第九百五十九話 結ばれる指輪!
なんだかストレスがなくてぐっすり眠れた気がする。これもおとうさんが色々負担してくれるって言ったからかな。それとも、昨日は久しぶりミカとの夜伽をやめておいたからかな。……どっちもかもしれない。
そういえばここ最近は瓦版を読んでいなかった。どのくらい読んでなかっただろうか。ずっと忙しかったからわかんないや。とりあえず俺は1週間分の瓦版を印刷所から直接もらってきて読むことにした。SSSランクの魔物によって被害を受けた街とかもあるのかしらん。
内容はやはりというか、SSSランクの魔物の目撃情報やそれに伴い危惧される二次災害。幸い発見次第俺たちがすぐに討伐してたからこれと言った被害はないみたいだ。誰かが倒してるってことは認知されてるのか、冒険者に感謝しよう的な一文がちらほら添えられている。それにしても流石に高ランクの冒険者というわけではない普通の人達も嫌な予感はしてるみたい。
あとのニュースは三日前にウルトさんが捕らえた元奴隷商の元SSSランカーの話でいっぱいだ。それに加えて同じ日にどうやらどこかの小国で千人死傷者を一人で出したいかれてる殺人鬼が脱獄してしまったと書かれている。下手すりゃ奴隷商より危ないんじゃないかなそれ。……でもこのタイミングってことは、やっぱり神様の行動に関係してるのかな。偶然では流石にないもんね。
あー、それにしても事情を詳しく知らない人がこの1週間の記事を見たらよくない事件ばかりでアナズムが危険に晒されてるって不安になるんじゃないかな。実際その通りなんだけどね。
「むむむむ」
「どうだったの瓦版は」
「割と世間でも何か起こってるっていうのは認識されてるみたいだよ」
「そりゃそうよね、災害が毎日数件ずつ起きてるみたいなものだしSSSランクの魔物の出現って」
「まあ認知されない方がおかしいよねー」
ウルトさんとかもソワソワしたりしてるのかな。ギルマーズさんはどうしてるんだろう。お父さんが昨日言ってた通り、よく考えたらSSSランクの冒険者のお仕事を独占してる状態にあるといっても過言じゃないからね今の俺たちは。被害が出るよりはいいと思うけどね。
「今日はどうするの?」
「んー、昨日は色々あって作れなかったから今日はみんなの分の指輪と赤い糸を作ろうと思うよ。もちろんこれは俺とミカの特別なものだから差別化できるようにはするけど」
「ふふふん。そうね!」
ミカは機嫌がよさそうに俺の隣に座って頬にキスをしてきた。俺も同じようにし返すと向こうもまたやってくる。このやり取りがしばらく続いてやっと終わった。バカップルだとは思うよ、自覚はしてるけど仕方ないよね。
「キスだけじゃ足りない!」
「ダメだよちゃんと体は休ませなきゃ。昨日はそう言ってここんとこ毎日だったのにやめておいたでしょ?」
「昨日は同意したけど、なんか私にとってはシちゃう方が体調優れるみたい!」
「えー」
自分の彼女に言いたくないけど性欲お化けなんじゃないかしらん。まあ俺は一向に構わないんだけどさ。……このままイチャイチャに発展する前にやることやっちゃおうね。ずっと迫られたら俺もノリノリになるからね。
「ま、まあ今日はお父さんのおかげでやっと多めに時間使えるし、さっそく作ってくるよ」
「むーっ。あ、そうだ。指輪と糸って着脱可能にするの?」
「俺とミカのは専用アイテムがないと不可能にしたよね」
「うんうん。まあ有夢が私との関係を切るなんてことあり得ないし、2度と有夢から離れなくていいのがとても嬉しいよ」
「えへへ、そっか。でも今回はそうだな、同意を得た上でその場で着脱不可にしようと思うよ。みんながみんな俺とミカみたいに死ぬほど互いに依存してるとは限らないし」
「でも叶君と桜に関してはその配慮はいらないと思うな」
たしかにあの二人も十分。いや、下手したら俺とミカ以上にお互いがいないと生きていけないかもしれない。桜ちゃんの号泣を見てそう思った。きっとアナズムに来てホイホイ生き返るなんて状況に置かれてなかったらミカと同じように精神崩壊というか、病んでいたんじゃないかな。狂ってるとこ実際見たわけじゃないからわかんないけど。
「………? どしたの」
「もっかいキスしてから作業するよ」
「わかった、いいよ!」
△▼△▼△
「できたよー」
「おー、思ったよりデザイン変えてるね」
「うん、それぞれのペアの好みを考えたものしたよ。流石に赤い糸は変えようがなかったけど」
うちには俺とミカを除いて既婚(親)含めて6組のカップルがあるからね。もちろん全員分つくったよ。まああくまでペアリングであってて結婚指輪ではないからみんな気軽につけてくれて欲しいな。あ、効果が効果だから気軽は無理か。
「さっそく配るの?」
「うん。いくらSSSランクの魔物の討伐が簡略化したり、お父さん達が戦うなっていったからって、神様が何かしようとしてるんだもん。いますぐ渡した方がいいよ」
「そうね」
そういうわけで俺はみんなに配って回った。この家に住んでる人はだいたいお互いラブラブだからはめるかどうかは別として案外すんなり受け取ってくれた。
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は、発売まであと1週間と1日ですよ……!!
ぶっちゃけ自覚というか意識というか……そう、実感ですよ実感。実感があまり湧きませんね。




