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第九百八十四話 不死身と兎の警告

「私の後ろに立って……人質にでもしたつもりかしら?」

「………!? っと、危ないなぁこの夫婦は」



 パラスナの魔力に触れたイルメは後ろからまた一瞬でいなくなり、今度は少し離れたところに現れた。街灯の後ろから顔をのぞかせている。



「そういえばアリムちゃんのお屋敷に住んでる子の一人がああいう能力を持ってたっけ」

「厄介なスキルね」

「んー、やっぱりSSSランカーであることには変わりないか。油断はよくないね」


 

 今度はもう街灯から顔をのぞかせたままその場を動こうとしない。ウルトとパラスナは彼女を鋭く睨みつけている。



「で、君は何が目的なのかな?」

「えっと……挨拶というか、なんというか。私のボスは戦うことになりそうな人を把握してこいなんて言ったけど、私の憶測が正しいならアナズム全域のSSSランカーを敵に回すことになりそうだね」

「ボス……? SSSランカーを敵に回す……? どういうことかしら」

「いつかわかるよ。それにしても人望の厚さが半端じゃないね、可愛いは正義ってやつかな。厄介だなぁ」



 イルメは質問や会話に関係ないような内容をハキハキと呟いている。パラスナはイルメが呟いた内容、そしてその容姿からあることを推測し、それを問いかけてみることにした。



「あなた……まさかだとは思うけど、アリムちゃんに何かしようとしてる?」

「え、なんで分かったの?」

「可愛くて人望が厚くてまともなSSSランカーの誰もが味方しそうな人物なんてあの子しかいないから」

「あっ……いけなーい。これだから私、あんまりペラペラ喋るななんて言われちゃうんだよなぁ……」



 イルメは街灯の後ろから顔だけ出して可愛らしく舌を出し、頭を掻いている。今度はウルトが質問をすることにした。アリムににた魔物は質問をすれば易々と答えてくれると分かったため、今彼にとってかなり気になっている事柄を訊く。



「昨日騒ぎを起こしたっていう人物や、この国から脱獄した人物が関係したりしてるかい?」

「おー、その通りだよ。って、またダメだよ私、こっちの人員は把握しろって言われてるけど私達側の人員はバラすなって言われてるんだった……てへっ」

「じゃあ……」

「あ、まってまって! 質問されると答えちゃうからもう質問禁止!」

「アリムちゃんを狙うのって、何が目的なの?」

「それは私にもわからな……もうっ! 質問ダメだってば! 私もう帰る!」



 そう言うとイルメは一瞬で姿を消した。

 ウルトとパラスナはすぐに目でこれからどうするかを語り合い、それを決行することにした。



____

__

_



「はーい、ちょっと待っててくださいね」



 屋敷前の呼び鈴が鳴った。相手はどうやらウルトさんとパラスナさんみたいだ。どう見ても出かけるついでに立ち寄ったって感じなのにちょっと神妙な面持ちをしてる。

 朝からミカとアナザレベルっていう神様の目的について話し合ってたから俺もテンション高いとは言えないけどね。屋敷の門前にちゃんと二人はいた。



「どうも。お二人ともどうされました?」

「実は……あっ。アリムちゃん可愛い!」

「えへへ、ありがとうございます」



 そういえば今日は気分でゴスロリ着てるんだけど、これで人前に出ても良かったのかしらん。まあ可愛いって言ってもらえたならいいか。



「ところでご用件は?」

「あのね、いま広場で散歩してたらイルメって名乗るアリムちゃんによく似た魔物が……」

「なるほど」



 イルメって名前は初耳だけど、ニャルラトホテプから改名でもしたんでしょう。誰のことかなんて簡単に検討がついた。何しに来たんだ、しかもウルトさんとパラスナさんのところに。



「やっぱりアリムちゃんはなにか知ってるみたいだね?」

「ええ、なんかボク狙われてるみたいなんです。今のところ結果的には被害にあってませんが」



 そう、結果的にはね。

 それからウルトさんとパラスナさんはさっきなにがあったかを話してくれた。簡単に言えばどうやらあの魔物が二人をおちょくりに来たみたいだ。



「だから気をつけて。何かあったら駆けつけるから」

「いえー、気にしなくても大丈夫ですよ。全然」

「でもアリムちゃん、魔物や犯罪者に組織的に狙われるなんて一体なにをしたの?」

「うーん、検討つかないですね」



 まあ心当たりはたくさんあるんだけどね。しかしまあ……周りの人を巻き込んでいくのやめてほしいよ。これで二日間連続じゃないか。次はギルマーズさんのところに来るのかな、それとも国王様かな。すっごく迷惑だからやめてほしいな。



「とりあえず何かあってもアイテムでどうにかしちゃいますよ!」

「それはそうかもしれないけど……」

「でも魔神よりは手強いなんてことはないんじゃないかしら。あの子、SSSランクの魔物っぽかったけど」

「まあ街中に触れたら死ぬ羽をばら撒かれるよりはね」



 そうでもないんだよねぇ……きっと。ニャルラトホテプがあの強さなんだから、それに昨日現れたカオスブラックドラゴンっていうのもきっと強いんだろうな。んー……いざとなったらパラスナさんの言う通り、本当にアナズム中のSSSランカー達の力を借りなきゃいけないかもね。

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