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第九百八十六話 引き抜き

「たっだいまー!」

「茶化してくるっつって、本当にやってきたのか」

「まあまあ、神様のご命令だし!」



 イルメはヒュドルの問いに元気にそう応えた。神、アナザレベルを称するものによって集められた彼らは個人的に話し合いをはじめる。



「で、どこのだれ茶化してきたんだ」

「ごめんねー、私のお友達のヒュドルにもそれはちょっと秘密なんだ」

「神様がそう言ったノデスススススス? 隠密、秘密、過密ニィ!?」

「前から思ってたんだけど、ちゃんとした言葉喋ろうね。きみ、私と違ってちゃんと人間だよね?」

「それは置いておくとして。クロ殿はふつうに昨日行ったことを話したでござるが……? なにが違うのでござろうか」



 サムライは首を傾げたがその答えはだれにもわからなかった。クロと呼ばれたカオスブラックドラゴンの人間態はツッコミを入れようと思ったが真面目な雰囲気なのでそれはやめておいた。



「ところでさ、あの人どうしてる? ピエロさん!」

「メフィストファレスって野郎な。ござるの野郎が打ち負かしてからどうなったんだっけ?」

「アナザレベル様が回収していったからわからぬでござるな……」



 その時、コツコツと靴を鳴らして歩く何者かの足音が聞こえた。その場に神が集めた人材は全て揃っているため、その足音の主は全くの部外者であるということになる。



「しんしんしんしんしんにゅうしゃですかねねね? つまり! ころころころころころしてもいいと?」

「いや……神様が引き抜いてきた新しい個々の住人だったらどうするよ。十分あり得るだろ」

「……どうやらそうみたいだよ」



 彼らの目の前にやってきたのは、大きな鎌をもち口元の空いた仮面を被った道化のような服装をした男だった。

 その男は彼らの目の前で深々と頭を下げ、口角を吊り上げた。



「俺の名前は大悪魔、メフィストファレスと申します! 神、アナザレベル様よりぃ、貴方方の協力をしろと賜れて参上致しましたぁ」

「……あん? すぐに神様の力で治ったとはいえ、ござる野郎の右腕を煙に変えやがったテメェがなにを言ってるんだ」

「……? はて、俺はそんなことしましたかね?」

「なんだか様子がおかしいぞ」



 直後、人材全員にアナザレベルからメッセージが送られてきた。



【彼は今日から貴方方とともに働いていただきます】

「それはいいでござるが、あんなにアリムという少女のことを庇おうとしていたのになんだか様子がおかしいでござるよ?」

【偽の勇者と敵対していたころ……大悪魔として堕ちていた記憶を戻しただけですよ】

「ははーん、なるほどねー!」



 それを聞いてイルメはにっこりしながらメフィストファレスに擦り寄っていく。



「な、なんですお嬢さんは」

「よろしくね! メフィストファレス、仲良くしようね!」

「……俺の知り合いが言っていた少女に顔が似ていますね。……貴女がまさかアリム・ナリウェイですか? 削除対象の?」

「ううん、似てるってよく言われるけど違うよ」

「ふん……よく言う」

「むぅ、クロは黙ってて! とにかく、私の名前はイルメだよ!」

「人違いでしたか、これは飛んだ失礼を。しかしまさか魔神以上の神が存在しているとは思いませんでした」

「おー、神様の言った通りだ」

「……?」



 イルメの馴れ馴れしさと言ってることにメフィストファレスは困惑するが、すぐにまた笑顔を浮かべ何故か後ろを振り向いた。



「おお、神よ! 本当にアリムという少女を滅したら俺を元の世界へ返してくれるのですよね!? 苦節何百年、この俺を!」

【ええ、もちろんです】

「……哀れだね。まあいいか。ねぇメフィストファレス!」

「はい、イルメさん。なんでしょうか?」

「君って元々は……そう、大掛かりな曲芸団体のボスだったんでしょ?」

「大掛かりな曲芸団体ってサーカスのことですか? 何故それを……」

「あ、私、その人の一番強い記憶だけを読めるスキルあるんだ……あはは!」

「ふん……よく言う」

「また……クロは黙ってて!」



 メフィストファレスはしばらく考えこんでいるような表情を浮かべたが、すぐにニヤついた笑顔に戻ってイルメの質問に答えた。



「ええ、その通りですよぉ」

「じゃあなにか芸みせてよ。できる範囲内でいいからさ」

「おっ……曲芸師たぁ愉快だな」

「切り刻む曲芸とかあるあるあるあるある?」

「い、いえそんな物騒なのはありませんが……そうですね、これだけ観客がいればやりごたえはありそうです。私の芸を、みますか?」

「みる!!」



 メフィストファレスは自身の魔法を使って芸をし始めた。念術と魔法を組み合わせればできる簡単なもの……などという説明はできず、アナズムに長年住んでいる彼らでもトリックがわからないほどすごい芸を多数披露した。

 一通り終わってから、イルメの質問にて、彼はこのアナズムに来てからもなにか芸ができないか日々考えていたと語った。



「たまにみせてよ!」

「ええ、もちろん良いですよぉ!」

「ところで神よ、これで仲間は全員揃ったのか?」



 ヒュドルが拍手しながらそうアナザレベルに語りかける。しばらくして返事が帰ってきた。



【いえ、まだ数人。……諦めていない方もいますしね。元勇者など】

「まあなんにせよ、人数が多いほうがいいだろうな」

【はい、その通りです……!】




#####


突然ですが、活動報告(近況ノート)を活発にしようと考えています!

この機能を使えば皆様の声がもっと聞けるかもしれないと感じたので……! というわけですので、これからそちらも頻繁に更新していきま……いき……いくでござるよ!

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