのに今日が初めてなんて……あはは……な、なんか……えっと……」

「怖いならまた後日にしようか」

「ううん」



 後にするという言葉にしっかりと反応し、リロは激しく首を横に振った。そして一つ深呼吸をしてから何かを待つように顎を上げ、目を閉じた。



「わかった」



 ルインもそれに答えるように目を瞑り、唇をリロに近づける。

 突然、城内の警報が激しく鳴り響いた。



「……え?」

「何があったんだ」

「わ、わかんない……私達行った方がいいよね」

「ああ。とりあえずちゃんとした服装に着替えてから父上のところへ行こう。今の格好じゃ流石に部屋外に出られそうにないし」

「うん……」



 二人は着替えてから部屋を出た。それとほぼ同時に隣のオルゴの部屋から本人とミュリも慌てた様子で出てきていた。リロはミュリに、ルインはオルゴにまず話しかけた。



「お、おう……聞いたか警報」

「うん」

「その……こんな時に言うのもなんだが、お互い残念だったな」

「あ、そっちも今夜だったんだ」

「まあな……だが、こんなのいつでもいいんだ。とりあえず行こう」



 四人は国王の部屋へ向かう。他にも大勢の兵士や騎士が廊下に慌てた様子で飛び出しているのが確認できた。この区画を抜ける頃に慌てた様子の国王からメッセージが届く。



【警報は聞こえたと思う! この城の大広間から発煙しているようだ、私の部屋まで煙が来ている。原因は不明、しかし感知したのは火災報知器ではなく侵入報知器。しかも……その侵入者は城外へ続く門の前から動いていない! 確実に罠だと思われるがとりあえず広間からは距離をとって各々待機してくれ!】



 大広間からしばらく行ったところに国王の部屋があるため、四人はそのまま進路を変えずに進んだ。やがて霧がかかったような廊下にたどり着く。四人は強い魔力を探知しながらそのまま進み、なんとか目的地までたどり着いた。



「どうやらカルアもお兄様とお母様も父上の部屋にいるみたいだ。良かった」

「とりあえず中に入れてもらおう。そうすればカルナ王妃以外は城内のSSSランカーの大半が集まっていることになる」



 ルイン達は四人で一斉にメッセージを送ってから国王の部屋に入れてもらった。自分の兄達が無事だったことに安堵し、カルアが四人に向かって抱きついてきた。



「良かった……! お兄様方に何もなくて……!」

「お前らが無事で安心したぞ、少しな」

「しかしこの煙は一体……あまり煙にいい思い出はないのですが」

「それがカルアによれば……」

「あの時の感覚に似ているのです……私がまだ弱く、メフィストファレスに誘拐された時のあの感覚に」

「つまり、兵を動かすより我々が出た方が良いと言うことだ。もしまたこれが悪魔の仕業なら今集まった兵達だけでは対処できぬだろう。私以外の三人にもこの部屋へ来るように連絡してある。それに様子見として先に小型化したベヘモットとレヴィアタンを行かせた」



 国王の言葉通り、やがて部屋に元セインフォースの残り三人が揃った。リロとミュリとオルゴはそれぞれ自分の父親が無事だったことに安堵し、また母親も無事であるとそれぞれの口から伝えられたことで酷く安心した。



「お前たち、安心するのは違うぞ。これから戦闘があるかもしれぬのだ。心してかかれ」

「……武器、持ってきておいて正解でした」

「では行こう。兵達にはすでに大広間の様子を距離を保って見るように指令を出してある。侵入者達はやはりその場から動いていないようだ。……なにか確実にあるだろうが、行くぞ」



 王妃を除いたSSSランクの実力を持つ者達計九名は大広間へと向かった。



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今日は活動報告を更新するでござるよ!

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